Accuphase C−200L
STEREO CONTROL CENTER ¥330,000
アキュフェーズが1973年,創立第1号のプリアンプとして発売したC−200の流れを汲むC−200シリ
ーズの第4世代に当たるモデルで,1984年7月に発売されました。このC−200シリーズはアキュフェ
ーズの歴史の中でも最も長い歴史を誇るモデルでした。(1991年にC−260が発売になるまでの18年
間!)優れた音質と多機能の両立がなされた名機だったと思います。
C−200シリーズは,その時代の先端技術を導入しリフレッシュされてきましたが,このC−200Lは3回
のモデルチェンジを行った結果,完成度の高いプリアンプとなっていました。基本となる増幅回路は,アキュ
フェーズ伝統の「全段プッシュプル構成」を基本に,上級機C−280の技術も導入されたもので,「カスコー
ドA級プッシュプル」で構成し,この基本回路を各ユニットアンプの随所に採用した高性能な構成でした。
ヘッドアンプ,イコライザーアンプ,ハイレベルアンプはそれぞれ完全に独立した構成になっており,左右で
6ユニットがそれぞれ専用の定電圧電源を内蔵するという方式で,ユニット間の干渉を断って高い安定性を
誇っていました。6個の独立したユニットアンプはガラスエポキシの「マザープリントサーキットボード」に配
置され,頑丈なフレーム構造とあわせ,振動に対しても堅牢な構造になっていました。
信号系は「DCサーボ方式」による全段直結方式で,MC入力から出力までコンデンサーを介さないストレ
ートなアンプ構成になっていました。出力は,通常の不平衡出力(アンバランス出力)以外に,「600Ω平
衡型キャノン出力」を持ち,バランス入力のパワーアンプや業務用機器にも接続できるようになっていました。
多機能と音質の両立をテーマとするアキュフェーズらしく,プリアンプとして最高度の多機能を誇っていまし
た。ライン入力が4系統,テープ入出力2系統,ディスク入力が2系統ある上に,フロントのサブパネル内に
ディスク入力ライン入出力,テープ入出力を備えており,フロントパネルにテスト用の機器をつないだりする
こともできました。トーンコントロールもバス,トレブル,左右独立,ターンオーバー周波数2段階切換の便利
なものでした。MC入力にも対応して高性能なヘッドアンプを内蔵し,幅広いインピーダンスのMCカートリッ
ジに対応できるようになっていました。その他,2段階切換型のラウドネスコンペンセーター,3系統のテープ
相互のコピーを可能にする切換スイッチ,リバース,モノラル再生スイッチなど考えられるほとんどの機能を
内蔵していました。音質もアキュフェーズらしく,SN比がよく,透明なクリアな音でした。私も初めて本機を導入したとき,鮮烈な
までに透明感のある音に驚いた記憶があります。クリアでありながら上品さを失わない音は飽きの来ない音
だと思います。現在のレベルでもきわめて多機能で使いやすく,音質も優れたこのプリアンプは,私も現役で
使用中です。価格は驚くほど高くはありませんが,国産プリアンプの中でも有数の名機だと思います。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
全段プッシュプル構成。 |
DCサーボで全信号系を直結。 |
ユニットアンプのすべてを |
専用定電圧電源で強化。 |
ヘッドアンプは広範なMCカートリッジと |
ベストマッチングを可能にする |
入力インピーダンスとゲインの |
セレクターを装備。 |
◎増幅回路の理想を実現したカスコードA級プッシュプル方式 |
◎ディティールを余すところなく再現する広Dレンジの
MCカー トリッジ用ヘッドアンプ |
◎MC入力から出力端までのすべてが
純粋にストレートなDC構成 |
◎ユニットアンプのすべてを専用の定電圧電源で強化 |
◎ロジック・リレーコントロールにより
ストレートで最短の信号系路 |
◎広範なMCカートリッジとベストマッチングをとる
ヘッドアンプの入力インピーダンスとゲインの切り換え |
◎ケーブルを延長しても妨害を受けない
600Ω平衡型出力を装備 |
◎ターンオーバー切換スイッチ付左右独立
10ステップ式トーンコントロール |
◎小音量時のエネルギー・バランスを自動的に補正する
ラウドネスコンペンセーター |
◎充実したテープ機能 |
●保証特性●
周波数特性
TUNER・LINE・TAPE PLAY INPUT DISC INPUT |
