現在,CDプレーヤーの分野で大活躍のティアックの初の自社製CDプレーヤーです。エソテリックブランドでTEAC ZD−5000
COMPACT DISC PLAYER ¥159,800
すばらしいCDプレーヤーを開発し,VRDSメカニズムなど独創的で優れた技術を発表している同社ですが,
その第1歩,あのP−0への歩みの第1歩が本機と言えるわけで,その意味でも記念すべき1台ではないか
と思います。発売は,1985年のことでした。このZD−5000の最大の特著は,D/A変換部に搭載された「ZDサーキット」でした。このZDサーキットは
D/A変換時に発生する量子化ひずみを低減するために,ディザ信号を使う方式です。入力したデジタル信
号に,12bitのディザ信号を加算し,D/A変換後にアナログ信号からディザ成分だけを除去することで,量
子化ひずみを分散し,高調波ひずみを大幅に低減するというもので,現在でもこの技術は同社のCDプレー
ヤーに使われているほどで,当時としては非常に優れた技術でした。D/Aコンバーターは16bitのマルチビット型で,これを左右独立で搭載していました。また,当時としては高
性能の2倍オーバーサンプリングのデジタルフィルターを搭載していました。メカニズムは,リニアモータードライブのメカニズムで,高速で静粛なアクセスを可能にしていました。ピックア
ップは,3ビームタイプで正確なトレースを図っていました。また,メカニズム全体をフローティング.インシュレ
ーションシステムで支えていました。デッキで培ったメカニズムに対するノウハウが各所に生かされていたよう
です。優れたメカニズム技術は,後にエソテリックブランドの発足と共に花開くことになりました。本機は,現在のCDプレーヤーから見れば,ごくオーソドックスなものですが,ZDサーキット等,後のティアッ
クのCDプレーヤーでの活躍を暗示させる何かを感じるのは私だけでしょうか。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎ついに実用化されたデジタルの秘宝,必然の帰結。
”ZDサーキット”
ZDサーキット
◎超高音域の表情までも伝える,
オーバーサンプリング・デジタルフィルター。
◎リニアモーター・ドライブの,
高速3ビーム・レーザーピックアップ。
◎機能性に優れた,
マルチファンクション機能。
●オーディオ●
オーディオチャンネル数 | 2チャンネル |
周波数特性 | 5〜20,000Hz±0.3dB |
SN比 | 96dB以上 |
ダイナミックレンジ | 96dB以上 |
高調波歪率 | 0.0025%(1kHz) |
ワウ・フラッター | 測定限界値以下(水晶発振精度) |
チャンネルセパレーション | 95dB以上(5Hz〜20kHz) |
出力 | 2Vrms |
●ピックアップ●
方式 | 対物レンズ駆動,光学式3ビーム |
対物レンズ駆動方式 | 2次元平行移動 |
光源 | 半導体レーザー |
波長 | 780nm |
●信号フォーマット●
標本化周波数 | 44.1kHz |
量子化ビット数 | 16ビットリニア/チャンネル |
伝送レート | 4.3128Mb/sec |
変調方式 | EFM |
エラー訂正方式 | CIRC 4重エラー訂正方式 |
●一般●
電源 | 100V AC・50/60Hz |
消費電力 | 20W |
外形寸法 | 445(W)×98(H)×342(D)mm |
重量 | 9.2kg |
●ディスク●
方式 | コンパクトディスク |
演奏時間 | 約60分 |
ディスク直径 | 120mm |
線速度 | 1.2〜1.4m/sec |
トラックピッチ | 1.6μm |
※本ページに掲載したZD−5000の写真・仕様表等は1985年10月の
TEACのカタログより抜粋したもので,ティアック株式会社に著作権があ
ります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは
法律で禁じられていますので,ご注意ください。現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。