SONY
ST-A6B
FM STEREO TUNER ¥49,800
1977年にソニーが発売したFM専用チューナー。ソニーは,もともとラジオ受信機に関して
すぐれた技術を持っているブランドで,オーディオメーカーとしてもラジオメーカーとしても高い
技術を持つだけに,すぐれたチューナーを作っていました。前年の1976年に高級チューナー
ST-A7Bを発売していましたが,その弟機として発売された中級機がこのST-A6Bでした。
フロントエンドには,ソニー自慢の精密な7連CGバリコンが搭載されていました。CGバリコン
は,通常のバリコンと異なり,オッシレーター側に羽きざみをもうけ,回転角ごとに周波数を直
接カウントする仕組みで,同調周波数目盛が通信機並みに高精度化されていました。また,局
部発振用オッシレーターをバリコンに内蔵することで,温度,経時変化などの外部の影響も受
けにくくなり,周波数ドリフト(ズレ)も大幅に減少し安定した受信が可能となっていました。そし
て,クラスを超えた7連CGバリコンによるクォドループルチューン方式の受信回路が構成され,
高い妨害排除能力が確保されていました。
精密7連CGバリコンを生かすために,FMフロントエンドのミキサー部には,特性のよく揃っ
た2個のFETを1パッケージにしたデュアルFETを採用していました。温度平衡に優れバラン
ス回路がとられているため,スプリアス妨害比も高くとることができていました。さらに,局部発
振用セクションとミキサー間にバッファアンプを加えた構成で,受信周波数全域で高い目盛精
度が確保され,強電界域にも混変調を起こさず安定した受信が可能となっていました。
IF段には,4素子1パックのユニフェーズ・フィルターが使用されていました。このフィルターは,
高選択度と位相特性の直線性の両立をめざして開発されたもので,4個の素子が1パッケージ
になっており,素子の特性がよく揃っていることで,温度特性などが非常に優れていました。こ
のフィルターにより広帯域低歪率特性と優れた位相特性,そして高選択度を実現していました。
また,ST-A6Bでは,電波状態により,NORMALとNARROWの自動切替機構が搭載され,
チューニングノブ横のスイッチをAUTOにすると,強電界時には,NORMALポジションでより
低歪率に,弱電界時には,NARROWポジションに切替わり,高選択度特性で受信するよう
になっていました。さらに,強電界時でも妨害波を排除する強制NARROWポジションも装備
されていました。
MPX回路には,PLL・ICが搭載されていました。PLL(Phase Lock Loop)は,2つの信号
の位相を比較し,サーボ機構を含んだ閉ループで両者の位相関係を一定に保つようにしたも
ので,MPX回路にPLLを採用することで,パイロット信号,MPX信号の正確さと安定度が飛躍
的に高まり,温度,湿度,径時変化にほとんど影響されず,特性の安定化が実現していました。
機能的には,オーソドックスで,セパレーションをコントロールすることで,ステレオ受信時のノイ
ズを低減するハイブレンド回路,離調時のポップノイズや局間ノイズをカットするリードリレー使用
のミューティング,録音基準レベル信号を出力するCal Tone回路などが搭載されていました。
メーターは,レベルメーターとセンターメーターが搭載され,レベルメーターは,MULTIPATHに切
替えるろことで,マルチパスメーターになるようになっていました。
以上のように,ST-A6Bは,高級機ではありませんが,オーソドックスに技術が投入されたバラン
スの取れたFMチューナーで,使いやすく受信性能の優れた実力機でした。