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現在,セパレートアンプを出しているメーカーは
限られていますが,かつて多くのメーカーが意
欲作を発表し,魅力的で個性的なモデルがた
くさんあったのがこのセパレートアンプ部門です。
中にはコスト度外視のすごいものまであったよ
うです。オーディオ界が元気だった頃を最も感
じさせられるコーナーではないでしょうか。
ごゆっくりご覧ください。
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Lo−D HMA-9500mkU
あの長岡鉄男氏がリファレンスとして愛用していたことで有
名なパワーアンプです。今でも,ファンが多いと聞きます。
MOS FETを時代に先駆けて採用し,その良さを十分生
かした音だったといわれています。私は,残念ながら,じっ
くり聴いたことはないのですが,クリアーな音だった記憶が
あります。今でも愛用してる方,あるいは所有していた方
など,どんな音だったか詳しい方からのメールをお待ちし
ています。でも,その音に加え,強力な電源部と左右セパ
レート構造を印象づけるその強烈なデザインもすごく印象
的でした。日立がこんなすごいアンプを作っていたんです
ね。
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YAMAHA B-6
そのピラミッド型の特徴的なデザインが印象に残っている
人が多いのではないでしょうか。一辺29cmというコンパ
クトなサイズのこのピラミッド型から200W+200Wとい
うパワーを出すことができました。それは,X電源と称され
た特殊なスイッチング電源を使用していたからです。日本
のアンプの歴史の中でも,特に美しいデザインのアンプと
して今でもまざまざと記憶に残っています。
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KENWOOD L-08C
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KENWOOD L-08M
1980年,ケンウッド(当時はトリオ株式会社)が上級の
KENWOODブランドから発売したプリアンプとパワーア
ンプです。スピーカーをもフィードバックの中に取り込も
うとするΣドライブの採用を始め,非磁性体構造,ボディー
自体がヒートシンクとなる,斬新なデザイン等,きわめて
個性的ですばらしいモノラルパワーアンプと,パワーアン
プとの接続のためのケーブルの影響をキャンセルするΣ
結線を採用した非磁性体構造のプリアンプとの組み合わ
せでした。後の名機,L-02Aに通じる設計はきわめて先
進的で個性的なもので,その音も,非常に透明で分解能
の高いものだった記憶があります。
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YAMAHA 101M
YAMAHAが1982年に発売した超弩級のステレオ・パワー
アンプです。YAMAHAはかつて,優れた半導体技術,回路
技術を生かし,数多くのアンプの名機を作っていました。そ
のYAMAHAの歴代のアンプの中でもおそらく最大級といえ
るのが本機です。
500W+500W(8Ω)の大出力と61kgにもおよぶ重量,
そのプロ機にも通じる精悍なデザインなど,非常に印象的な
パワーアンプでした。音の方は,YAMAHAらしい繊細さも感
じさせながら,外観同様,プロ機に通じるしっかりした音でし
た。どちらかというとモニターっぽい音だったことが記憶に残っ
ています。
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Accuphase C-200L
アキュフェーズの第一作として1973年に発表されたプリ
アンプC-200とパワーアンプP-300の4世代目になる
モデルです。アキュフェーズのC-200,P-300のペアは
1991年に,C-260,P-360にバトンタッチされるまで
18年間にわたり5世代のモデルを引き継いでいった,正
にロングランを続けた名機であることは間違いないでしょ
う。C-200,P-300は誕生当初,海外製に限られていた
ハイパワーアンプを実現し,アメリカンサウンドとも言える
力強い音を持っていました。やがて,C-200S,P-300S
そして,C-200X,P-300Xと改良され,その後C-200L
P-300Lとなりました。音の方は,より洗練を加え,日本的
な繊細で清潔な美しい音を実現していたと思います。私も,
プリアンプのC-200Lを購入し,現在も使っています。導入
当初,その鮮烈なまでの透明感のある音に驚きました。そ
して,多機能と優れた音質を両立させているところも美点
だと思います。
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Accupase C-280
アキュフェーズが,1982年に発表した当時国産最高級と
もいえるプリアンプでした。 左右対称の美しいデザインと,
そのあまりにも透明でバランスのとれた美しい音には驚い
た記憶があります。それまで聴いたことのあったプリアンプ
と比べて,こらはモノが違うと感じてしまったものです。今で
も,超一流と言える音ではないかと思います。中身は,その
徹底したシールドと振動対策,高級部品を余裕を持って使
用した構成など,その680,000円という価格(もちろん高
価ですが・・)からは信じられないほどのものでした。耐久性
も抜群で,今でもお金があれば欲しいアンプです。
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Accuphase M-100
