DENDON DP−100MダブルPLLサーボ・ターンテーブルシステム ¥900,000(受注生産・カートリッジ別売)
デンオンが,1981年に発売した超弩級ターンテーブルシステムです。写真の外側のキャビネットは別売で
(¥200,000)コイルバネの車のサスペンションのようなインシュレーターがむき出しのすごいスタイルをし
ていました。写真の電子アームが付属していないDP−100(¥700,000)もありました。ですから,この
写真の状態は合計1,100,000円のすごいシステムだったわけです。(上には上があるでしょうが,私に
とっては雲の上の存在でした。)
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ターンテーブルを駆動するフォノモーターは,放送局用,カッティングマシーン(アナログレコードの原盤を作る
機械)用の強力なアウトローター形3相ACサーボモーターで,331/3rpm,45rpm以外にSP盤も演奏でき
る78rpmにも対応していました。何と針圧1.5kg!までの負荷に対して回転の変動が0%という特性でした。
(通常は大きくても250g程度まで)ターンテーブルは重量級のデンオン独自の二重構造ターンテーブルで,通常のクォーツ制御にダブルPLLサ
ーボを組み合わせて高精度な回転を実現していました。これは,クォーツ制御にPLLシンセサイザーICによる
制御を組み合わせ,放送局用をも超える精度を実現したものでした。さらに,0.1%ピッチで,±9.9%まで
のピッチコントロールができました。付属アームは,ダイナミックサーボトレーサーと称するものでした。これは,水平方向垂直方向の動きをマグネ
ットで検出して電子制御でコントロールするもので,いわゆる電子制御アームでした。DP−100Mのアームは
ダンピングの量とダンピングする周波数をコントロールする機構も装備していました。音の方は,その強固な構造そのままのどっしりした音で,少々の外乱にはびくともしない安定感たっぷりの音
だったと記憶しています。
キャビネットなしでも重量48kg,キャビネットを合わせると総重量63kgのまさに超弩級プレーヤーでした。宣
伝文句のように放送局用(当時,デンオンは放送局用のアナログプレーヤーを多く作っていた)を超える民生用
のプレーヤーでした。アナログの雄デンオンの意地を感じさせられた,心に残る一台だったと思います。自分で
手にすることはありませんでしたが。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
アナログのリファレンスを極めた,
DENONプレーヤー技術の集大成。
◎局用プレーヤー用ハイトルクモーター搭載
◎二重構造ターンテーブル
◎ダブルPLLサーボ方式
◎ダイナミックサーボトレーサー搭載
◎アームパイプ交換方式
主な仕様
●フォノモーター
駆動方式 | DENONクォーツ。両方向サーボ(ダブルPLL)式ダイレクトドライブ |
回転数 | 33 1/3rpm・45rpm&78rpm 電子ブレーキ付 |
回転数微調節 | ±9.9%・0.1%ピッチ |
ワウフラッター | 回転系 0.003%W.rms以下
JIS測定法 0.02%W.rms以下 |
SN比(DIN−B) | 90dB以上 |
負荷特性(0%) | 最外周針圧1.5kgに対し |
ターンテーブル | 上部・下部共アルミダイカスト製の二重構造 |
起動時間(33 1/3rpm時) | 0.4秒以内 |
●トーンアーム
形式 | パイプ交換式
スタティックバランス形 Dynamic Servo Tracer ダイナミックダンピング付 |
アンチスケーティング | 無接触電子式 |
有効長/オーバーハング | 282mm(ロング)/12.5mm |
針圧調整範囲 | 1回転1g・0〜3g(1目盛0.05g) |
適合カートリッジ重量 | 約4g〜28g(ストレート形:ねじ類を含む)
約6.5g〜31g(S字形:シェル等を含む) |
交換用ストレート形アームパイプ | PCL−100(¥16,000)部品扱い |
●その他
消費電力 | 25W(AC 100V 50Hz/60Hz) |
外形寸法(フタを閉めたとき) | W570×H310×D465mm(フタを閉めたとき) |
重量 | 48kg |
付属機能など | スピードサーボ式マニュアルリフター付
(スピードコントロール可能) |
※本ページに掲載したDP−100Mの写真・仕様表等は1984年9月の
DENONのカタログより抜粋したもので,日本コロムビア株式会社に著作
権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をするこ
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