極真空手の商標をめぐる裁判の結果について

平成15年9月30日と10月1日の両日、各新聞の全国紙、地方紙は「商標使用の差止め、極真空手の『館長』敗訴」「極真会館、後継者は決めず」「極真の名称使用、弟子に認める判決」等々の見出しの報道をしました。
これは、私たちが、極真会館館長を自称し、ひそかに極真会館の商標を取得した松井章圭氏に対し、私たちの商標の使用を妨害するな、と提訴した裁判の勝訴判決をいっせいに報道したものです。
私達のうち、大石大悟、高橋康夫、田畑繁、七戸康博、桑島靖寛の5名の師範は東京地裁で、岡田幸雄、長谷川一幸、瀬戸利一、三和純、坂本恵義の5名の師範は大阪地裁で、それぞれ別に裁判をすすめてきましたが、偶然にも両地裁であいついでの判決となったのでした。
判決は、いずれも、松井氏に対し、私達が極真会館の道場を運営し、広告を出し、各種大会を行なうときに商標(極真会館の名称や極真のマーク、ロゴ等)を自由に使用する権利を持っており、その使用を妨害するのは違法であると明言し、同時に、過去の妨害に対し合計460万円の損害賠償をせよと命令しました。
判決の主な内容は、以下の3点です。

(1)松井氏は、極真会館の創始者大山倍達総裁の遺言があるということで、後継館長という地位についた。しかし、大山総裁の遺族から、その遺言は偽造であるとの異議が出され、東京家庭裁判所、東京高等裁判所、そして最高裁判所において「遺言は大山総裁の真意にもとづいたものといえない」と判断された。そうである以上、松井氏は自己が極真会館の後継者・館長であることを主張しうる根拠を失った。また遺言とは別に、大山総裁の生前、後継者は松井と聞いたという証言があるが、いずれも信用できず、後継館長の根拠にはならない。
(2)松井氏は、館長を名乗っているが、大山総裁死後、極真会館はいくつかの勢力に分裂したのが実態である。松井氏は、その1派閥の代表にすぎない。にもかかわらず、松井氏は松井派を離れた者は極真ではないと主張している。しかし、極真会館は松井派だけではないことは明らかであり、間違った主張である。
(3)極真会館の商標は、大山総裁がひきいる「極真会館」という団体を表すものとして広く知られているが、それは大山総裁という人物の存在と、そのもとで極真会館に属する各構成員(支部長、分支部長など)が極真会館の名を使用して長年道場を運営し、各種大会を開催するなどしてもたらされたものである。

そして、大山総裁は、その存命中、極真会館の支部長、分支部長などが極真の商標を使用することは当然としてきた。
このような状況のもとで、大山総裁の後継者ではなく、単に1派閥の代表に過ぎない松井氏には、仮に商標権者であるとしても、他の極真会館支部長、分支部長に対して商標の使用を禁止する権利はない。あえて禁止すれば、それは権利の乱用であり、違法行為として損害が発生すれば賠償しなければならない。

この東京地裁、大阪地裁の2つの判決は、これまでの私達の主張を全面的に認めるものになりました。大山総裁亡き後、商標問題をめぐって極真空手界に混迷が続いてきましたが「松井氏には極真会館館長たる根拠がない、松井氏1人が極真の商標を独占することはできない」との判決内容は、今後の極真空手界に一筋の光明をもたらしていくものと考えます。
私達は、裁判で原告となった10名で、いくつにも分裂した極真会館が派閥を超えて「極真」として、大同団結し、創始者大山総裁が残した極真空手を正しく継承し、普及、発展させることを目的に、平成13年12月、全日本極真連合会を立ち上げました。今回の裁判の結果をうけて、極真空手界がさらに大同団結に向かうことを節に望むものです。

2003年9月30日
国際空手道連盟極真会館 全日本極真連合会
理事長 長谷川一幸

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