T−429Rの写真
ONKYO INTEGRAT−429R
SERVO LOCKED FM STEREO TUNER ¥69,800
オンキョーは,デザインはもう一つあか抜けませんが,中身の良い優れた性能のチューナーを作るメーカーでした。
7連バリコン,クォーツロック,オーディオ回路には初めてスーパーサーボを搭載した音質重視型の高級チューナー
T−419も印象的ですが,その技術を受け継いだT−429(1981年発売)の改良型が本機T−429Rです。オン
キョーとしては,恐らく最後の本格的アナログ式チューナーではなかったかと思います。                

フロントエンド部は,ダイレクト入力トリプルチューンの高精度な周波数直線型の7連バリコンを搭載し,デュアルゲー
トMOSFET×2のダブルバランス型ミキサーで構成して,優れた相互変調妨害比はもちろん各種の妨害の排除に
優れた性能を持っていました。強電界にも強い設計でした。また,BOOSTER INにすると,RF増幅が入り,弱電
界にも強い高感度にもなるようになっていました。音の方は,もちろんBOOSTER OUT(DIRECT)の方が良いの
は当然です。この音を聴いて,オンキョーのチューナーもいいなあと思ったものです。

IF部は,帯域の2段切替ができ,受信状態に応じて選択度をWIDEとNARROWに切り換えるようになっていました。
これは,当時の高級チューナーではよく見られました。しかし,実際には,まだ,FM局が少なかったので,活躍の場
はあまりなかったようですが。

そして,オンキョーのチューナーの特徴の一つである,FM帰還方式が搭載されていました。これは,検波器を通った
信号の一部をFMサーボ回路を通して局発発振器にフィードバックして,超精密な信号を扱う局部発振回路の安定と,
IF帯域の拡大,MPX部での位相ずれの防止,NFB効果によるひずみの低減などを図ったものでサーボ技術のオン
キョーらしいものでした。さらに,局発部にはオーディオ部と分離した専用独立給電を採用し,外部からの振動の影響
を排除するメカニカルスタビライザー(つまり,一種のしっかりした固定装置?)を搭載し,徹底的に動作の安定を図っ
た設計だったようです。

L・R分離のMPX部には高速なC−MOSスイッチングを採用し,サブキャリア成分のカットには,アクティブフィルター
とパイロットキャンセラーを採用し,LCローパスフィルターを排除していました。

オーディオ部には,オンキョー自慢のスーパーサーボを採用し,DCアンプを超えた(オンキョー談)サーボオペレーショ
ナルアンプで構成し,低域2Hzまでの広い周波数特性と優れた音質を実現していました。実際,オンキョーのチューナ
ーは,引き締まってクリアな音のトリオのチューナ−などとはまた異なった,磨かれたような美しい音(特にダイレクト時)
を持っていたように思います。優れたアンプ技術が生かされていたのではないかと個人的に思っています。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。

 


FM技術と感性の一大到達点を,
ここに印します。
スーパーアナログ・フォーエバー,
T−429R
◎ひずみ0.004%FM帰還方式,T−429R
  IF帯域幅2段切替
◎ダイレクト入力ポジション付感度2段切替
  トリプルチューン構成,高精度7連バリコン
  相互変調実に110dBのフロントエンド。
◎局発は独立給電方式。
  しかも,メカニカル・スタビライザー装備。
◎高速C−MOSスイッチングのMPX部      
◎センサー付超低域再生回路搭載の
  スーパーサーボ・オーディオ部
◎第3のメーターマルチパス検出付
  デビエーションメータ搭載
定格・仕様
 

●FM部●


 
受信周波数範囲 76MHz〜90MHz
アンテナインピーダンス 75Ω
実用感度 (75Ω/IHF) 
    
0.9μV/ 10.3dBf(RF BOOST ON) 
1.75μV/16.1dBf(RF BOOST OFF)
SN比50dB感度 (75Ω/IHF)            1.7μV/15.8dBf 
ひずみ率 
    
    
         
WIDE    400Hz      0.004%(MONO)  0.008%(STEREO) 
        50Hz〜10kHz                 0.03%(STEREO) 

NARROW 400Hz         0.1%(MONO)    0.3%(STEREO) 
        50Hz〜10kHz                   0.4%(STEREO)

SN比 
  (100%変調1mV入力)
90dB(MONO) 86dB(STEREO)
キャプチャーレシオ 1.0dB(WIDE) 2.0dB(NARROW)
2信号選択度(±400kHz離調) IF WIDE     45dB 
IF NARROW  85dB 
ステレオセパレーション 
  
WIDE     1kHz         60dB 
         100Hz〜10kHz   50dB         
NARROW  1kHz          45dB 
         100Hz〜10kHz   40dB           
周波数特性 2Hz〜15,000Hz  +0.2dB −0.8dB
相互変調妨害比(±1MHz/±2.5MHz) 90dB/100dB(RF BOOST ON) 
100dB/105dB(RF BOOST OFF)
イメージ妨害比(83MHz)   120dB(RF BOOST ON) 100dB(RF BOOST OFF)
IF妨害比 (83MHz)       120dB(RF BOOST ON) 110dB(RF BOOST OFF)
スプリアス妨害比  120dB(RF BOOST ON) 120dB(RF BOOST OFF)
AM抑圧比 65dB(IF WIDE) 55dB(IF NARROW)
キャリアリーク −65dB
出力電圧/出力インピーダンス 固定出力(録音出力)  500mV/3.3kΩ  
可変出力         0〜1200mV/100Ω

 

●その他●


 
定格消費電力(電気用品取締法に基づく表示) 27W
寸法 435(W)×99(H)×393(D)mm
重量 5.6kg
※本ページに掲載したT−429Rの写真,仕様表等は1983年9月のONKYOのカタログより
 抜粋したもので,オンキョー株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を
 無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。   
 

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