DAD-001の写真
−D DAD−001
組合せ標準価格 ¥600,000(受注生産)
プレーヤー部 DAP−001 標準価格¥350,000
プロセッサ部  HDA−001 標準価格¥250,000
ローディー(日立)が1984年に発売した国産初(恐らく世界初)のセパレート型CDプレーヤー。
当時大きな話題となり,この後,ソニーアキュフェーズなどから相次いでセパレート型が発売に
なりましたが,その先鞭を付けた1台でした。技術的にはオーソドックスなものですが,正攻法で
丁寧に作られたこのDAD−001は,当時のCDプレーヤーの水準を超えた音の良さでマニアの
間で人気を呼びました。

プレーヤー部のDAP−001は,日立の総合技術が生かされた設計でした。日立の半導体技術を
生かした世界初の5重訂正信号処理LSIを搭載し,ディスクのキズやヨゴレ,ソリや偏心による雑音や
音飛びを強力に抑える高性能な信号処理LSIでした。(標準ディスク使用の場合,エラー訂正不能の
確率が2000万年に1回とうたわれていた。なお,標準ディスクとは,10−3個/秒のエラーが入って
いるディスクだそうである。当時のCDプレーヤでは,通常,エラー訂正処理は3重から4重だった。)
また,高信頼性を生み出すために,ディスクモーター制御回路部,ピックアップ制御回路部,プリアン
プ回路部にモジュールを導入し,サーボ回路にも高精度のLSIを開発,全て自社生産として信頼性を
高めていました。

レーザーピックアップには,ハーフプリズムの代わりにハーフミラーを使うことで,反射プリズムによる
レーザー光収差の影響を排除し信号の雑音を低減した2軸直交光学系を採用していました。トラッキ
ングエラーに対しては,3スポット方式と2次元駆動アクチュエーターで対処していました。機能的に
はシンプルで決して多機能ではなく,また,選局動作も超高速ではありませんでしたが,安定した
動作を追求したプレーヤー部でした。
                                     

プロセッサ部のHDA−001は,左右独立で16ビットリニアDAコンバーターを搭載していました。
121次2倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターも採用され,緩やかな特性の7次アクティブ
フィルターにより位相の乱れの少ない音楽信号の再生を図っていました。また,音質最優先で高
品質のパーツ,構成,構造を厳選して採用していました。カタログにも,パワーMOS FET/低雑音
FET/全段ピュアコンプリメンタリー全段直結アンプ/大容量低漏洩磁束トロイダルトランス/低雑
音高速ダイオード/ガラスエポキシ基板/銅メッキシャーシ/大容量特殊防振構造グランド・ピュア
フォーカス電解コンデンサ/防振構造AWD電解コンデンサ/ブチル防振銅箔スチロールコンデンサ
/高品質RMA抵抗/UF,GUメタライズドマイラコンデンサ/LC-OFCケーブルなどと列挙されてい
ました。  

DAD−001は,セパレート型CDプレーヤーの先駆者として,優れた音質が印象的な1台でした。
当時のCDプレーヤーの中で,どこか暖かみのあるデザインと,そのデザインが示すとおりの暖かみ
のある音は,今でも印象に強く残っています。このころのローディー(日立)は,オーディオに対して
本当に気合いが入っていました。CDプレーヤ−時代を一つのチャンスと見ていたのかもしれませ
ん。しかし,その後ローディーは,ご存じのとおり残念ながらオーディオから撤退してしまいました。
 

 
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。





 
 
 

あらゆるアングルから
CD再生を見つめた音の結晶。
ピュア・ナチュラルサウンド・スピリッツの
理想を追いかける。カタチにする。
◎音の理想に限りなく近づくため    
  音質設計に徹したプロセッサ    
◎ピアニッシモの美しさを聴く
  16ビットリニアDAコンバーター  
◎高周波成分を十分に減衰する       
  121次デジタルフィルター     
◎音質追求のために贅沢に採用した 
  高品質&音質専用パーツ     
◎音の表情まで,もれなく再現する   
  5重訂正信号処理LSI       
◎高信頼性を生み出す          
  回路の大幅集積化とモジュール化
◎正確なトラッキングを可能にした   
  3スポット方式&アクチュエーター
DAD−001 Specification
 

●オーディオ●


チャンネル数 2チャンネル
周波数特性 5〜20,000Hz±0.3dB
ダイナミックレンジ 97dB(IHF-A)
SN比 98dB(IHF-A)
高調波ひずみ率 0.0025%(1kHz,10次までの高調波ひずみ率)
セパレーション 95dB(1kHz)
ワウ・フラッター 測定限界以下(±0.001%W・Peak)以下

 

●ピックアップ●

方式 対物レンズ駆動方式光ピックアップ
対物レンズ駆動方式 2次元平行移動
光源 半導体レーザー
波長 780nm

 

●回路構成●

エラー訂正方式 CIRC5重訂正
DAコンバーター 16ビットリニア左右独立方式
デジタルフィルター FIR/121次
バッファアンプ 全段ピュアコンプリメンタリー4段直結アンプ

 

●総合●


接続
(デジタルオーディオインターフェースフォーマット)
インピーダンス 75Ω
端子形状  US ピンジャック
デジタルIN/OUT レベル0.5Vp-p
出力電圧 固定端子 2.5Vrms
可変端子 2.5Vrms(MAX)
電源電圧 AC 100V 50/60Hz
消費電力 プレーヤー部 12W
プロセッサ部 21W
外形寸法/重量 プレーヤー部 幅493×高さ122×奥行280mm/7.0kg
プロセッサ部 幅493×高さ122×奥行280mm/7.5kg
※本ページに掲載したDAD−001の写真・仕様表等は1986年2月のL−D
 のカタログより抜粋したもので,日立家電販売株式会社に著作権があります。
 したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられ
 ていますので,ご注意ください。
 
 

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