TU-1000の写真
O-D TU-1000
ターンテーブルユニット ¥250,000(アームレス・カートリッジレス) 
ローディー(日立)が、1980年に発売した高級ターンテーブルシステムです。ローディーはあまりアナログ
プレーヤーでは知られていませんでしたが、日立の優れたモーター技術を初めとする総合技術を生かして
性能の良いプレーヤーを作っていました。その中でも最高峰になるのがこのTU-1000でした。優れたモー
ターと高い工作精度が生み出すその回転精度は素晴らしいものでした。                    

TU-1000の最大の特徴は、ローディー自慢のユニトルクモーターを発展させた、新開発の磁気浮上式ユ
ニトルクモーターを搭載していたことでした。ローディーのユニトルクモーターは、DCモーターの弱点コッキ
ングを解消するために、固定子のスロット数を増加させるのではなく、モーターの回転原理から完全な円運
動を求めたモーターでした。8極に着磁されたドーナツ型のローターマグネットと、22.5度ずらされた2組の
星形扁平コイルを組み合わせ、これらの2つのコイルとマグネットから発生するトルク量がどの瞬間をとっても
常に一定になるというもので、原理的にコッキングが発生しないモーターでした。構造的にも、ブラシレス、ス
ロットレス、コアレスというシンプルな構造で、耐久性と大きな起動トルク、温度上昇の少なさなどの特徴を持
っていました。                                                        

TU-1000に搭載された磁気浮上式ユニトルクモーターは、ヨークとローターマグネット間の磁気吸引力がター
ンテーブルの重量を打ち消す作用を利用したもので、約6kgの重量級ターンテーブルの重量が磁気吸引力に
より2kg弱となり、軸受け損失が少なくなるというものでした。この作用により、超低ワウ・フラッター0.006%
でターンテーブルは滑らかに回転し、長い軸受け寿命が得られ、経年変化による性能劣化も抑えられるという
ものでした。重量級ターンテーブルを支える軸受けには、直径16mm、特殊ステンレス鋼を熱処理し、真円度
0.1μ級の精密仕上げを行ったものを搭載し、回転部の剛性を高め共振を防ぎ、高い回転精度を支えていま
した。                                                             


 
TU-1000の内部
TU-1000のモーターは、エネルギー積の大きい大型ストロンチウムマグネットの採用などにより、5kg・cmの
起動トルクを発生し、直径330mm、慣性質量850kg・cmの大型アルミターンテーブルを1/4回転以内で
起動することができました。速度検出には、正確な周波数検出を可能にする磁気誘導全周積分検出方式を採
用し、精密着磁技術による300極復号着磁ローターマグネットなどにより高い検出精度を実現し、クォーツロッ
ク・サーボコントロールによりワウ・フラッター0.006%の高い回転精度を獲得していました。さらに、ユニトルク
モーターの駆動コイル内にブレーキ用の検出コイルを巻き込んだ構造の純電子式ブレーキを搭載し、大慣性ター
ンテーブルを1/3回転以内で静かに停止させることができました。                          

6kgのアルミ製重量級ターンテーブルには、裏面に防振処理が施され、徹底的にダンプされていました。アー
ムベースも特殊合金製の重量級、キャビネットは、80mm厚の特殊積層材使用のソリッドキャビネットで、重量
級ターンテーブルと併せ本体の重量は38kgにも達するものでした。さらに、特殊粘弾性材を使用したエアーサ
スペンションによるインシュレーターを持ち、徹底的な防振構造により、抑制の利いた静かな音が特徴でした。

このように、TU-1000は、ローディー(日立)ならではの総合的な高い技術水準が生み出した、高性能なター
ンテーブルシステムでした。この作りと性能で¥250,000ですから、本当に利益があったのかどうかと思える
ほど、ある意味でお買い得な実力機だったと思います。                                
 
 

以下に、当時のカタログの一部をご紹介します。
 



 
 

ワウ・フラッター0.006%を実現。
ローディーの技術を集大成した
高剛性・高精度ターンテーブルユニット
◎新開発磁気浮上式ユニトルクモーター採用
  測定限界に近い低ワウ・フラッター0.006%
  を達成
◎大形ストロンチウムマグネット使用
  高起動トルク5kg・cm
◎直径16mmの高剛性軸・軸受構造
◎強力な制動を可能にした電子式ブレーキ
◎大慣性質量・防振ターンテーブル
◎特殊合金採用重量級アームベース
◎高剛性・防振思想に徹したキャビネット構造

 
 
 

●TU-1000 Specifications●
 
 

●フォノモーター部●


駆動方式 クォーツロックDD
モーター 磁気浮上式ユニトルクモーター
ターンテーブル アルミ製特殊防振処理ターンテーブル
(直径330mm,重量6.0kg)
慣性モーメント 850kg・cm(シート含む)
定格回転数 33 1/3,45rpm
ワウ・フラッター 0.006%(WRMS・FG法)
SN比 78dB(DIN-B)
負荷特性 0%(針圧200g以内)
回転数偏差 0.002%以内
起動トルク 5kg・cm
起動特性 1/4回転以内(33 1/3rpm時)
ブレーキ特性 電子ブレーキ付,1/3回転以内(33 1/3rpm時)

 
 

●キャビネット部●


キャビネット材質 特殊積層ソリッドキャビネット
インシュレーター 特殊粘弾生材使用のエアーサスペンション
付属機能 電子ブレーキ,電源ボックス

 
 

●総合●


電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 16W
外形寸法 本体:幅532×高さ200×奥行448mm
電源ボックス:幅125×高さ84×奥行317mm
重量 本体:38kg 電源ボックス:3.4kg
※本ページに掲載したTU−1000の写真・仕様表等は1980年10月のL−Dの
 カタログより抜粋したもので,日立家電販売株式会社に著作権があります。した
 がってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていま
 すので,ご注意ください。                                  
 

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