SP-100iの写真

SANSUI SP-100i

2WAY SPEAKER SYSTEM ¥55,000
                (サランネット付・1本)
 

SP-100iEXの写真

SANSUI SP-100iEX

2WAY SPEAKER SYSTEM ¥79,000
                (サランネット付・1本)
 

SP-100iEX(W)の写真

SANSUI SP-100iEX(W)

2WAY SPEAKER SYSTEM ¥79,000
                (サランネット付・1本)
サンスイが1987年に発売した2ウェイスピーカーシステム。比較的小型ながら,内部の高密度な仕上げと
バッフル面にネジのないすっきりした美しいデザインを持ったサンスイの意欲作でした。写真のように3種類
の仕上げがあり,特に,ホワイト仕上げは野心作ともいえるホワイトピアノと同じ仕上げのピアノフィニッシュ
で,非常に美しいものでした。サンスイ自身も,このSP-100iのシリーズ名にMILANOの名を冠していたこ
とで,手作り感覚の仕上げの美しさも特徴としてアピールしていたモデルでした。

SP-100iの最大の特徴は,凝りに凝ったエンクロージャー構造にありました。従来のフロントバッフルにス
ピーカーユニットを固定する方式では,フロントバッフルが複雑に共振し,さらにユニット内に発生するエネル
ギーでエンクロージャー全体が共振して余分な振動が加わり,音の歪みを生じさせるということで,独自の
「インナーフレームマウント・エンクロージャー」方式を採用していました。これは,エンクロージャー内部のほ
ぼ中央に40mm厚のセンターバッフルを設け,ウーファーフレームと磁気回路をセンターバッフルに固定し,
ユニットとフロントバッフルの振動的な接点をゼロにするというものでした。さらに,ツィーターは,アルミダイ
キャストベースに取り付けられそれを天板に固定するトップマウント方式がとられ,ユニット間の相互干渉も
徹底的に排除するという,非常に凝った構造のエンクロージャーとしていました。SP-100iは,バスレフ方
式のシステムでしたが,スピーカーユニットの音を濁さず,エンクロージャー内の背圧を効果的に利用する
ために,ダクトをリアバッフルに装備していました。
 

SP-100iカットモデルSP-100iのトゥイーター
 
ウーファーユニットは,21cm口径で,振動板の表スキンには,極細1000フィラメントカーボンSSCF(スーパー・
スレンダー・カーボンファイバー・1000本のカーボン繊維を1本の糸に束ねたもので織っている)と適度な内部損
失を持たせた特殊バインダーを採用していました。3層構造とすることで剛性を高め,軽くしなやかで,カーボン特
有の鳴きを抑えた振動板としていました。磁気回路には,直径120mmの大型ストロンチウムマグネットを採用し,
口径30cmクラスの強力なドライブ能力を実現していました。さらに,口径100mmのサブマグネットを加えたツイン
マグネット方式とすることで,漏れ磁束も最少に抑えられ,インナーマウント方式により,磁気回路の振動も抑えら
れていました。また,エッジの特有の鳴きを抑えるために,エッジを表面ではなく振動板の裏から固定することに
よりエッジの表面面積を最少に抑えた「インナーエッジ方式」を採用していました。

ツィーターは,25mm口径のハードドーム・ツイーターで,振動板として,ベース素材にチタンを採用し,その表と裏
にダイヤモンドをイオンプレイティングしたものを使用していました。チタン振動板の両面にダイヤモンド層を施した
のは当時,世界初で,振動板の立ち上がりを高めることにより,ハイスピードな高域特性を実現していました。微
細な振動を防ぎ,ツィーターの優れた特性を生かすために,アルミダイキャストフレームを介して天板に強固にマウ
ントされていました。

ネットワークは,ツィーター用,ウーファー用の素子を分離して,米松素材をくり抜いた中に埋め込み,それぞれ異な
る方向から吸音材にくるんで取り付けられていました。この構造により,エンクロージャーの振動からネットワーク素
子を隔離し,振動による影響を排除していました。さらに,サランネットの取り付け穴をフロントバッフルに設けること
による空洞共振を防ぐために,サランネットをサイドバッフルに固定することで,フロントバッフルから固定穴をなくし
た新方式を採用していました。

