こちらのページでは「純正律」という概念を少しでも解かりやすく解説していこうと考えております。 皆様の御意見、御感想をお待ちしております。こちらまでどうぞ。
| 和音 | オクターブ | 完全五度 | 完全四度 | 長三度 | 短三度 | 長六度 | 短六度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 周波数比率 | 1:2 | 2:3 | 3:4 | 4:5 | 5:6 | 3:5 | 5:8 |
以上は西洋音楽における協和音程ですが、いずれも両辺が小さな整数の比率で表せる事が判ると思います。
さて、ではなぜこうした比率の音同士が綺麗に協和するのでしょう。それはどうやら人の声等に含まれる倍音が影響しているようです。
雑感のページでも言及していますが、
互いの音の倍音列において一致する周波数の音が増幅される事によって、前述したハーモニー感という物が感じられるようです。
この辺りで具体的な音を出して純正律ハーモニーを体感できるようにすればいいのですが・・・。
それは今後の課題という事で(^^;)
尚、作曲家/ヴァイオリニスト玉木宏樹ホームぺージには、
純正律と平均律の聴き比べができるページがあります。参考までに。
完全五度
たとえばドとソの完全五度を考えてみましょう。純正律においては周波数比率は2:3ですので、
ソはドの1.5倍の周波数という事になります。
平均律についてはまず半音の周波数比率について考えてみましょう。半音はオクターブ(1:2)を比率として12等分した幅です。
つまり、半音分の比率を12回積算するとオクターブである2となります。よって
(半音の幅)12=2
(半音の幅)=12√2=1.059463094・・・
ところで、ドとソの間には半音の幅がいくつあるでしょうか。ピアノの鍵盤を想像してみて下さい。
| ド | レ |
レ | ミ |
ミ | ファ | ファ | ソ | ||||||||
| \ | / | \ | / | \ | / | \ | / | \ | / | \ | / | \ | / | ||
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |||||||||
1:(12√2)7=1.498307077・・・
という訳で純正律の周波数比率とは一致しない事が判ります。
まあ、12√2という無理数が出てきた時点で少数や分数という整数の比率で表せるはずがない事は自明ですが。
尚、他の音程関係についても平均律の周波数比率を求めておきます。
| 和音 | 周波数比率(純正律) | 周波数比率(平均律) |
|---|---|---|
| オクターブ | 1:2 | 1:2 |
| 完全五度 | 2:3 1:1.5 | 1:1.498307077・・・ |
| 完全四度 | 3:4 1:1.333333333・・・ | 1:1.334839854・・・ |
| 長三度 | 4:5 1:1.25 | 1:1.25992105・・・ |
| 短三度 | 5:6 1:1.2 | 1:1.189207115・・・ |
| 長六度 | 3:5 1:1.666666666・・・ | 1:1.681792831・・・ |
| 短六度 | 5:8 1:1.6 | 1:1.587401052・・・ |
以上のように音程関係が単純な整数比にはならないので純正なハーモニーを形成する事はありえません。
これまでを踏まえると、ことハーモニーという意味においては私達は間違った音を取って歌っているという事になります。
実際、ハーモニーを作る合唱団やコーラスグループは一人一人がハーモニー感覚を持ち、
お互いの音を聞き合ってその都度自分の音程を修正しながら歌う事によって、上記のような誤差を解消しているのです。
とはいえ、これは大変難しい事です。私達Single Singersでもまだまだ音感を作る段階で、曲中での修正は困難を極めます。
現実に曲によっては転調が激し過ぎてメンバーの音感だけでは修正しきれないために音取り方法の再考を迫られた事もありました。
(年表参照)
それは、音取り時に「この音の通りに歌えばハモる」という純正律の理論値による音程で各パートの旋律を作り、
音取りをする事によってあらかじめ各メンバーの音程の誤差を少なくしてハモらせようという荒技です。
実は実用純正律理論のページはそうした音取りテープ作成時の和音解釈法として作成しています。
さて、ここまでくると「具体的に純正律と平均律の誤差がどの位あるのか?」という事が疑問になるでしょう。 それについては平均律の項で一応比率としては求めましたが、あれではいくらなんでも感覚的に理解できる訳がありません。 私自身も「純正律と平均律に誤差がある」事を知って以来9年間、その差を理解しようと苦心してきました。
こうした表現の困難さの理由としては、純正律が比率で表現され、
