M−100の写真
Accuphase M−100
MONOPHONIC POWER AMPLIFIER ¥500,000
1981年にアキュフェーズが発売した,出力500Wもの超弩級モノラルパワーアンプでした。当時,国産のパ
ワーアンプの中ではこれほどのハイパワー機はなく,海外でもマッキントッシュなど限られたものしか無かった
と思います。アキュフェーズは設立当初からハイクオリティでハイパワーなアンプづくりを続けていましたが,当
時としては,(今でも・・)驚異的なハイパワーアンプでした。

200Wの広帯域バイポーラ・トランジスターを8−パラレル・プッシュプルで構成した出力段は全電力キャパシ
ティーが3.2kWに及び,500W(8Ω)の出力に対しても余裕十分で,4Ωでは800Wもの出力を可能にしま
した。出力段の前段のドライブ段は,電力増幅用MOS FETで構成され,高域特性の改善と出力段の安定を
図っていました。また,プリドライブ段は,理想的回路と言われる「カスコード接続プッシュプル」となっていまし
た。16個のパワートランジスターには通常より大きなバイアス電流が流され,出力10Wまでは純A級動作を
するようになっており,ハイパワーアンプながら,小出力時にもすぐれたクオリティを誇りました。
  
電源部も強力で,大型のトランスはもちろん,シリーズレギュレーター方式の安定化電源回路を搭載し,電流
容量68Aで,8Ω時の最大出力500W時で14Aですから,実に5倍の余裕を持ったものでした。最大7kWに
まで対応するものすごい電源部を誇りました。
M−100の内部
機能面では,デジタル・ディスプレイによるピークパワー直読ディスプレイが特徴的でした。これは,8Ω負荷時
の正確な出力が数字で表示される便利で楽しいものでしたこれを見て,普段の使用時の出力が意外と小さい
ことや,音楽の強弱の振幅の大きさを実感したものでした。
                                                                   
そのほか,25接点式の,高精度金属皮膜抵抗をずらり並べたアッテネーターや,超低音をカットするサブソニ
ックフィルターなど,機能的は豊富でした。位相切替スイッチにより,2台のM−100によるブリッジ接続も可能
にし,このときの出力は何と1.6kW(8Ω)にも達しました。(しかし,こんな使い方をした人がどれくらいいるの
でしょうか。すごい贅沢です。)また,これだけのハイパワーアンプにもかかわらず自然対流による冷却での駆
動を可能にし,静かな動作を実現していました。(放熱用ファンもオプションには用意されていました。)
                                                            
このアンプの音は,とにかく自然な音が印象的でした。ハイパワーにもかかわらず,全く荒さを感じさせず,しか
もしっかりした低音の支えと高域の伸びを感じさせ,音の伸びが全く抑えられた感じのない余裕たっぷりの音で
した。まさに,当時のアキュフェーズを代表していた超弩級の名機だったと思います。
 
 
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 




 
 
 

◎4Ω=800W・8Ω=500Wを保証する
  8−パラレル・プッシュプルの強力出力段
◎スイッチングひずみと高域特性を改善した
  カスコ−ド接続PP+MOS FETドライブ段
◎カスコード・ブートストラップ差動プッシュプル入力
◎DCサーボ方式直結入力
◎シリーズレギュレーター方式安定化電源部
◎ディジタル・ディスプレイによる
  ピーク・パワー直読装置
◎ピーク指示対数圧縮パワー・メーター
◎1dBステップの本格的アッテネーター
◎10Hz,17Hz,30Hz,50Hzを選べる
  ローフィルター
◎位相切り替えスイッチ
◎ディジタル・ディスプレイ及び出力リレーの
  同期信号端子
◎キャノンタイプの入力コネクター
◎放熱用ファン取り付け可能
                  
      
       
●M−100保証特性●


連続平均出力 800W  4Ω負荷 
500W  8Ω負荷 
250W 16Ω負荷 
(20〜20,000Hz ひずみ率0.01%)
高調波ひずみ率 0.01% 4〜16Ω負荷 
(0.25W〜連続平均出力間,20〜20,000Hz間)
IMひずみ率(新IHF) 0.003%
周波数特性 20〜20,000Hz ±0dB 
(連続平均出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.5〜400,000Hz +0,−3dB 
(1W出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.5〜140,000Hz +0,−3dB 
(新IHF 1W出力時,レベル・コントロール−6dB)
ゲイン 27.8dB
負荷インピーダンス 4〜16Ω
ダンピング・ファクター(新IHF) 300(50Hz,8Ω)
入力感度・入力インピーダンス 2.6V(連続平均出力時)50kΩ 
0.12V(新IHF 1W出力時)50kΩ
入力レベル調整 ステップ式アッテネーター 
アッテネーション:0〜−20dB間1dBステップ
以降−23dB,−26dB,−30dB,−∞の25接点 
誤差:±0.1dB以内
A補正S/N 130dB 
(連続平均出力時,入力ショート) 
100dB 
(新IHF 1W出力時 入力1kΩ)
ロー・フィルター 10Hz,17Hz,30Hz,50Hz −12dB/oct
出力メーター 対数圧縮ピーク指示型 −60dBから+3dB及び 
出力直読目盛
ディジタル・パワー・ディスプレイ 型式:8Ω負荷時のピーク出力をワット表示 
表示桁数:3桁 
表示範囲:レンジ切り替えにより0.001W〜999Wを直読 
レンジ0.001:0.001〜0.999W 
      0.01:  0.01〜 9.99W 
       0.1:   0.1〜 99.9W 
         1:    1〜  999W 
ホールド・タイム:0.5秒,3秒,30分 
周波数特性:20〜20,000Hz +0,−0.2dB 
パルス応答誤差:100Hz 1波にて+0,−0.4dB
使用半導体 67TR,7FET,21IC,75Di
電源及び消費電力 100V,17V,220V,240V 50/60Hz 
消費電力  無入力時       250W 
        8Ω50W出力時  350W 
        8Ω500W出力時 840W
寸法・重量 幅480mm×高さ232mm(脚含む)×奥行476mm 
41.5kg
※本ページに掲載したM−100の写真,仕様表等は1982年のAccuphaseのカタログより
 抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真
 等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。     
 
  
 

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