CA-2000の写真
YAMAHA CA-2000
NATURAL SOUND STEREO AMPLIFIER ¥158,000

1976年に,ヤマハが発売したプリメインアンプ。同年に発売されたCA-1000Vの上位機種にあたり
CA-1000Vをベースにしているだけに,外観は非常によく似ており,内部の共通点も多いですが,各
部が強化された内容を持ちアンプとしての性能もより高められ,当時の同社のプリメインアンプの最上
位機でした。

メインアンプ部は,CA-1000Vでは,PNPトランジスタによる定電流バイアスカレントミラー差動増幅
であった初段を,カレントミラーカスコードブートストラップ採用のFET差動増幅としており,ここが回路
的に大きな変更点でした。ここで用いられたFETは,ヤマハオリジナルのスーパーローノイズFETで,
高SN比,低歪率特性を確保していました。2段目以降は,CA-1000Vと同じ構成で,カスコード接続
定電流負荷エミッタ接地増幅→ダーリントン接続ピュアコンプリメンタリィパラレルプッシュプルOCLドラ
イブ・出力段となっていました。フロントパネルにあるスイッチ(NORMAL−CLASS A)で,A級動作,
B級動作を出力トランジスターの動作点を変えることで切り換えられるようになっており,このとき,電力
増幅段の電源電圧が切り換わると同時に自動的にA級(Id=1.4A),B級(Id=50mA)のバイアスを
設定する独自のバイアス回路がはたらき,安定した切り換えができるようになっていました。こうしてメイ
ンアンプ部はB級動作では,0.03%の低歪率で120W+120Wの高出力を実現し,A級動作では,
クロスオーバー歪みのない,よりすぐれた特性で30W+30Wの出力を実現していました。さらに,初段
の素子から回路構成に至るまでのローノイズ設計により,118dB(IHF-Aネットワーク)という高SN比を
実現していました。また,メインアンプ部は,信号経路,NFループからコンデンサを除去したDCアンプ
構成となっており,すぐれた位相・周波数特性を実現していました。

イコライザ回路は,ヤマハ独自のスーパーローノイズペアFETを使用したカスコードブートストラップカレ
ントミラー差動入力,ダーリントン接続定電流負荷エミッタ接地,ピュアコンプリメンタリィによるSEPP出
力段というパワーアンプにも似た回路構成になっていました。これは,CA-1000Vと同じ構成で,同社
のプリアンプの名機C-2ともほぼ同じ回路構成でした。初段差動入力に使用されたスーパーローノイズ
ペアFET(2SK-100)は,ヤマハがイコライザ用に開発したもので,オーディオ用の特にローノイズで,
gmが大きく,ペア特性がよいというものでした。スーパーローノイズFETの採用や全体のローノイズ設
計により,2mV入力のSN比82dB,入力換算雑音−136dB/Vという,当時としては非常に高水準の
ローノイズ低歪率(PHONO-REC OUT,0.003%・20Hz〜20kHz)のイコライザー部となっていま
した。
MCヘッドアンプは,ヤマハオリジナルのスーパーローノイズICを使用し,定格入力50μVに対してSN比
71dB(IHF-Aネットワーク),入力換算雑音−157dBVというローノイズ特性を実現していました。

トーン回路は,2段目のダーリントン接続の省略以外,イコライザーアンプとほぼ同じ回路構成をとり,ロ
ーノイズ,低歪みを実現していました。トーンコントロールはヤマハ方式のNF型で,挿入ロスが少なくロー
ノイズ設計で,コントロールボリュームは,20ステップ,21ポイントの高精度アッテネーターが使用され,
0,±0.5,±1.0,±1.5,±2.0,±3.0,±4.0,±5.0,±6.0,±8.0,±10dBの正確な
コントロールができるようになっていました。BASS,TREBLEのターンオーバー周波数は,それぞれ,
125Hz−DEFEAT−500Hz,2.5kHz−DEFEAT−8kHzの切換式になっていました。
ボリュームは,片チャンネルあたり2連の高精度4連ボリュームを搭載していました。このチャンネル当り
2連のボリュームをトーンアンプの入力側と出力側へ入れ,0〜6dB,−24〜−∞dBまで出力側,−6〜
−24dBまでを入力側で調整する構成とすることで,残留ノイズがメインアンプのみで決まることになり,
SP OUTで70μVときわめて低い値に収まっていました。 

CA-2000の内部

外観上でポイントとなっているパワーメーターは対数圧縮回路とピークホールド回路を搭載した本格的な
もので,−50dB〜+5dB,1mW〜316W/8Ωの広い指示範囲と100μsの優れた応答性を持って
いました。また,このメーターは,切換スイッチにより,SP OUTの出力レベル(0dB=100W/8Ω)と
REC OUTの出力レベル(0dB=1000mW)を切り換えて表示させることができるようになっていました。

