アスカがリニアの窓から流れる景色を見ていた。
「そうだね・・長いようで短い5日間だったね・・」
「いろんな思い出も出来たし・・」僕は何とはなく呟いた。
ファーーーン
警笛の音が鳴り響いた
リニアは一路第三新東京市に向かっていた。
裏庭エヴァンゲリオン最終話【絆】Aパート
「重いわねぇ・・シンジ・・そっち持ってよ」
「アスカ・・そんなにおみやげ買ったの?」
「そう言えば、父さんに何か頼まれたような気が・」
「碇君・・」
「何?」
「これ」綾波は長崎名物カステラを僕に差し出した。
「買っておいてくれたの? ありがとう綾波!」
僕たちは、校庭で解散してから、家路についていた。
「一週間も経って無いのに、なんだかこの道が懐かしいわ」
「そう?アスカ」
ガーガシャン
僕は扉を開けて家に入った。
「父さん・・」
そこには、アメリカにいる筈の父が立っていた。
「よく帰って来たな・・シンジ」
「母さんは?」
「奥で寝ているよ」
「うちの両親はまだ向こうにいるんですか?」アスカが父さんに聞いた。
「ああ、当分帰って来れないそうだ・それまでの間、これまで同様一緒に住むように言っていたぞ」
「そうですか・・」
「ま、玄関先で話しても何だから、上がりたまえ」
僕たちは母さんの寝ている寝室に行った。
「シンジ・・おかえり・・」すっかり痩せこけた母、ユイが布団から起き上がった。
「おばさま!どうしたんです?そのお体」アスカが言った。
「シンジ・・アスカ君にまだ話して無かったのか・・」
「父さんが、詳しく僕に説明してくれるって言ってたから・・まだ言えなかったんだよ」
「そうか・・」
「では、説明しよう・・」
僕たちは父さんの話す言葉の一語一句も聞き逃すまいと、熱心に聞いていた。
我々人類が地球に栄える前・・旧支配者と言われる、宇宙空間を移動する事の出来る生命体
クツゥルフ・アザトース・ヨグソトース・ナイアルラトホテップ・イタカ・ツァトウグァ
などの旧支配者と呼ばれる生物が地球を支配していたのだ。
だが、これらの旧支配者は、旧神と言われる善なる高次の生命体に負け、その身を幽閉されているのだ。
眠れるクツゥルフはルルイエに・アザトースは次元の狭間に・ツァトゥグァは大地の下に
ユイの一族・碇の一族は、代々、ナイアルラトホテップに仕えて来た一族だったのだ。
ナイアルラトホテップのみが、意識を奪われず、自由に行動出来る、唯一の旧支配者であった。
太古の人々は旧支配者を 悪魔として捉え、ある一族は神として祭っていたのだ。
碇の一族は代が変わるごとに、一人の巫女をナイアルラトホテップに差し出していたのだ。
碇の血脈に男子が産れると、成人する前に、神隠しにあっていた
だが、それを拒否したのが、ユイ・そしてハルカであったのだ。
旧支配者に仕える一族を根絶やしにする目的であった、六分儀家は、
碇家を滅ぼすように、ゲンドウに命じた。
巫女である、ユイ・ハルカを殺せば、ナイアルラトホテップの血脈を断つ事が出来るのだ。
ゲンドウは弟ユウジと共に、碇ハルカ・ユイに近づいた。
だが、ゲンドウはユイと恋に落ちてしまった。
ゲンドウはユイを連れ、六分儀家の総領である父に頼み込んだ。
古文書の記述に、六分儀の血族には、他の旧支配者の巫女を抱く事によって、
その巫女としての力を失わせる事が出来る事を発見し、
ゲンドウの弟、ユウジもユイの姉、ハルカに惹かれていたので、
ゲンドウとユウジは、ユイとハルカを妻に迎えたのであった。
「それで、父さんとおじさんは、母さんとその姉さんと結婚したのか・・」
「それで全てが終わりだと思ったんですけどね・・シンジ・・あなた達まで、累が及ぶなんてね・・」
「六分儀の血族の力で、巫女の力が奪えるのは、一代限りだったのだ。」
父さんが言った。
「それで、覚醒したレイをナイアルラトホテップが巫女として連れて行こうとしたのよ」
「それはわかったけど、あのエヴァって言うロボットは何なのさ」
「エヴァとは、旧支配者が使役していた、”使徒”と呼ばれる生物なのだ。
それを、碇の血脈の力で、使役しているのだ。
だから、”使徒”を先に発見して、使役出来れば、エヴァになり、