アキュフェーズが続きますが,これも忘れられない名機だと
思います。(このブランドは名機が多い!)1981年に発売
された,500Wモノラルの超弩級パワーアンプです。初めて
見たときその巨大さと,その割に繊細なデザイン,そしてデ
ジタルのパワー表示がすごく印象的でした。そして,試聴さ
せてもらうと,限りがないのではないかと思えるほどの音の
伸びやかさに驚きました。しかも,ハイパワーでありながら,
小出力時の音も実に繊細で荒さが感じられないのにもさら
に驚かされました。これは,10W程度まではA級動作をす
ることも効いていたのでしょう。当時,デジタルオーディオ時
代のアンプの未来を感じさせられたものでした。
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ESPRIT TA-E900
1979年に発足したSONYの高級品専門の実験的ブランド
ESPRIT(エスプリ)から発売されたセパレートアンプです。
1980年に,MOS FETとパルスロック電源を採用したパ
ワーアンプTA-N900が発売になり,翌年の1981年に徹
底したシールドと振動対策を施したプリアンプTA-E900が
発売されました。特に,プリアンプTA-E900の分解能の化
け物とでも言えそうなクリアーな音が強く印象に残っています。
パワーアンプのTA-N900もその薄型のボディーからは信じ
られないパワー感と端正な音が記憶に残っています。
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ONKYO P-309
オンキョーが1980年に発売したセパレートアンプ。当時の同社
のアンプの中で最高級モデルでした。オンキョーは,インテグラシ
リーズのプリメインアンプで数多くの優れた製品を作り続けていま
すが,セパレートアンプは比較的製品数が少ないようです。しかし
回路技術,特にサーボ技術において優れた技術を持つオンキョー
ならではのアンプを出しています。製品数が少ないだけにしっかり
した作り込みがなされ,特に電源周りのこだわりもあり,鮮明で力
強い音を特徴としているように思います。決して超高価格ではなく
デザインもやや高級感に欠けるところもありますが,中身のしっか
りしたアンプ作りがなされているので,私は個人的には好きな製品
です。当時,プリメインアンプからグレードアップを考えていた私の
先輩が,迷った末このペアを購入し,低音のしっかりしたクリアな
音でロック系の音楽を聴いていたことを今でも思い出します。
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VICTOR P-L10,M-L10
ビクターが1981年に発売したLaboratoryシリーズの高級セパ
レートアンプ。美しいウッドキャビネットがメカメカしさを抑え,イン
テリアにマッチし,音楽を聴く道具として完成されていたと思いま
す。音の方も実にバランスのとれた大人の音だったことを覚えて
います。ビクターはこれ以降あまりセパレートアンプを作っていな
いのが残念です。こんなに魅力的なモデルをつくっていたのです
が・・・。
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Aurex SY-Λ88U
オーレックス(東芝)が1981年7月に発売した高級プリアンプ。
当時,東芝のオーディオに対する意気込みはものすごく,この
アンプも妥協なく徹底して高性能を追求し,惜しげもなく高級な
部品を投入して完成されたものでした。あまりに部品に贅沢を
しすぎ,採算割れになってしまったという伝説的な製品でもあり
ました。ある意味で,こんなに良心的なアンプはないのかもしれ
ません。その鮮度の高いクリアな音が印象に残っています。今
でもファンの多い製品ではないでしょうか。
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PIONEER C-Z1
パイオニアが1979年に発売したセパレートアンプです。エク
スクルーシブブランドではなくパイオニアブランドから発売され
ましたが,NFBを排除した「スーパーリニアサーキット」をはじ
め,独特の外観デザインなど,思い切った設計が,当時強い
印象を与えました。プリアンプC−Z1とモノラルパワーアンプ
M−Z1×2の組み合わせは総額100万円にも達しましたが
その鮮明な音にはもっと驚いたものでした。ここで開発された
技術が,後にエクスクルーシブの名機M−5にも生かされて
いきました。
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KYOCERA C-910
京セラが1984年に発売したセパレートアンプ。このころ京セラは
多角化を図ってか,様々な分野に進出し,サイバネット工業を吸
収して突如オーディオの分野にも参入しました。独自のセラミック
技術を生かしたユニークな設計と価格からは考えられないほど贅
沢な作りのマニア向けの高級品を次々と発表し,アッと驚いたもの
です。このセパレートアンプのペアもセラミックを使った頑丈なベー
スシャーシ,セラミック製のモジュール構造,純A級増幅のパワー
アンプなど独自の設計で,繊細でクリーンな感じの音を聴かせてく
れました。ブランドイメージからかヒットはしなかったようですが,隠
れた名機だったと思っています。
※ここに掲載された写真は,各製品のカタログからの
抜粋で,その版権・著作権等は,各オーディオメーカー
にあります。したがって,これらの写真を無断で転載等
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