S-955Vの写真
PIONEER S-955V
36cm3ウェイスピーカーシステム ¥195,000(1台サランネット付)
パイオニアは,1974年,100kHzまでの超高域の再生を可能としたリボン型トゥイーターPT−R7を発表しました。
そして,これを組み込んだ3ウェイスピーカーシステムを発売。それ以来,何世代にもわたってモデルチェンジをしな
がら作り続けられた歴史あるシステムでした。とにかく,28Hz〜120kHzというワイドレンジは,当時でもショッキン
グでした。

このS−955Vでは,PT−R7以来伝統のリボン型トィーターがさらに改良され,材質に,当時その軽量と高剛性で,
最も理想的といわれたベリリウムを採用しました。(このベリリウムは,あのヤマハのNS-1000Mの ユニットにも採
用されて有名でした。)そして,このユニットはPT-R7Vとして単体でも48,000円で売られ人気があったものです。
これによりシステムの高域特性はさらに改善され,120,000Hzまでの高域特性を実現していました。実際,その
高域のさわやかさは印象に残っています。

PT-R7Vの写真   S-955Vのユニット
PIONEER PT-R7V
RIBBON TWEETER ¥48,000
 

スコーカーには同じくベリリウムをく材質とするドーム型が採用されていました。初代のCS-955以来,形式は変わ
っていませんが,先代のS-955から材質が純ベリリウムになって,より強力なミッドレンジユニットとなりました。

ウーファーは,下のモデルのS-933S-9500にモデルチェンジして,紙コーンがカーボングラファイトに変わった
のに対し上位モデルである本システムは,伝統的な紙コーンのままでした。しかし,そのウーファーは現在では珍し
い36cmという大口径のユニットでした。当時紙コーンは時代遅れといった感じで宣伝されていましたが,このシステ
ムの低音は開放的な聴きやすい低音だったのを記憶しています。現在のスピーカーシステムを見ても紙コーンのユ
ニットはたくさん残っていますから,決して時代遅れではなかったようです

システム全体としての音の傾向は,ワイドレンジで,どちらかというとアメリカ西海岸的な明るい弾むような音がすば
らしかったということが印象に残っています。また,エージングがきちんと進めば,クラシックを再生してもバランスが
よく,音場感もすばらしかったシステムで,名機の一つだと今でも思っています。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



一瞬の静寂の中にアーティストの心を聴く。
トータルエネルギーベリリウムリボンから。
S-955V。
◎繊細な音楽の流れが,澄みきった空気に
 溶けこむように自然に広がる
 ベリリウムリボン型トゥイーター。
◎ワイヤーサスペンション採用のベリリウム
 ドーム型のミッドレンジが音の表情を
 つぶさにとらえる。
◎圧倒的な低音に込められた微妙な表現の
 違いを描き分けて再現する。 
 36cmウーファー。
◎理想的な音響特性を持つアピトン合板を使用。
 マーブルエボニー仕上げのエンクロージャー。
◎相互干渉による歪みをおさえ,
 音の透明度を高める高性能ネットワークを採用。

           

                             
●S−955Vの仕様●

形式 位相反転式ブックシェルフ型
ウーファー 36cmコーン型
スコーカー 6.5cmベリリウムドーム型
トゥイーター ベリリウムリボン型
インピーダンス 8Ω
再生周波数帯域 28Hz〜120,000Hz
出力音圧レベル 92dB/W(1m)
瞬間最大入力 220W(定格/75W)
クロスオーバー周波数 950Hz,5,500Hz
マルチアンプ使用時の 
推奨クロスオーバー
低〜中音:800〜1,500Hz 
中〜高音:5,000〜8,000Hz
外形寸法 465(W)×720(H)×440(D)mm
重量 47kg
※本ページに掲載したS−955Vの写真・仕様表等は1983年11月の
 パイオニアのカタログより抜粋したもので,パイオニア株式会社に著作
 権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等する
 ことは,法律で禁じられていますのでご注意ください。
 

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