第一章:プロローグ |
武蔵との戦いを終えた帝都の街。 その活力を取り戻すまでにはまだ時間がかかりそうな様子であった。 そんな時世の中、銀座・大帝国劇場では 春公演「夢のつづき」を上演することを決めた。 少しでも帝都に住む人達を勇気づけてあげられれば。 そんな思いの中、連日の稽古は続く。 しかし、桐島カンナだけは一人落ち着かない様子であった。 あたいたち、ホントにこんなことしてていいのかな。 もっと他にやるべきことがあるんじゃないのかな。 …ええぃ。 考えててもしかたないや。 気晴らしに走ってくるか。 「カンナぁ〜〜〜」 「カンナさぁ〜〜〜〜ん」 「も〜、どこに隠れているんやろなぁ。カンナはん。」 「あたし、あっちを探してみますね。」 「すまんなぁ、さくらはん。 アイリス、うちらはこっちを探してみよ。」 「うん!紅蘭。」 その日もまた、彼女を探す声が帝劇中に聞こえていた。 「もう、またですのぉ。毎日まいにち同じことの繰り返し。 一人くらいいなくなったってどうってことないでしょうに。 ましてやあの………あら。」 |
第一章 「春待草」 〜帝都を走る〜 |
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