1.0〜500,000Hz +0,−3.0dB
20〜20,000Hz +0,−0.2dB 20〜20,000Hz ±0.2dB |
全高調波歪率(EIA 20〜20,000Hz) | 0.005%(すべての端子にて) |
入力感度/入力インピーダンス
DISC:HEAD AMP OFF/MM DISC:HEAD AMP +26dB DISC:HEAD AMP +32dB TUNER・LINE・TAPE PLAY |
2.0mV(定格出力時)0.5mV(EIA,出力0.5V)/47kΩ
0.1mV(定格出力時)0.025mV(EIA,出力0.5V)/10Ω・30Ω・100Ω 0.05mV(定格出力時)0.0125mV(EIA,出力0.5V)/10Ω・30Ω・100Ω 126mV(定格出力時)31.5mV(EIA,出力0.5V)/20kΩ |
定格出力/出力インピーダンス
OUTPUT(UNBALANCED) OUTPUT(BALANCED) TAPE REC |
2.0V 1.0Ω/フォノジャック
2.0V 600Ω/キャノンコネクター 126mV 200Ω/DISK時 |
ヘッドホーン端子 | 適合インピーダンス:4〜100Ω |
S/N・入力換算雑音
DISC:HEAD AMP OFF/MM DISC:HEAD AMP +26dB DISC:HEAD AMP +32dB TUNER・LINE・TAPE PLAY |
入力ショート・A補正 EIA S/N
85dB(定格入力時S/N)−140dBV(入力換算雑音) 82dB 72dB(定格入力時S/N)−152dBV(入力換算雑音) 76dB 66dB(定格入力時S/N)−152dBV(入力換算雑音) 76dB 110dB(定格入力時S/N)−128dBV(入力換算雑音) 88dB |
最大出力レベル(ひずみ率0.005% 20〜20,000Hz) | OUTPUT(UNBALANCED) 8V/フォノジャック
OUTPUT(BALANCED)8V/キャノンコネクター TAPE REC19V/DISC時 |
DISC最大入力電圧(1kHz ひずみ率0.005%)
|
HEAD AMP OFF :300mV
HEAD AMP +26dB:15mV HEAD AMP +32dB:7.5mV |
最小負荷インピーダンス
|
OUTPUT(UNBALANCED):1kΩ
TAPE REC :10kΩ |
ゲイン
|
TUNER・LINE・TAPE PLAY→OUTPUT 24dB
TUNER・LINE・TAPE PLAY→TAPE REC OUTPUT 0dB DISC(HEAD AMP OFF/MM)→OUTPUT 60dB DISC(HEAD AMP OFF/MM)→TAPE REC OUTPUT 36dB HEAD AMPは+26dB,+32dB切換式
|
トーンコントロール | 10ステップコントロール
ターンオーバー周波数 低音:500Hz :±7.5dB(100Hz) 1.5dBステップ 200Hz :±7.5dB( 40Hz) 1.5dBステップ 高音:7kHz :±7.5dB(10kHz) 1.5dBステップ 2kHz :±7.5dB(35kHz) 1.5dBステップ |
ラウドネスコンペンセーター | COMP1:+3dB(100Hz)
COMP2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz) (VOLUMEコントロール −30dBにて) |
フィルター | サブソニックフィルター:10Hz −18dB/oct |
アッテネーター | −20dB |
使用半導体 | 164Tr,16FET,21IC,123Di |
電源及び消費電力 | 100V,117V,220V,240V,50/60Hz, 45W |
寸法・重量 | 幅445mm×高さ160mm(脚含む)×奥行373mm 13.6kg |
※本ページに掲載したC−200Lの写真,仕様表等は1984年のAccuphaseの
カタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。した
がって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていま
すのでご注意ください。
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