ソニーが1982年に発売したCDプレーヤーの商品化第1号機です。DAD(デジタル・オーディオ・ディスク)がそれまでのSONY CDP−101
コンパクトディスクプレーヤー ¥168,000
何年間,夢のオーディオとして話題になりつつ試作機がいくつも作られ,雑誌等でも姿を見せていました。本当に夢のオー
ディオだなと思っているところへ,ついに出現したときの感動とインパクトは大きいものがありました。しかし,これほど早く
普及し,アナログディスクが姿を消したのも予想外でしたが・・・。それまで,ソニーをはじめ各社の試作機も従来のアナロ
グプレーヤーに近いデザインのものや縦型ローディングのカセットデッキに近いデザインのものが多かったのですが,この
CDP−101は現在のCDプレーヤーと並べても違和感のないデザインで,現在主流のトレイローディングになっていて,
縦型で発売した他社をあっと言わせたものでした。そして,操作系をはじめ現在のCDプレーヤーの原器として非常に完成
された形になっていたように思います。CDプレーヤー発売当時,馴染みの販売店でセミナーのようなものが行われ,そのとき初めてCDというものにふれ,すご
い進歩だなあと感動したことを思い出します。16ビットDAコンバーターの搭載は,ソニーの主張がフィリップスの14ビット
で十分という意見を抑えて実現したものだったそうです。CDの直径12cmというのもフィリップスの11.5cm(実は同じく
フィリップスが開発したカセットテープの対角線の長さだった)という主張を退けたものだそうです。ベートーベンの第9が1
枚に収まるようにカラヤンの助けも借りてその主張を通したとか・・・。とにかく,その規格の決定にはかなりの議論と紆余
曲折があったようですが,20年近くたった今となって考えてみると。妥当な規格だったと思うのは私だけでしょうか。デジタルフィルターもまだ採用されておらず,DAコンバーターも1台のみという今となっては普及機にも負けるような内部構
成ですが,その音は当時,強烈な印象を与えてくれたものでした。何より,無音の中から突然音楽が始まる驚きと高速で
自由自在の頭出し選曲機能など,それまでのアナログプレーヤーを凌駕する部分がたくさんあり,何としても欲しいと思っ
たものです。もちろん今のCDプレーヤーに比べれば,いわゆるデジタルっぽい堅い少し薄い音だったかも知れませんが,
当時としては未来を感じさせる夢の音だったものです。操作系は,現在のCDプレーヤーに比べても遜色ないほど完成されたものでした。記号で表された操作ボタンは分かりや
すく使いやすかったものです。(リモコンは別売でしたが,10キーによる選曲ができました。)とにかく,この1台が与えた
インパクトは大きいものだったように思います。しかし,これほどCDプレーヤーが進歩し,広く普及するとは当時想像もつ
きませんでした。今思うと,感慨深いものがあります。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
| デジタルだからできた,超Hi−Fiと長寿命。 |
| 瞬間選曲で演奏も意のままに。 |
| まったく新しい音の世界=コンパクトディスク。 |
| いま,ソニーから。 |
|
◎コンパクトディスクはレーザーで信号をピックアップ。 |
| ◎レーザーによる無接触プレイでディスクは半永久的。 |
| ◎ディスクの外周でも内周でも変わらない高品質サウンド。 |
| ◎無接触で,デジタルだから選曲操作もきわめて簡単。 |
| ◎PCMシステムだからサウンドは超Hi−Fi。 |
| ◎16ビット・システムで実現した広いダイナミックレンジ。 |
| ◎ディスクはのせるだけで演奏スタンバイ。 |
| ◎カセットデッキを超えた自由な操作性。 |
| ◎ワイヤレスリモコンが操作をいちだんと自由にしました。 |
| 半導体レーザーによる光学式ピックアップ,
無接触ですからディスクの音質劣化や摩耗が皆無 |
| PCM(デジタル)方式のため,平坦な周波数特性,広ダイナミックレンジ
低ひずみ,ワウ・フラッターは測定限界以下 |
| 瞬間選曲やミュージックサーチも自由自在 |
| 部分/1曲/全曲リピート機能 |
| 局の演奏経過やディスクの残量を時間表示するデジタルタイムカウンター |
| リニアスケイティング方式ディスクローディング |
| 別売RM−101で10キーダイレクト・ワイヤレス操作可能 |
| シンクロリモコン |
| タイマースタンバイ |
| 周波数特性:5〜20,000Hz±0.5dB |
| ひずみ率:0.004% |
| ワウ・フラッター:測定限界以下 |
| ダイナミックレンジ:90dB以上 |
| 大きさ:幅355×高さ105×奥行325mm |
| 重さ:7.6kg |
※本ページに掲載したCDP−101の写真・仕様表等は1982年9月
のソニーのカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をするこ
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