さらには実用純正律理論のページにみるように積算の積み重ねによって音程の決定が行われている事が、
私達が感じている音の高さの認識法とかけ離れている事にあります。
また、音程幅が相対比率で表現されるという事は、
音がどのような大きな周波数や小さな周波数にあろうとも一律の表現が可能でなくてはならないという事が大きな障害となりました。
ところで、では私達の認識法とはどういったものでしょうか。通常、私達は半音の幅を2つ重ねたものが全音と考え、
長三度の上に短三度を足した幅を完全五度というように音程幅を足したり、引いたりといった加減法で認識しているのではないでしょうか。
12等分された平均律の場合、半音上下の音に対する比率が常に一定であるため半音の音程幅を1単位とすると、
こうした”加減法による認識”は常に正しくなります。
半音の音程幅を1と考えるとその他の音程幅は以下のように表せます。
| オクターブ | 完全五度 | 完全四度 | 長三度 | 短三度 | 長二度 | 長六度 | 短六度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12 | 7 | 5 | 4 | 3 | 2 | 9 | 8 |
ある音とそのオクターブ上の音との間を12等分したのが平均律の音程だから総ての音程は
| a×2y/12Hz | aはAのHz数、A=440Hzならa=440 yは任意の音名に当たる数値、Aの五度上のEなら+7、五度下のDなら−7 |
ここで、2音の音程の比率は
2y/12
で表せるので、純正律の完全五度(比率3/2)の平均律との誤差は
3/2=2y/12
のyの値を出せば解る事になる。
y=12×log2(3/2)=12×log10(3/2)/log102=7.019550009・・・
平均律の場合はy=7だから、誤差は半音の1.955%となる。 平均律の半音の100分の2にも満たないという非常に小さな誤差である事が解かると思います。
他の音程関係についても同様の計算によって求めました。そして、この結果を意識しながら練習していたので、
「半音の何%上下」という言い方が身についてしまいました。
そんなある日、Harmonyに掲載されているYAMAHA HD-81の広告の写真の中で表示されていた数値と私の求めた数値が一致している事に気づき、
自分の理論に自信を持つと同時に、理論の実践のために購入を決意しました。
そして、そのHD-81の説明書を見て初めて、私の考え出した理論がセント理論という事を認識しました。
以下に代表的な和音の平均律との誤差を示します。
| 和音 | 周波数比率 | 数値(cent) | 誤差(cent) |
|---|---|---|---|
| 完全五度 | 2:3 | 701.955 | +1.955 |
| 完全四度 | 3:4 | 498.045 | −1.955 |
| 長三度 | 4:5 | 386.314 | −13.686 |
| 短三度 | 5:6 | 315.641 | +15.641 |
| 長六度 | 3:5 | 884.359 | −15.641 |
| 短六度 | 5:8 | 813.686 | +13.686 |
| 長二度(広) | 8:9 | 203.910 | +3.910 |
| 長二度(狭) | 9:10 | 182.404 | −17.596 |
| 短二度 | 15:16 | 111.731 | +11.731 |
| 増一度 | 24:25 | 70.672 | −29.328 |
このように純正律の周波数比率を数値化する事に成功したので、 それまで私の頭の中で漠然と浮遊していた様々な音程を体系的にまとめる事が可能となり、 実用純正律理論として日の目を見る事になりました。
余談ですが、本稿をはじめ実験室の各ページの執筆にあたってもっとも厄介だったのは、 私のパソコンでは「へいきんりつ」と打つとキチンと「平均律」に変換されるのに、 「じゅんせいりつ」と打っても「純正律」とは変換してくれなかった事でした(^^;)
| レーヴィ・マデトヤ男声合唱曲全集 (株)ワーナーミュージック・ジャパン WPCS-6117/8 |
ヘルシンキ大学男声合唱団(Yilioppilaskunnam Laulayat)の純正律による名演が光る 特に後半に平易なハーモニーによる親しみ易い曲が多いのでオススメ 2枚組で140分近い収録時間でありながら\2,500-足らずの低価格が魅力 |
| オフィチウム ポリドール株式会社 POCC-1022 |
ヒリヤード・アンサンブルのグレゴリオ聖歌とヤン・ガルバレクのサックスのコラボレーション 玉木宏樹氏が推奨しているCDの一つ 個人的には、純正律のコーラスよりもピタゴラス律のサックスの印象が強く、 余り純正律を楽しむというCDではないと思う |
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