PART2
国産スピーカーは個性がないとよく言われますが,
どうしてなかなか個性的な音を聴かせてくれたり,
個性的なスタイルをしていたりと,かつての名機・
銘機たちはとても印象的でした。機種が多くなった
ので,2ページ目に入ります。![]()
ONKYO Scepter 5001
オンキョーが1986年に発売した高級ブックシェルフスピー
カーシステム。大きさや見た目はやや大きめのブックシェル
フスピーカーといった感じで平凡な感じですが,その中には,
不要な共振を排除する凝った構造が隠されているため,重
量が70kgもあるヘビー級でした。高剛性を追求した名機と
して記憶しています。
SONY APM-77/77W
APMユニット搭載のスピーカーとして初めてソニーブラン
ドで登場したのが本機でした。その凝った構造ゆえに高級
機としてESPRITブランドで展開されていたAPMスピーカ
が初めて手の届くところに降りてきたといった感じでした。
歪み感の少ないフラットな音は,その外観と一致していま
した。APMスピーカーのその後の大々的な展開の発端と
なったモデルでした。
YAMAHA NS-2000
ヤマハが1982年に発売した大型のブックシェルフ形スピー
カー。名機1000Mを超えるべく開発された意欲作で,特に,
ピュアカーボンを使った強力なウーファーの搭載が大きな特
徴でした。同社自慢のベリリウムドームユニットの改良ととも
に,鮮烈で引き締まった新しい時代の音を感じさせてくれた
ことを思い出します。ユニットが強力なだけにアンプの性能を
要求するなど,使いこなしがいのある名機だったともいえるで
しょう。
PIONEER S-180A
パイオニアが1980年に発売した中級クラスのブックシェルフ
型スピーカー。1978年のオリジナルモデルS-180をルーツ
とし,モデルチェンジで改良を加えられ,ロングセラーを続けた
S-180シリーズの2世代目でした。クラスの水準を超えた強力
なユニットとバランスのとれた明るい音で人気を得ていた名機
だったと思います。このシリーズは,かつて使っていたという方
も多いのではないでしょうか。
Technics SB-10000
テクニクスが1977年に発売したリニアフェイズスピーカーシス
テム。テクニクスが世界の一流品と言われるスピーカーと肩を
並べるべく持ち前の技術を投入したリニアフェイズスピーカー
の頂点ともいえるシステムでした。
YAMAHA NS-690V
ヤマハが1980年に発売した3ウェイスピーカーシステム。
1973年に発売されたオリジナルモデルNS-690から数
えて3世代目にあたるモデルで,伝統のソフトドームユニッ
トと新たに採用されたスプルースコーンによる音は,同社
の名機NS-1000Mとはまた違った魅力を持っていました。
CORAL X-Z
コーラルが1980年に発売した3ウェイブックシェルフ型
スピーカー。コーラルは今はもうありませんが,ユニット
メーカーとして自作派に広く知られていました。そのコー
ラルがスピーカーシステムの分野で広く認められるように
なったのが,このX-Zからだったように思います。価格を
超えた強力なユニットと強靱なキャビネットで10万円クラ
スに匹敵するといわれた名機でした。
Victor SX-3
ビクターが1972年に発売したブックシェルフ形スピー
カーシステム。ネットのない白木のエンクロージャーとい
う従来の常識を覆した大胆なデザインとソフトドームユ
ニットの美しい音で人気をさらいました。その後白木ブー
ムが起きたきっかけともなったヒット作でした。
KENWOOD LS-990A
ケンウッドが1984年に発売した598クラスの主力スピー
カーシステム。いわゆる598戦争の中で生み出された強
力モデルで,今ではとうていこの価格でこれだけの強力な
ユニットとエンクロージャーを持ったスピーカーは作れない
でしょう。当時ケンウッドは,このスピーカーに非常に力を
入れており,モデルチェンジを繰り返しながらより強力な
スピーカーへと変化していきました。オーディオ業界が元気
だった頃を象徴していたのかもしれません。
Victor SX-10spirit
ビクターが1982年に発売したブックシェルフ型スピーカー
システム。1972年発売のSX-3の伝統を受け継いだ集大
成的モデルとして発売されていました。ソフトドームユニット
をベースとした美しい音は人気を博しました。バイオリンを
思わせる,その美しいエンクロージャーも素晴らしいもので
した。
EXCLUSIVE 3401W
パイオニアが1979年に発売したフロア形スピーカーシス
テム。当時,このような大口径ユニットを搭載した本格的
フロア形システムは,JBLなど海外製が主流でした。
その分野にパイオニアが果敢に挑戦した意欲作でした。
そのバランスのとれた豊かな音は,高い評価を得ました。
SONY SS-G9
ソニーが1978年に発売した大型のフロア型スピーカー
システム。G7で高い評価を得ていた「Gシリーズ」の最上
級機として発売され,4ウェイユニットから雄大でかつユ
ニットの音が溶け合ったバランスのとれた音を聴かせて
くれたものでした。
Victor Zero-5
ビクターが1978年に発売したスピーカーシステム。SX
シリーズとは違ったアプローチで作られた新しいシリーズ
として高い評価を得ました。各ユニットの物理特性を高
めワイドレンジを追求し,モデルチェンジを続けながらロ
ングセラーモデルとなりました。
PIONEER S-3000
パイオニアが1987年に発売した3ウェイスピーカーシス
テム。同社が当時バッフル板の無共振化を目指して展開
していた「ミッドシップマウント方式」採用のスピーカーシス
テムの中でも最上級機にあたり,優れた性能を持つユニッ
トとあいまって歪み感の少ない鮮明な音を聴かせてくれた
1台でした。
KENWOOD LS-G5000
ケンウッドが1987年に発売したスピーカーシステム。名
機LS-1000をより高性能化したという感じで,重量48kg
にもおよぶ高剛性・大型の3ウェイシステムが聴かせてく
れる音は,何か凄みを感じさせたものでした。
Victor ZERO-L10
ビクターが1985年に発売した大型のスピーカーシステム。
「ラボラトリーシリーズ」の一つとして出されただけあって,
その中身は「ZEROシリーズ」の頂点あるいは一つの到達
点といえるものでした。ビクターは現在でもスピーカー部門
で頑張りを見せている貴重なブランドです。これからも頑
張ってほしいものです。
ONKYO
Grand Scepter GS-1
オンキョーが1984年に発売した超弩級の高級スピーカー。
「グランセプター」の名の通り,オンキョー史上でも最高級機
でした。オールホーンという個性的な設計により独自の世界
を追求した名機でした。生産数が少なかったためかロング
セラーながら滅多に実物を見ることがなく,幻の1台でもあり
ました。
CORAL DX-7
コーラルが1983年に発売したスピーカーシステム。X-Z
の発展型とも言えそうですが,ユニット,エンクロージャー
とも大幅に進化し,X-Zの元気の良さに滑らかさも加わっ
ていました。コストパフォーマンスの高さは相変わらずでし
た。
TRIO LS-202
1979年にトリオ(現ケンウッド)が発売した3ウェイスピー
カー。当時トリオが展開し始めていた「LSシリーズ」の末弟
にあたる機種でしたが,バランスのとれた使いやすいスピー
カーとして人気機種となりました。
PIONEER S-1000TWIN
1989年にパイオニアが発売したフロア形スピーカーシス
テム。S-55TWIN以来の「バーチカルツイン方式」の集大
成的システムでした。エンクロージャー等の作りもすばらしく
その優れた音場は高い評価を得ました。
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