機能的には,当時のヤマハのアンプの流れを汲んだもので,オーソドックスな構成となっていました。
PHONOは2系統あり,PHONO1は,MM,MCの両方に対応し,MMでは,負荷インピーダンスの選択
(2mV・47kΩ,68kΩ,100kΩ)が装備されていました。PHONO2はMM専用(2mV・47kΩ)となっ
ていました。
REC OUTセレクターも搭載され,アンプが演奏しているプログラムとは別に録音ができるようになって
いました。また,テープデッキは2台接続でき,同時録音,相互ダビングもできるようになっていました。
そのほか,STEREO NORMAL,STEREO REV,L+R,L,Rが選べるモードセレクター,−20dB
のミューティング,15Hz・12dB/octのサブソニックフィルタ,10kHz・12dB/octのハイフィルタ,PREと
MAINが切り離せるCOUPLEスイッチなども装備されていました。

以上のように,CA-2000は,人気モデルCA-1000Vをベースに,内容を強化し,上級のセパレートア
ンプC-2とB-2のペアに迫る 性能を実現しようとした1台でした。その洗練されたデザインのイメージその
ままに,繊細で洗練された音を持ち,CA-1000Vに比べてパワーアップしているだけに,より音の伸び
が良くなっていました。そして,何よりも美しいアンプでした。同社のプリメインアンプのCAの型番を持つシ
リーズは,このモデルで頂点に達し,この後「A-1桁シリーズ」へと移行していくことになりました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



DC構成の
B級120W+120W
A級30W+30W
プリメインアンプの「芸術品」
とも呼べる銘品


◎B級−A級切換可能なメインアンプ
◎ヤマハオリジナルのデュアルFETによる
 SN比82dBのイコライザ部
◎20ステップ21ポジションの高精度
 アッテネータ使用のトーンコントロール
◎ローノイズMCヘッドアンプ
◎高精度ピークレベルメーター
◎オーバーオールの実特性重視設計




●CA-2000の規格●



■アンプ部■

実効出力 20Hz〜20kHz 0.03%(AUX)B級8Ω 120W+120W
                     B級4Ω 140W+140W
                      A級8Ω 30W+30W
1kHz       0.03%(AUX) B級8Ω 130W+130W
                     B級4Ω 180W+180W
全高調波歪率 PHONO1,2→REC OUT 5V 20Hz〜20kHz       0.003%以下
PHONOMC→REC OUT 3V 20Hz〜20kHz       0.03%以下
TUNER・AUX→PRE OUT OUT 3V 20Hz〜20kHz 0.005%以下
MAIN IN→SP OUT 60W B級 8Ω 20Hz〜20kHz 0.01%以下
               15W A級 8Ω 20Hz〜20kHz 0.005%以下
TUNER→SP OUT 60W B級 8Ω 20Hz〜20kHz   0.01%以下
パワーバンド幅(0.03%歪) B級8Ω 10Hz〜50kHz
A級8Ω 10Hz〜70kHz
ダンピングファクター 45以上(8Ω,1kHz)
周波数特性 PHONO1,2,MC(RIAA偏差) 30Hz〜15kHz 0±0.2dB
TUNER-PRE OUT       5Hz〜100kHz 0+0,−1dB 
TUNER-SP OUT(8Ω負荷) 5Hz〜50kHz  0+0,−1dB
入力感度(定格)入力インピーダンス PHONO 1   2mV(47,68,100kΩ)
PHONO 2   2mV(47kΩ)
MC        50μV(10Ω)
TUNER・AUX 120mV(50kΩ)
MAIN IN    1V(50kΩ)  
最大許容入力 PHONO 1  (1kHz,0.02%歪)  310mVr.m.s
PHONO 2  (1kHz,0.02%歪)  310mVr.m.s
MC        (1kHz,0.02%歪)  7.5mVr.m.s
TUNER・AUX (1kHz,0.02%歪)  20Vr.m.s
出力レベル・出力インピーダンス REC OUT  120mV(600Ω)
PRE OUT      1V(500Ω)
トーンコントロール特性 BASS(fTO 125Hz−500Hz)   ±10dB(20Hz)
TREBLE(fTO 8kHz−2.5kHz)  ±10dB(20kHz)
サブソニックフィルタ 15Hz,12dB/oct
ハイフィルタ 10kHz,12dB/oct
ノイズレベル・SN比 PHONO1,2(IHF-A net work)            82dB
MC     (IHF-A net work)入力50Ωショート 71dB
MC     (IHF-A net work) 入力0Ωショート 68dB
TUNER・AUX・TAPE(IHF-A net work)     100dB
MAIN          (IHF-A net work)     118dB
残留ノイズ                         0.07mV以下



■メータ部■

指示範囲 −50dB〜+5dB
応答速度 100μs
復帰速度 0.95sec



■その他■

定格電圧・周波数 AC100V 50/60Hz
定格消費電力 300W
外形寸法 461W×170H×360Dmm
重量 20kg

※本ページに掲載したCA-2000の写真,仕様表等は,1978年
 7月,10月のYAMAHAのカタログより抜粋したもので,ヤマハ
 株式会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断
 で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意く
 ださい。

 
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