LS-202の写真
TRIO LS-202
25cm3Way Speaker System ¥45,000(1本)

1979年にトリオ(現ケンウッド)が発売したブックシェルフ型スピーカーシステム。当時,「リニアレスポンス」を
標榜して出されていた「LSシリーズ」の中で末弟に当たる機種ですが,最もロングセラー機となった1台でした。
1970年代後半,「LSシリーズ」でパワーリニアリティと周波数レスポンスを同時に追求し,コンピュータを用い
た3次元データ化による分析で音を磨き,「リニアレスポンス」を標榜していました。この技術的歩みが後の名機
LS-1000等の理詰めで個性的なスピーカーへとつながっていきました。

LS-202の一つ目の特徴は,「音響シールドバッフル」の採用でした。ウーファーによるバッフル板の振動が,
中高域ユニットに伝わらないようにするために,トゥイーター,スコーカーユニットの取り付けられたバッフルの周
囲にスリットを設け,ウーファーフレームによるバッフルの振動がここでストップする構造になっていました。後
のLS-1000等の「LSシリーズ」にも受け継がれ,バッフルのセパレート構造へとつながっていきました。
また,エンクロージャーには,ホモゲンチップボードが使用されていましたが,コンピューターを用いてこのホモゲ
ン材のヤング率とダンピングレシオを測定分析し,両者を同時に満たす新しいホモゲン材を開発し,採用してい
ました。

LS-202の内部

LS-202では,振動による相互干渉に加え,ネットワーク回路におけるウーファーの電流がトゥイーター,ス
コーカーへ漏れる「ネットワーククロストーク」を抑えるため,ウーファー用のコイルとトゥイーター用のコイルを
遠隔配置し,アースラインの導体抵抗を少なくするなどの対策がとられていました。

ウーファーは,25cm口径で,コーン紙に圧縮熱風で成型したホットエア・プレスコーンを採用していました。
このコーン紙は従来のコーン紙より内部ロスが大きく剛性の高いものとなるプレスコーンとノンプレスコーン
の両者のメリットを持つというものでした。
スコーカーは,10cmコーン型で,チャンバー部にセンターポールを設け,コーン紙及びドーム部の分割振動
を抑え,過渡応答特性を高めた構造となっていました。
トゥイーターは,4cmコーン型で,ドーム部とコーン斜面を一体成型して高域のクオリティを高めたもので,エ
ッジ部に特殊制動材を使ってフラットな周波数レスポンスを実現していました。

以上のように,トリオらしい理詰めの設計で当時としては現代的な作りになっていたLS-202は,バランスの
とれた音で人気を得ていました。後のLS-1000等のような剛を感じさせる音ではありませんでしたが,バラ
ンスのとれた聴きやすい音を持っていました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 
 


時代が後を追うLS-202
パワーレベルと周波数分布が,極めて過渡的に変化する,それが音楽。
だから,パワーリニアリティと周波数レスポンスを
別個の特性として追求することは無意味な作業になる。
LS-202はパワーリニアリティと周波数レスポンスを同時に追求。
音の素顔を発見した。
◎各楽器をクリアに分離。
 独自の音響シールドバッフル。
◎電気的クロストークを改善して,
 中・低域の分離があざやか。
◎ローエンドまで音の輪カクがクッキリ。
 HAプレスコーンのウーファー。
◎カラレーションされない,透明な中域。
 センターサポートのスコーカー。
◎するどいトランジェント・レスポンス。
 制動材エッジのツイーター。
◎音のベース,
 エンクロージャーに新・音響ホモゲン材。
 
●LS-202定格●
 

●ウーファーLC-0071●


 
型式 25cmコーン型
再生帯域 25〜3,000Hz
出力音圧レベル 89dB/W(1m)
インピーダンス 8Ω
磁束密度 10,000GAUSS
総磁束 93,400MAXWELL

●スコーカーC-0063●


 
型式 10cmコーン型
再生帯域 260〜13,000Hz
出力音圧レベル 92.5dB/W(1m)
インピーダンス 8Ω
磁束密度 13,000GAUSS
総磁束 33,600MAXWELL

●ツイーターHC-0066●


 
型式 4cmコーン型
再生帯域 2,000〜20,000Hz
出力音圧レベル 92dB/W(1m)
インピーダンス 8Ω
磁束密度 13,000GAUSS
総磁束 15,700MAXWELL

●総合●


 
型式 25cm3ウェイ方式
エンクロージャー バスレフ方式ブックシェルフ型
再生帯域 35Hz〜20,000Hz
最大入力 100W
定格入力 70W
インピーダンス 8Ω
アコースティンクレベルコントロール MID ±2dB・3ステップ
HIGH±3dB・3ステップ
出力音圧レベル 90dB/W(1m)
クロスオーバー周波数 1,000Hz,6,000Hz
寸法 350W×650H×327Dmm
重量 21.5kg
※本ページに掲載したLS-202の写真・仕様表等は1981年2月の
TRIOのカタログより抜粋したもので,ケンウッド株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をする
ことは法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 

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