視線を感じて振り向くと、レイが服を脱ぎ初めていた。

「綾波・・」


僕は綾波にかける言葉を頭の中で模索していた。

「碇君・・」
レイが僕の背中に、小声で呟いた

「私の事・・嫌い?」

「そっ そんな事無いよ・・知ってるだろ・・」
「私も碇君が好きよ・・」

「綾波・・」僕は振り向いて、そっと綾波を抱き寄せた。

「んっ」綾波が唇を重ねてきた。

「・・」僕はベッドにゆっくりと綾波を抱いたまま身体を倒していった


裏庭エヴァンゲリオン最終話【絆】Bパート


「碇君・・服脱いで・・」綾波が恥ずかしそうに言った。

「あ・・そうだね」僕は綾波から離れて、後ろを向いた。

そして、僕は服を脱いでいった。
綾波も後ろで下着を脱いでいた。

僕は意を決して振り向いた。

「綾波!?」

そこには死んだ筈のカヲルが、身に何も付けていないレイを後ろから羽交い締めにして立っていた。

「レイを離せ!」僕はカヲルに言い放った。

「それは出来ないな・・僕達も黙って、滅びる積もりは無いからね・・
それにもう待てないんだ・・次の世代まで生き延びるのは無理だしね・」

「そ、そんな事言っても・・駄目だ!レイを離せ!」

「碇君・・」

「別に彼女を取って食う訳じゃ無いんだよ・・碇シンジ君・・」

「駄目だ駄目だ駄目だぁ!」シンジはカヲルに殴り掛かった

パキーン
六角形の光る壁がシンジには見えた。

「痛っ」シンジは右手を押さえて後ろに下がった。

「今日はあれも持って無いようだし、君には何も出来ないよ・・」

「・・・・」シンジは羽交い締めにされている、レイを見つめた。

(力が欲しい・・・綾波を助ける事の出来る・・力が欲しい)
シンジはレイとカヲルを見ながら、頭の中で反芻していた。

「どうしたのかな?シンジ君・・黙ってしまって」
カヲルが笑いながら、片手を緩めて、レイの胸を弄んだ。

「いやっ・・」綾波が顔を歪めた

「やめろ!」

(力が欲しい・・・僕に綾波を助ける事の出来る力さえあれば!)

ドクン

自分の心臓の音だろうか・・強い鼓動がしていた。

ドクン ドクン ドクン

{汝は力を欲しているのか・・だがすでに力は汝の中に息づいておる・}
シンジの頭の中に声が響いた。
{その力・・目覚めさせたいのなら、我と血の契約を交せ}
「な、なんだ」僕は頭を抱えてうずくまった
{血の盟約を交せ・・血の盟約を交せ!}
頭の中に、声が響き続けていた。

「ま、まさか」カヲルが驚愕した顔で僕を見つめた。

(血の盟約を交せば、レイを助ける事が出来るんだな・・)
{ああ 約束しよう}
(では、この身が地獄に落とされようとも、僕は自分の愛する人々を守りたい!血の盟約を交そう!)
僕は決意した。

その瞬間!

{血の盟約は交された 我は汝に災いを為す者を除こう}
頭の中で声が鳴り響いた。


「いかん・・」カヲルはレイを羽交い締めにしたまま、何かを呟いた。

「させるかぁ!」僕は腕を振り下ろした。

次の瞬間!
大音響と共に、実体化したエヴァンゲリオン初号機の腕が、
マンションの壁を叩き割って飛び込んで来た。

カヲルは詠唱していた呪文を中断されて、床に崩れ落ちた。

その隙に、僕はレイに駆け寄った。

「レイ!」
「碇君!」

僕はレイを立たせた。

「何っ?貴様・・まさか血の盟約を果たしたのか?」
カヲルが驚愕していた。

「血の盟約・・おまえは誰と盟約を交したのか知っているのか?」カヲルはシンジに叫んだ。

その瞬間!

エヴァ初号機の腕が動いて、カヲルを握り締めた。

「ぐぅっ」カヲルは初号機の手に握り締められていた。

断続的に、耐え切れない痛みに覆われたカヲルは精神を集中する事が出来なかった。

{今だ!首を斬り落とすのだ}
その声が聞こえると同時に、僕の手の中に、光り輝く剣が実体化していた。

僕は剣を持って、カヲルを握り締めている初号機の手に近づいていった。

「・・・・」僕は剣をカヲルの首筋にあてがった。

すると、カヲルの思念が僕に伝わって来た。

僕たちの誕生を待ち、身体は眠りについたまま、レイの成長を見守っていた事・・
そして、レイに対する思いも伝わってきていた。
母親が地震で死に、泣きながらハルカの名を呼び続けるレイの肩に置いた手・・
だが、精神体であるカヲルにはレイを慰める事が出来ない悲しみ・・
成長したレイと僕が出会ってからも、カヲルはずっとレイを見ていた。

その、切々とした思いが僕に伝わってきていた。

「カヲル君・・君は・・」僕は彼の悲しみに満ち満ちている瞳の奥底を覗いたような気がした。

知らなければ、何の思いもなく、握った剣で彼を殺していただろう・・
だが、レイを想う気持ちは、自分と同じ・・いやそれ以上である事を知った今となっては・・

その時!

僕は背中に衝撃を受けた。

そして、気が遠くなって行くのを感じた。

「碇君!」綾波に揺すられて、僕は意識を回復した。

僕はマンションの中を見詰めた。

壁には大穴が開いており、青空が見えていた。
エヴァンゲリオン初号機は消えていた・・

ぐったりとしているカヲルを、ラピスが支えて立たそうとしていた。

「大丈夫?」
「ラピスか・・すまん・・」

ラピスは僕を睨んで言った。

「よくもお兄ちゃんを! あなたは自分が何をしたのか分かってるの?」

「ぼ、 僕はレイを助けたかっただけなんだ・・」

「だからって、あんな奴と血の盟約を交すなんて・・」

「どういう意味だよ」

「あなた・・・知らずに血の盟約を交したの?」

「さっきの・・あれはエヴァンゲリオンだろ・・」

「ふぅ・・あれは・・あの正体は・・」

「やめろ・・ラピス」
「お兄ちゃん」

「いずれ分かる事だ・・」

「それでは、今日の所は失礼するよ・・」
「約束破ろうとした事・・許さないから」

二人がそういった瞬間 二人とも掻き消すように姿を消していた。

「夢・・じゃ無いよね・・」

僕の足元には、光り輝く小降りの剣が、落ちていた。
あれが夢では無かった事を象徴しているかのようだった。

「碇君・・」
「レイ・・」

その時、足音が多数近づいて来た。

「血の盟約って何なんだ・・」



第10話Bパート 終わり

第10話Cパート に続く!
 


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