Accuphase C-280
STEREO PREAMPLIFIER ¥680,000
アキュフェーズが1982年に発売した同社の最高級プリアンプです。これまで,同社はプリアンプをステレオ・
コントロールセンターと呼んで,コントロールアンプとしての多機能性も重視した設計をして,高音質と多機能
の両立を図ってきました。このC−280は,自らプリアンプと名乗ることから分かるように,同社としては機能
をシンプルにして(とはいえ,豊富な入力系を持ち,使いやすいことに変わりはありませんが。)より高度な音
質を求めた製品でした。その成果は,確実に音質に反映し,当時の国産プリアンプの水準を超えたすばらし
い音質を誇っていた製品だったと記憶しています。アキュフェーズはこのC−280で世界で初めて全増幅段を,理想的な方式であるカスコードA級プッシュプル
構成とし,優れた特性と音質を実現しました。また,左右で計6個の各ユニットアンプすべてにDCサーボ方式
を採用し,MC入力から出力までストレートなDC構成としていました。
本機は,各増幅段及び左右チャンネルの独立を徹底していました。左右チャンネルの電源部をトランスから別
構成とした2トランス構成とし,ヘッドアンプ,イコライザーアンプ,ハイレベルアンプの格段ごとに,専用の定電
圧電源を設ける構成で,全体で計6個の専用定電圧電源部を持つものでした。
また,各ユニットアンプと専用定電圧電源部は厚手のアルミハウジングに収納され,頑丈なフレームやシャー
シと共に互いの干渉,外部からの振動による影響を徹底的に排除する構造にもなっていました。
MCカートリッジに対応して,高性能なヘッドアンプを内蔵し,(同内容のヘッドアンプが同社からC−17の型
番で発売され,その高性能に高い評価を得ました。)入力インピーダンスとゲインの切換機能により,内外の
ほとんどのカートリッジに余裕で対応し,その特性をよく引き出していました。
入出力ジャックには,通信機や高性能コンピュータのコネクターに使われていた,高い耐久性を誇る高級ロジ
ウムメッキを採用していました。これは,金メッキよりも高価ですが,長期にわたって入出力ジャックの良好な
コンタクトを保証するものとなっていました。
当時,世界のプリアンプの中でも最高度の性能を持つ1台として認められたすばらしいプリアンプでした。とに
かく,当時その透明で色づけのない自然な音を聴いたときの驚きは強く印象として残っています。国産のプリ
アンプとして,最高級の名機の一つになるのではないかと思います。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
全段”カスコードA級プッシュプル”。 |
DCサーボで全信号系を直結。 |
その上,”マルチプル・パワーサプライ方式” |
の採用で理想的な性能を実現。 |
さらに2トランスの完全モノコンストラクション。 |
◎全増幅段カスコードA級プッシュプル構成。高域特性と
|
◎ユニットアンプの全てにDCサーボ方式を採用。
MC入力から出力まで純粋にストレートなDC構成。 |
◎2トランスの完全モノ・コンストラクション。
さらに,ユニットアンプの全てを定電圧電源で強化。 |
◎ロジック・リレーコントロールによりストレートで
最短の信号経路 |
◎NFB素子を厳選した低ノイズイコライザーアンプ |
◎低雑音・高ダイナミックレンジの
MCカートリッジ用ヘッドアンプ |
◎広範なMCカートリッジとベストマッチングをとる
ヘッドアンプの入力インピーダンスとゲインの切り換え |
◎ケーブルを延長しても妨害を受けない
600Ωバランス型出力を装備 |
◎各増幅回路と専用定電圧電源をアルミ・ハウジングに
収納,シールドと防振を完全化 |
◎テープレコーダーのための充実したファンクション |
◎3ステップ式ロータリー型アッテネーター |
◎左右の出力差を精密にコントロールする
左右独立型レベル・コントロール |
●保証特性●
周波数特性
TUNER・LINE・TAPE PLAY INPUT DISC INPUT |
1.0〜500,000Hz +0,−3.0dB
20〜20,000Hz +0,−0.2dB 20〜20,000Hz ±0.2dB |
全高調波歪率(新IHF 20〜20,000Hz) | 0.005%(すべての端子にて) |
入力感度/入力インピーダンス
DISC:HEAD AMP OFF/MM DISC:HEAD AMP +26dB DISC:HEAD AMP +32dB TUNER・LINE・TAPE PLAY |
2.0mV(定格出力時)0.5mV(EIA,出力0.5V)/47kΩ
0.1mV(定格出力時)0.025mV(EIA,出力0.5V)/10Ω・30Ω・100Ω 0.05mV(定格出力時)0.0125mV(EIA,出力0.5V)/10Ω・30Ω・100Ω 126mV(定格出力時)31.5mV(EIA,出力0.5V)/20kΩ |
定格出力/出力インピーダンス
OUTPUT(UNBALANCED) OUTPUT(BALANCED) TAPE REC |
2.0V 1.0Ω/フォノジャック
2.0V 600Ω/キャノンコネクター 126mV 200Ω/DISK時 |
S/N・入力換算雑音
DISC:HEAD AMP OFF/MM DISC:HEAD AMP +26dB DISC:HEAD AMP +32dB TUNER・LINE・TAPE PLAY |
入力ショート・A補正 EIA S/N
85dB(定格入力時S/N)−140dBV(入力換算雑音) 82dB 72dB(定格入力時S/N)−152dBV(入力換算雑音) 76dB 66dB(定格入力時S/N)−152dBV(入力換算雑音) 76dB 110dB(定格入力時S/N)−128dBV(入力換算雑音) 88dB |
最大出力レベル(ひずみ率0.005% 20〜20,000Hz) | OUTPUT(UNBALANCED) 10.0V/フォノジャック
OUTPUT(BALANCED)10.0V/キャノンコネクター TAPE REC19.0V/DISC時 |
DISC最大入力電圧(1kHz ひずみ率0.005%)
|
HEAD AMP OFF :300mV
HEAD AMP +26dB:15mV HEAD AMP +32dB:7.5mV |
最小負荷インピーダンス
|
OUTPUT(UNBALANCED):1kΩ
TAPE REC :10kΩ |
ゲイン
|
TUNER・LINE・TAPE PLAY→OUTPUT 24dB
TUNER・LINE・TAPE PLAY→TAPE REC OUTPUT 0dB DISC(HEAD AMP OFF/MM)→OUTPUT 60dB DISC(HEAD AMP OFF/MM)→TAPE REC OUTPUT 36dB HEAD AMPは+26dB,+32dB切換式
|
ラウドネスコンペンセーター | COMP1:+3dB(100Hz)
COMP2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz) (VOLUMEコントロール −30dBにて) |
フィルター | サブソニックフィルター:10Hz −18dB/oct |
アッテネーター | −20dB −30dB |
使用半導体 | 225Tr,16FET,33IC,167Di |
電源及び消費電力 | 100V,117V,220V,240V,50/60Hz, 75W |
寸法・重量 | 幅468mm×高さ171mm×奥行396mm 18.1kg |
※本ページに掲載したC−280の写真,仕様表等は1985年のAccuphaseのカタログより
抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真
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