ＬＯ-Ｄ ＨＳ-９０Ｆ
３ウェイ平面スピーカー ￥１６０，０００（１台）
ＬＯ-Ｄ ＨＳ-９０Ｆ
３ウェイ平面スピーカー ￥１６０，０００（１台）
１９８０年にローディーが発売した平面振動板搭載のスピーカーシステムです。この１台から，１９８０年代の平面振動板ブ
ームが巻き起こったといってもいいと思います。テクニクス，ソニー，ビクターなどから様々な方式の平面振動板ユニットを搭
載したスピーカーシステムがＨＳ-９０Ｆに次いで次々に発売されていきました。ローディーは１９７８年に，平面振動板を搭
載した大型システムＨＳ-１００００を発売しました。畳一枚分もあって，しかも壁に埋め込んで使う無限バッフルの考え方の
システムという非常に実験的なシステムで受注生産で１台￥１，８００，０００もしました。さらに，それをやや現実的にした
ＨＳ-５０００を発売しますが，これも高さ１１９ｃｍ，重量約９０ｋｇもある大型システムで，１台￥４００，０００する受注生産品
でした。ＨＳ-９０Ｆは，それらの技術を受け継いだ初の現実的な一般向けシステムでした。
ＬＯ-Ｄ ＨＳ-１００００
５ウェイ平面スピーカーシステム ￥１，８００，０００（１台・受注生産）
ＬＯ-Ｄ ＨＳ-５０００
３ウェイ平面スピーカーシステム ￥４００，０００（１台・受注生産）
ＨＳ−９０Ｆは，オール平面ユニットの３ウェイブックシェルフ形スピーカーでした。ローディーの平面ユニット搭載のシス
テムとしては初のブックシェルフ形でした。ウーファーは，３０cm口径で，メタル単板コーンに軽量な発泡樹脂を充填し
て平面を出したものでした。エッジには，ローディーが開発したギャザードエッジを採用していました。ギャザードエッジ
は，その名の通り，エッジにヒダを付けた形になっており，このヒダの効果により，円周方向にも伸び縮みが自由にで
きるようになり，従来のロールエッジに比べて最低共振周波数を下げることに成功したというものでした。１９６８年発
表の名機ＨＳ-５００の２０cmウーファーに搭載されて高い評価を得たもので，ローディーのスピーカーに伝統的に採用
されてきた自慢の技術でした。
メタルコーンに発泡樹脂を充填することで，より剛性を高めて分割振動を排除し，音圧周波数特性の平坦化を実現し
ていました。同様の方式のユニットは，後にビクターのＺＥＲＯ-７でも登場しました。
この３０cm平面ユニットは１９７８年にＨＳ-６３０に初めて搭載された，大口径３０cmアルミ単板コーン型ウーファーを
ベースにしたものでした。メタルコーンは，スチレンペーパーをアルミ箔でサンドイッチする形では早くから実用化され，
小口径ではオールアルミコーンは海外メーカーでも登場していましたが，ローディーは，１９７６年にＨＳ-５３０で，世
界で初めてアルミ合金一枚板の２５cm口径ウーファーを実用化した実績を持ち，コーンの高剛性化への第１歩を作っ
たブランドでした。このように見てくると，ローディーの平面ユニットは一連の技術の積み上げの中にあることが分かり
ます。
ＬＯ-Ｄ ＨＳ-６３０
ＡＬＬ ＭＥＴＡＬ ３ＷＡＹ ＳＰＥＡＫＥＲ ＳＹＳＴＥＭ ￥７５，０００（１台）
ミッドレンジは，５cm口径のドーム型ユニットに発泡樹脂を充填した形の平面ユニットを搭載していました。トゥイーター
にも同様に，２cm口径のドーム型ユニットに発泡樹脂を充填した平面ユニットを搭載し，オール平面ユニットのシステム
を作り上げていました。
エンクロージャーは，３層構造のパーチクルボードを使用した剛性の高いものとし，結果として，４５ｋｇに達する重量級
のブックシェルフ形システムとなっていました。このように，ＨＳ-９０Ｆは，ローディー（日立）の優れた基礎技術を生かし，ギャザードエッジから始まるローディーのスピ
ーカー技術の一つの集大成的なスピーカーシステムで，その癖のないワイドレンジの音は，当時の水準を大きく超えて
いたと思います。私にとって，今でも印象に残る名機の一つです。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
