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SONY TA-1120F
INTEGRATED AMPLIFIER ¥138,000(1968年頃)
¥148,000(1974年頃)1968年にソニーが発売したプリメインアンプ。1965年に発売され,トランジスタアンプをハ イファイオーディオ用と
認めさせた名機といわれるTA-1120シリーズの最終形で,当時としてはユニークで画期的な内容を 持った先進
的で高性能なアンプでした。プリアンプ部は,各入力の初段に合わせて12個のFETを用いたディファレンシャルアンプ(差動アンプ)を採用して
いたことが大きな特徴でした。差動アンプを採用することで,高いリニアリティを実現し,半導体アンプとして優れた
諸特性を確保していました。プリアンプ部の電源は,+・−2電源方式が採用されていました。
メインアンプ部は,従来のOTL(アウトプット・トランスレス)アンプから,さらに格段のカップリングコンデンサーを
除き,すべて直結結合とし,スピーカーも直接駆動するダイレクト・カップリング方式を採用していました。この方
式により,パワー,歪み特性,ダンピングファクター等が,超低域においても劣化せず,優れた低域特性を実現
していました。そして,この当時のプリメインアンプとしては,80W×2という大出力を比較的コンパクトな筐体で
実現していました。トーンコントロールは,正確な2dBステップで10ステップのスイッチ型で,ブースト量を変えると自動的にターン
オーバー周波数が変わるバリアブル・ターンオーバー・タイプとなっていました。また,トーンコントロール回路を
とばしてフラットな特性にできる,キャンセル・スイッチも装備されていました。
さらに,12dB/octの本格的なハイフィルター,ローフィルターも装備されていました。PHONO入力は2系統,ハイレベル入力としてTUNERとAUX入力2系統の合計3系統を備えていました。また
現在のアンプではあまり見られず珍しいところでは,MIC入力が前面に装備されていました。AUX2入力も前面
に設けられ,背面にあるTUNERとAUX1入力は,レベル調整用ボリュームが装備され,PHONOとの間のレベ
ル合わせができるようになっていました。
また,プリアンプ部とメインアンプ部はスイッチで切り離して独立しての使用が可能となっていました。以上のように,半導体アンプの性能の優秀性を示し,名機といわれたTA-1120シリーズの最終形として,ソニー
のハイレベルなオーディオ技術とトランジスター技術が融合したTA-1120Fは,名機といえる1台でした。その特
性の高さを感じさせるクリアで引き締まった音と機能美を感じさせる精悍なデザインは,半導体アンプの良さを具
現化したものだったといえるでしょう。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎ダイレクト・カップリング方式による
低歪率大出力メインアンプ
◎FETを12コ使った
デファレンシャル・アンプ方式のプリアンプ
●使用頻度の多い3つの入力をワンタッチで選べる
ソニーのアイディア−クイック・アクセス・レバーを採用。
●正確な2dBステップのトーンコントロール。
しかも,補償量によってターンオーバー周波数が変わる
理想的なバリアブル・ターンオーバータイプです。
●12dB/octの本格的なハイフィルター,ローフィルター内蔵。
●プリアンプとメインアンプをそれぞれ単独で使えるよう,
プリ/メインの接続・切り放しスイッチつき。
●各チャンネルのチェックが簡単にできる,
”Check-L””Check-R”スイッチつき。
●チューナーとAUX-1はフォノ入力とのレベル合わせができる
よう入力レベル調整用ボリュームつきです。
●マイクとAUX-2は前面パネルにジャックが設けられ,接続が
容易です。
●2組のスピーカー・システムが使えるスピーカー切換スイッチつき。
●異状動作時にもスピーカーを保護する特殊回路内蔵。
形式 | オールシリコントランジスタ・ステレオプリメインアンプ |
回路方式 | パワーアンプ
ダイレクトカップリング方式,準コンプリメンタリSEPP OTL回路 プリアンプ プラス・マイナス2電源方式,FETを使用した差動増幅器 |
トランジスタ | 79石(FET12石を含む) |
ダイオード | 25個(SCR1個を含む) |
<パワーアンプ部>
出力 | ダイナミック出力:180W(8Ω,IHF規格)
定格出力:80W片チャンネル(両チャンネル動作) |
出力帯域幅 | 8Hz〜30kHz(IHF規格) |
高調波歪 | 0.1%以下(1kHz,定格出力時)
0.03%以下(1kHz,1W出力時) |
混変調歪
(60Hz:7kHz=4:1) |
0.1%以下(定格出力時)
0.03%以下(1W出力時) |
周波数特性 | 5Hz〜200kHz+0,−2dB(1W出力時) |
入力端子 | POWER AMP INPUT
入力感度 1.25V(定格出力時) 入力インピーダンス 100kΩ |
出力端子 | SPEAKER 2個
HEADPHONE 負荷インピーダンス8Ω以上 |
ダンピングファクター | 200以上(1kHz,8Ω) |
S/N | 110dB以上(クローズドサーキット) |
残留雑音 | 0.03μW以下 |
<プリアンプ部>
入力端子 | PHONO 1,PHONO 2
入力感度1.2mV 入力インピーダンス50kΩ MIC 入力感度1.4mV 入力インピーダンス100kΩ TUNER,AUX1,AUX2,TAPE REC/PB(入力部) 入力感度140mV 入力インピーダンス100kΩ |
出力端子 | PRE AMP OUTPUT
出力レベル1.25V 出力インピーダンス1kΩ REC OUT 出力レベル140mV 出力インピーダンス10kΩ REC/PB(出力部) 出力レベル30mV 出力インピーダンス82kΩ |
高調波歪 | 0.02%以下(1kHz,定格出力時) |
混変調歪
(60Hz:7kHz=4:1) |
0.02%以下(定格出力時) |
周波数特性 | PHONO1,PHONO2
RIAAカーブ±0.5dB TUNER,AUX1,AUX2,TAPE REC/PB (入力部)5Hz〜100kHz+0,−2dB MIC 15Hz〜30kHz+0,−2dB |
トーンコントロール | BASS(低音) 100Hz
TREBLE(高音)10kHz±10dB (2dBステップ10段階切換) |
フィルター | LOW FILTER 50Hz以下12dB/oct
HIGH FILITER 9kHz以上12dB/oct |
S/N | PHONO1,PHONO2
70dB以上(入力1.2mV,Aネットワーク) MIC 65dB以上(入力1.2mV,Aネットワーク) TUNER,AUX1,AUX2,TAPE REC/PB (入力部)90dB以上(入力120mV,Aネットワーク) |
<電源部・その他>
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 200W |
電源コンセント | 合計300W(電源スイッチ連動2,非連動1) |
大きさ | 400W×149H×327Dmm |
重さ | 13kg |
※本ページに掲載したTA-1120Fの写真,仕様表等は,1974年
のSONYのカタログより抜粋したもので,ソニー株式会社に著作権が
あります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは
法律で禁じられていますのでご注意ください。
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