S-F1customの写真 
PIONEER S-F1CUSTOM
4ウェイ同軸平面スピーカーシステム ¥875,000(1台)
パイオニアが1981年に発売した,大型のフロア型スピーカーシステム。強烈な印象を残し
た1台です。とにかく,同軸型4ウェイ平面振動板という他に例を見ない構成はスピーカーの
歴史に残るものだと思います。              

とにかく,このスピーカーは,そのユニットがきわめて特徴的でした。4ウェイの正方形型の
平面振動板を持ったユニットで,しかも同軸型というある意味理想を追求した形でした。徹底
的に位相をそろえるという思想が感じられます。その成果は,歌っている人の微妙な動きま
で聴き取れる優れた音像定位に表れていました。                        

4ウェイの平面振動板のうち,ウーファーとミッドレンジは,当時先端を行く高剛性の振動板
素材だったカーボングラファイトを表面材に採用したアルミハニカム構造の振動板を採用し
ていました。トゥイーターとスーパートゥイーターにはこれまた,当時,ハードドームユニットな
どで理想的と言われていた高剛性で軽量のベリリウム箔を用いたハニカム構造を採用して
いました。
4つのユニットは同軸ながら,独立した磁気回路を持ち,ウーファーは40cm角の振動板が
32cm角のボイスコイルによって節ドライブされるようになっていました。ミッドレンジも15cm
角の振動板が,角形のボイスコイルにより節ドライブされるようになっていました。
トゥイーターは6cm角,スーパートゥイーターは2.6cm角で,これをドライブするボイスコイル
は円形で,これも節ドライブされるようになっていました。
磁気回路のマグネットは,ウーファー,ミッドレンジがフェライトで,トゥイーター,スーパートゥ
イーターにはアルニコが使用されていました。                            

平面同軸ユニット

平面同軸ユニットの断面

エンクロージャーは,230リットルの内容積を持ち,高剛性,高密度のアピトン合板製のも
のとなっていました。ネットワークには,珪素鋼板コアを用いたチョークコイルと無酸素銅の
新LI(ロー・インダクタンス)コードが使用されていました。

平面振動板は,現在あまり見られなくなってしまいましたが,平面振動板でここまで理想を
追求したスピーカーシステムは他にありません。そして,その設計思想は,現代の最先端
のスピーカーシステムにも通じるものがあったと思います。 
また,S-F1customのオリジナルモデルS-F1は,1980年の発売で,ブラックのエンクロー
ジャーとメタルメッシュのフロントカバーという,実験機のようないでたちで,これはより希少な
モデルかと思います。

S-F1の写真
PIONEER S-F1
平面同軸4ウェイスピーカーシステム ¥850,000                  
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。




 

かつて経験したことのない音像の世界。
世界初の同軸型平面スピーカーシステム。

◎理想の平面振動板を求めて,
 カーボングラファイト・ハニカム振動板を採用。
◎ピストンモーション帯域を2倍に拡大した,
 節ドライブ方式。
◎エンクロージャー,ネットワーク,コードに至るまで
 素材,部品を厳選。
◎視聴の繰り返しと,最新測定技術によって
 磨き抜かれた音質。
●仕様●


方式 4ウェイ同軸型平面スピーカー
スピーカー構成   
  ウーファー 振動板寸法40cm角 
カーボングラファイト・ハニカム平面振動板
  ミッドレンジ 振動板寸法15cm角 
カーボングラファイト・ハニカム平面振動板
  トゥイーター 振動板寸法6cm角 
ベリリウム・ハニカム平面振動板
  スーパートゥイーター 振動板寸法2.6cm角 
ベリリウム・ハニカム平面振動板
エンクロージャー 位相反転式フロア型
出力音圧レベル 94dB/W(1m)
最大入力 150W
瞬間最大入力 300W
インピーダンス 8Ω
再生周波数帯域 30Hz〜40,000Hz
クロスオーバー周波数 500Hz,2500Hz,8000Hz
エンクロージャー容積 230リットル
外形寸法 700(W)×1,170(H)×440(D)mm
システム重量 110kg(108kg・S-F1)
※本ページのS−F1customの写真及び仕様表等は1983年11月のパイオニアのカタログ
 より抜粋したものです。これらの写真等についてはパイオニア株式会社に著作権があります。
 そのため,無断で転載・引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意ください。  
 

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