オンキョーが１９８１年に発売した大型のスピーカーシステム。後方にもスピーカーユニットを搭載し，全体では何とＯＮＫＹＯ Ｓｃｅｐｔｅｒ ３００
音場型６ウェイ９スピーカ・バスレフ型 ￥２８０，０００（１台）
９つのスピーカーユニットを備えるというシステムとなっていました。アメリカのボーズ社の影響が感じられる音場型
スピーカーシステムで，国産機では他にあまり例を見ない個性的な１台でした。基本的には３８cmウーファーをベースとする３ウェイ・スピーカーシステムで，その後方に６つのスピーカーユニットを
追加した構成になっていました。演奏会場の音楽に含まれる間接音成分による臨場感を生み出すたことをねらった
ものでした。ユニットの指向性のために均一に音場再生が行われず，周波数によりアンバランスになってしまう音響
エネルギーを後方のユニットが補い，全周波数帯域にわたって均一で豊かな音響エネルギーが得られるという方式
でした。ウーファーは３８cm口径のパルプコーンで，円周状にパルプ繊維の方向をそろえた歪みの少ない回転鍛造コーンを
搭載していました。ミッドレンジには，実用金属中最も密度が小さく軽量なマグネシウム合金を使用した直径６．５cm
１００μ厚のドーム振動板とカーボンコーンを組み合わせた１０cm口径の複合型ユニットを搭載していました。トゥイー
ターには，軽量で高剛性を確保した４０μ厚のマグネシウム合金振動板を採用した２．５cm口径のユニットを搭載して
いました。フロントバッフルには基本となる以上のユニットが３ウェイ構成で搭載されていました。後方には，反射音専用のリアラジエータが６個搭載されいました。樹脂系振動板デルタオレフィンによる１０cm口径
のコーン型ユニットが１基，７cm口径のコーン型ユニットが４基，リング型トゥイーターユニットが１基搭載され，リアラ
ジエータも３ウェイ構成となっていました。
以上のように，非常に個性的で特徴のあるスピーカーシステムであったＳｃｅｐｔｅｒ ３００は，音場感やスケール感の
ある独特の音を持ち，鳴りっぷりの良いスピーカーでした。使いこなしは簡単ではありませんでしたが，使いこなしが
いのあるスピーカーだったと思います。弟機にＳｃｅｐｔｅｒ ２００（￥１９８，０００）も登場しましたが，大きくヒットするこ
とはなかったようです。昔から個性的なスピーカーを生み出してきたオンキョーの面目躍如という感じの個性派の名
機として印象に残っている１台です。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