それが出来なければ、旧支配者のしもべになるのだ」
「じゃ、他にも眠っている”使徒”がいるって事なの?」
「そうだ・・」
「じゃ、先に見つけられて、敵として襲ってくると言う事も・・」
「十分にありえる・・」
「おじさま・・わたしの両親もおじさまのいる研究所で働いてるって事は・・」
「そうだ。惣流博士は我々の協力者だ。旧支配者が再び地球を支配せんとしているのを、
防ぐのが、我々ネルフの使命なのだ。」
「ネルフ・・じゃ赤木先生も・・ミサト先生も・・」
「ミサト? ミサト先生が何なのよ シンジ」
「ああ・そうだ葛城教諭も協力者であり、ネルフのメンバーだ」
「わたしの母が死んだ理由は何だったのでしょう・・」綾波が口を開いた。
「ハルカは、アメリカで、ツァトゥグァと言われる旧支配者の解きかけた封印を
再び封印しようとしていたの・・結局ハルカ姉さんは自分を犠牲にして、
再びツァトゥグアを眠りにつかせたの・・」
「じゃ、あの地震は・・」
「そう ツァトゥグァは大地の力を支配する旧支配者だったの・・
そして、その封印をしている時、ツァトゥグァを覚醒させに来た、
ナイアルラトホテップの一人、ラピスをも、封印したの」
「母さん・・・・」
「ユウジの消息はそれいらい、掴めていない・・地震に巻き込まれたか・・それとも」
「そこでだ・・シンジ」
「?」
「レイが再び襲われないようにするにはだな、方法は一つしかないのだ」
「えっ?カヲルと名乗ったナイアルラトホテップは、僕がこの手で撃ち殺したんだよ」
「そんな物で死ぬなら苦労せんよ・・今ごろ身体を再構成させているだろう・・
再進行は時間の問題だ。彼等を消滅させるのは、無理だ・・
なにせ、ナイアルラトホテップは時間にまで干渉し、過去の世界に赴く事すら出来るのだ。
宇宙空間も平気で飛び回る・・もっとも手強い旧支配者だ・・だから、一世代の間、
なんとか封じておけば、エヴァの研究も進む・・おまえたちの次か、その次の世代には
ナイアルラトホテップを滅ぼす事が出来るやもしれん・・だから、今は他に方法が無いのだ」
「方法?」
「さっきも言ったではないか・・レイと寝るのだ。
そうすれば、双方六分儀の力があるので、レイもおまえも、狙われずに済むのだ。」
「えぇ〜〜」
アスカが驚愕のあまり立ち上がった。
「おじさまっ 他に方法は無いんですか?」
「無い・・・これしか無いのだ・」
「シッシンジ!あんたも何か言いなさいよ」
「・・・ラピスがそう言えば言ってたんだ・・
絶対レイと一緒になるなって・・」
「それが彼等にとって、最も恐ろしい事だからな・・
そうすれば、彼等は、次の世代まで眠りに付くしか出来ないのだ。
怒りにまかせて、シンジとレイを殺せば、自らの破滅でもあるのだ。」
「・・・・」綾波は下を向いていた。
「一刻の余裕も無いのだ・・明日にでも彼等が攻めて来るかわからんのだぞ・・
シンジ・・レイを抱け
「ラピスとの約束が・・約束して、レイの居場所を教えて貰ったんだ・・」
「そんな事で懐柔されるんじゃ無い!おまえ達だけでは無い!
全人類の存亡に関わる事なのだ。来いっ」
僕達は父さんに連れられて、玄関に出た。
「アスカ君・・気持ちはわかるが・・全人類の為だ・・何も今すぐ結婚する訳では無いのだ
その時までに、シンジの心を奪えばいいのだ・・いいな」父さんはアスカに小声で言った。
「わ・わかりました」アスカは目から涙を零して、家の中に走って行った。
「場所は用意してある・・この上だ」僕とレイは父さんに連れられて、エレベーターを上がった
そして、父さんはカードキーで扉を開けた。
そこには大きめのベッドが一つ置かれているだけの部屋であった。
「時間が無いのだ・・シンジ・・レイ・・」
そう言って父さんは扉を閉めた
ピー
電子音と共に、扉にロックがかかった。
しかも内側からロックが外せなくなっていた。
視線を感じて振り向くと、レイが服を脱ぎ初めていた。
「綾波・・」
裏庭エヴァンゲリオン最終話【絆】Aパート 終
Bパートに、つ・づ・く!
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