革新的技術を身近に聴いてほしい。
高忠実度再生の３ウェイ平面スピーカー。
| ◎リアルな重低音再生の大口径３０cmウーファー |
| ◎明確な中音の小口径５cm平面ミッドレンジ |
| ◎優れた広分散性の小口径２cmツィーター |
●ＳＰＥＣＩＦＩＣＡＴＩＯＮＳ●
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| エンクロージャー形式 | バスレフ方式 |
| エンクロージャー内容積 | ８５リットル |
| 使用スピーカー | ウーファー ３０cmメタルコーン，ギャザードエッジ，発泡樹脂充てん平面形
ミッドレンジ ５cmメタルコーン，ギャザードエッジ，発泡樹脂充てん平面形 ツィーター ２cmメタルドーム，発泡樹脂充てん平面形 |
| 再生周波数帯域 | ３０〜２０，０００Ｈｚ |
| クロスオーバー周波数 | ７１０Ｈｚ，３，１５０Ｈｚ |
| インピーダンス | ８Ω |
| 最大許容入力 | １４０Ｗ（音楽信号ピーク） |
| 出力音圧レベル | ８９dB（1m・1W） |
| 外形寸法 | 幅４５０×高さ７４５×奥行４０５mm |
| 重量 | ４５ｋｇ（１台） |
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| エンクロージャー形式 | パッシブラジエーター付バスレフ方式 |
| 使用スピーカー | ウーファー ３０cm発泡樹脂充てん平面形
パッシブラジエーター ３０cm発泡樹脂充てん平面形 ローミッドレンジ ６cm発泡樹脂充てん平面形 ハイミッドレンジ ３．５cm発泡樹脂充てん平面形 ツィーター １．８cm発泡樹脂充てん平面形 スーパーツィーター ０．９cm発泡樹脂充てん平面形 |
| 再生周波数帯域 | ２０〜２０，０００Ｈｚ |
| インピーダンス | ８Ω |
| 出力音圧レベル | ８９dB（1m・1W） |
| 外形寸法 | 幅９００×高さ１，８００×奥行６００mm |
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| エンクロージャー形式 | パッシブラジエーター付バスレフ方式 |
| エンクロージャー内容積 | ２７０リットル |
| 使用スピーカー | ウーファー ２５cm発泡樹脂充てん平面形
パッシブラジエーター ２５cm発泡樹脂充てん平面形 ミッドレンジ ５cm発泡樹脂充てん平面形 ツィーター ２cm発泡樹脂充てん平面形 |
| 再生周波数帯域 | ２０〜２０，０００Ｈｚ |
| クロスオーバー周波数 | ８００Ｈｚ，３，１５０Ｈｚ |
| インピーダンス | ８Ω |
| 最大許容入力 | １５０Ｗ（音楽信号ピーク） |
| 出力音圧レベル | ８９dB（1m・1W） |
| 外形寸法 | 幅５８５×高さ１，１９０×奥行５８５mm |
| 重量 | ８９．５ｋｇ（１台） |
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| エンクロージャー形式 | バスレフ方式 |
| エンクロージャー内容積 | ８５リットル |
| 搭載スピーカーユニット | ウーファー ３０cmメタルコーン，ギャザードエッジ
ミッドレンジ ５．５cmメタルコーン ツィーター ２．２cmドーム型 |
| 再生周波数帯域 | ３０〜２０，０００Ｈｚ（−１５dB無響室） |
| インピーダンス | ６Ω |
| 最大許容入力 | １４０Ｗ（音楽信号ピーク） |
| 出力音圧レベル | ９２dB（1m・1W） |
| 外形寸法 | 幅４００×高さ７１０×奥行３８０mm |
| 重量 | ２５ｋｇ（１台） |
※本ページに掲載したＨＳ-９０Ｆ，ＨＳ-１００００，ＨＳ-５０００，ＨＳ-６３０の写真・
仕様表等は１９８１年２月のローディーのカタログより抜粋したもので，日立家電
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