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CORAL X-Z
31cm 3-WAY SPEAKER SYSTEM ¥69,800(サラン付1本)
1980年にコーラルから発売されたブックシェルフ形スピーカーシステム。この当時から激戦の様相を示していた598ク
ラスより少し高いという価格ながら,10万円クラスに匹敵する強力なユニットを強靱なキャビネットに搭載した超ハイCP
のスピーカーシステムでした。X-Zを最も特徴づけていたのは,大口径のハードドームユニットを使用したスコーカーでした。Mg-Cu添加超硬質軽合
金で直径9cmの大口径を実現したダイアフラムを使用し,エッジには,樹脂を含浸し,さらに異なる樹脂をコーティングし
て熱処理したタンジェンシャルエッジを採用していました。ウーファーとのつながりをよくするために大型のバックキャビテ
ィーを確保し,吸音材を充填して,優れた振動板の実力と相まって,280Hzという低foを実現し,470Hz〜5,000Hz
というワイドレンジを余裕をもってカバーしていました。ボイスコイルには,直径70mmの大口径によるアルミ線使用のエ
ッジワイズ巻きとし,磁気回路には大型のフェライトマグネットを搭載して優れた過渡応答特性を実現していました。
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トゥイーターには,スコーカーと同様に超硬質軽合金のダイアフラムを搭載し,ダイアフラムと一体成形のタンジェンシャル
エッジとして不要な共振を抑えた優れたトランジェント特性を持ったユニットとしていました。高域再生能力は可聴帯域を
超え,30,000Hzに達していました。ウーファーは,31cmの大口径の強力なものを搭載していました。コーン紙には,みつまたと針葉樹をブレンドした新製法
のものを使用し,腰が強く弾力性に富んだ特性により,すぐれたトランジェント特性を実現していました。ボイスコイルには
銅のリボン線を使用した大口径のエッジワイズ巻きの採用で,大型フェライトマグネットと組み合わされ,高い耐熱性と低
歪率化をはかり,切れ込みの良い低音を実現していました。ネットワークも厳選したパーツを使用した強力なものでした。コンデンサーには,メタライズドフィルムコンデンサーを使用し,
コイルには,厳選した磁性材料の積層コア入りコイルを使用していました。このあたり,ヤマハのNS-1000Mを意識した
設計とも考えられる,クラスを超えた豪華なものでした。
エンクロージャーは,高密度チップボードを使用し,内部の強靱な補強処理と相まって,強靱なエンクロージャーとなってい
ました。27kgというクラスを超えた重量もその強靱さをうかがわせたものでした。以上のように,X-Zには,そのキャビネットやユニット構成に,ヤマハのNS-1000Mの影響がうかがえますが,また違っ
た個性を持った鳴りっぷりのよさで人気を呼び,それまでユニットメーカーの印象が強かった同社の実力を,スピーカーシス
テムの分野でも知らしめることになった名機でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
PCMソースを
はじめ,プログラムソースの
多彩な情報を克明な
サウンドで伝えます。◎470〜5,000Hzを受持つ大口径,
広帯域ハードドーム・スコーカー。
◎ピアニシモの表情を際だてる
ハードドーム・トゥイーター。
◎雄々のプレゼンスが得られる
31cmウーファー。
◎音のつながりを徹底的に
チェックしたネットワーク。
◎すぐれたユニット構成にふさわしい
マホガニー調の豪華エンクロージャー。
●X-Zの主要規格●
エンクロージャー型式 バスレフ型 使用ユニット 31cmウーファー
9cmハードドーム・スコーカー
3.6cmハードドーム・トゥイーターダイアフラム素材 Mg-Cu添加超硬質軽合金 公称インピーダンス 6Ω プログラムソース入力 120W 瞬間最大入力 240W 再生周波数帯域 30〜30,000Hz クロスオーバー周波数 470Hz,5000Hz 出力音圧レベル 94dB/W-m 外形寸法 390W×710H×350Dmm 重量 27kg ※本ページに掲載したX-Zの写真・仕様表等は1982年3月のCORAL
のカタログより抜粋したもので,コーラル株式会社に著作権があります。
したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁
じられていますので,ご注意ください。現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
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