以上のように,SP-100iは非常に凝ったエンクロージャーと高性能なユニットを組み合わせたサンスイの意欲作で
した。すっきしりした外観にチタンブラック,ウォールナット,ピュアホワイトの3種の仕上げを用意し,それぞれの仕
上げに合わせて専用のスタンド(L−100)も別売で出ていました。専用のスタンドL−100も頑丈な厚板のMDF
による音質重視設計で,支柱の中に吸音材や砂などを入れてチューニングできるようになったオーディオマニアへ
の使いこなしの楽しみも持たせたものでした。さらに,専用の純銅製のインシュレーター付属の木製ベースなどサ
ンスイのこのスピーカーへの意気込みが感じらました。そして,このSP-100iは,SP-1000,SP-1010と後継
機へと受け継がれて改良を続けながらロングランを続けました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。




 
無共振への到達。
テクノロジーのすべてに,
音楽の血がかよっている。
◎不要共振を防ぎ,音の純度を増した
  インナーフレームマウント・エンクロージャー
  けがれない澄み切った音楽再生
◎音の濁りを徹底追放するために
  エッジを振動板の裏から固定
  独創のインナーエッジを採用
◎クリアな重低音を可能にした
  リアダクト・バスレフ方式
◎強力な磁気回路を搭載
  ハイトランジェントな応答特性で
  音楽がするどく立ち上がる
◎濃密な低域再現力を可能にした
  SSCF(スーパー・スレンダー・カーボンファイバー)
  採用の21cmウーファー
◎世界初,ツイン・ダイアモンド・プレイティング,
  透明感あふれる高域再生を生む
  25mmハード−ドーム・ツィーター
◎外部振動と相互干渉を防ぐ
  2分割アイソレート・ネットワーク
◎空洞共振を防ぐ新方式
  サイドバッフル固定式のサランネット
◎サウンドクオリティを最大限に発揮させる
  専用スタンド&ベース
 ●スピーカースタンドL-100シリーズ(別売)
  ●L-100チタンブラック塗装仕上げ 定価28,000円(セット)
  ●L-100(W)ホワイト塗装仕上げ 定価28,000円(セット)
  ●L-100EX鏡面仕上げ 定価70,000円(セット)受注生産
  ●L-100EX(W)ホワイト鏡面仕上げ 定価70,000円(セット)受注生産
 ●スピーカーベースL-50シリーズ(別売)
  ●L-50チタンブラック塗装仕上げ 定価15,000円(セット)
  ●L-50(W)ホワイト塗装仕上げ 定価15,000円(セット)
●SP-100iシリーズの仕様●


 
SP-100i
SP-100iEX
SP-100iEX(W)
型式 バスレフ方式2ウェイ防磁型 バスレフ方式2ウェイ防磁型 バスレフ方式2ウェイ防磁型
スピーカーユニット 210mmコーン型ウーファー
25mmハードドーム・ツィーター
210mmコーン型ウーファー
25mmハードドーム・ツィーター
210mmコーン型ウーファー
25mmハードドーム・ツィーター
最大入力 120W 120W 120W
インピーダンス 6Ω 6Ω 6Ω
出力音圧レベル 88dB(W/1m) 88dB(W/1m) 88dB(W/1m)
再生周波数帯域 40Hz〜30kHz 40Hz〜30kHz 40Hz〜30kHz
クロスオーバー周波数 1.5kHz 1.5kHz 1.5kHz
仕上げ チタンブラック仕上げ ウォールナット,ポ
リエステル鏡面仕上げ
ホワイト,
ポリエステル鏡面仕上げ
寸法 270W×450H×332Dmm
(グリルなし・スピーカー端子含む)
280W×450H×342Dmm
(グリル付・スピーカー端子含む)
270W×450H×332Dmm
(グリルなし・スピーカー端子含む)
280W×450H×342Dmm
(グリル付・スピーカー端子含む)
270W×450H×332Dmm
(グリルなし・スピーカー端子含む)
280W×450H×342Dmm
(グリル付・スピーカー端子含む)
重量 19kg 19.3kg 19.3kg
※本ページに掲載したSP-100iシリーズの写真・仕様表等は1987年10月
 のSANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に著作権が
 あります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは
 法律で禁じられていますので,ご注意ください。
 
 

★メニューにもどる
       
      
★スピーカーのページにもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp