裏庭エヴァンゲリオン 最終話【絆】Cパート


「ん・・ここは・」僕はベッドの中で目を覚ました。

「どうなったんだろう・・」僕は起きて、ベッドの上に腰掛けて、考えごとをしていた。

「血の盟約・・なぜ血なんだろう・・どういう意味があるんだ・・
エヴァってなんなんだ・・」

レイを守る事の出来る、力を欲した自分・・
願いはかない、レイを取り戻す事は出来た。
だが、何故こんなに心が揺れ動くのだろう・

綾波を想う度、カヲルの想いが僕につきまとう・・

そして、6時間前の出来事を思い出していた。


ガーガシャン


呆然としている僕たちの前に、父さんと、見覚えの無い制服を着た
人達が、部屋になだれ込んで来た。

僕は綾波に上着を着せてあげたところだった


「シンジ・・何があった」父さんが僕たちの前に立って言った。

「突然カヲルが現れて・・それで・・」

「この壁の穴・・もしやエヴァか?」

「突然・・エヴァの手が飛び込んで来たんだ・・そして・・うっ」
僕は激しい頭痛に襲われた。

「どうした?シンジ!」

「碇君!」

そこまでしか思い出せなかった。

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・

「僕はどうすればよかったんだ・・・」
僕は頭を抱えた。


ガチャリ・・

部屋の扉が開いて、トレイを持った綾波が入って来た。

「碇君・・ごはん・・食べれる?」

「そういえば・・お腹すいたな・・今何時なのかな・・」

「夜の9時半よ」

「そんなに僕・・寝てたのか・・」

「おいしそうだな・・オムライス?
じゃ、いただくよ」僕はスプーンを取った。

綾波は黙々と食べている僕を、ずっと見ていた。

「ごちそうさま・・」僕はオムライスを食べ終えて、トレイの上に置いた。

「碇君・・ケチャップが付いてるわ・・」

「えっほんと? 取ってよ」
僕は綾波の座ってる場所の横にある、ちり紙を取って貰おうと思って声をかけた。

だが、綾波は立ち上がって僕に近づいて来た。

「どうしたの? 綾波・・」

次の瞬間!

レイの舌の感触が唇のすぐ近くに感じた。

「綾波・・」

「このあいだのおかえしよ・・」綾波がはにかみながら言った。

「こ、この間?」

「私が寝てる時に・・」

「あっ・・」僕は顔を真っ赤にしていた。

「碇君・・」

「な、何?」

「私は碇君が好き・・命令されたから、あんな事しようとしてたんじゃ無いの・・
碇君が欲しかったから・・いえ、私が欲しかったのは・・・絆かもしれない・・」

「綾波・・」
僕は目の前のレイの潤んだ紅い瞳に見入っていた。

僕は黙って、唇を重ねた。

「んっ」

綾波が手を僕に回して来たので、僕も綾波を抱きしめた。

寝間着の下では、痛い程になっている自分を感じた。

僕たちはお互いを抱きしめあって、唇を重ねたままお互いの体温を感じていた。

コンコン

扉を叩くノックの音に、二人は現実へと引き戻された。

僕たちは身体を慌てて離した。

「あ、ごちそうさま・・」

「じゃ、片づけるから・・」

綾波はトレイを持って立ち上がった。

ガチャリ

扉が開いて、アスカが室内に入って来た。

「アスカ・・」

「叔父様が呼んでるわよ・・」



僕たちは父さんと母さんのいる、奥の寝室に向かった。

コンコン

「入れ」

僕たちは部屋に入っていった。

「父さん・・話って?」

僕は聞くまでも無いとは思いながら問い掛けた。

「昼間はアクシデントがあったが・・状況が変わった訳では無いのだ・・」

「うん・」

「嫌なのか?シンジ・・」

「嫌って事は無いんだけど・・・その・・」

「今、レイの力を無くす事が出来るのは、お前と私だけだ。
なんなら替わってやろうか?」

「と、父さん!」

「嫌です・・・碇君・・だから・・命令には従おうとしたんです・・」
綾波も即座に言った。

「あなた・・シンジをからかってる場合じゃ無いでしょ」
寝ているユイが父さんに言った。

「ああ・・分かってるよ・・ユイ」

「アスカ君の意見も尊重したい所だが、事は全人類の存亡がかかっているのだ・・
個人の感傷で、大局を誤る事は許されんのだ・・」

「叔父様・・」アスカはいきなり名前を出されて驚いていた。

「二人とも中学生なんだし・・結論を急がせるのは駄目よ・・あなた」

「ああ・・」

「そこでだ・・シンジ・・これに出して来い」父さんが小皿のようなものを僕の前に置いた。

「ま、まさか」

「みなまで言わせるな・・」

「後は、研究室で、レイにシンジの遺伝子情報を取り込ませればいいのだ・・
これでも、問題は解決するかもしれん・・」

「叔父様!」アスカの顔がぱあっと紅くなった。

「この人ったらね・・私たちの時もその方法思い付いてたそうなのに、
その事言わなかったのよ・・ひどいでしょ」母さんが笑った。

「と、とおさん・・」

「・・・・・」父さんは眼鏡に手をやった。
父さんが眼鏡を直す時は動揺している時だと、母さんが言ってたのを思い出した。


「叔父様ったら・・そんなにまで、ユイ叔母様に一目惚れしてたのね」

「・・・・・・」父さんのこめかみに、汗が流れた。

「その時の子供が・・・シンジ・・あなたよ」母さんが笑いながら言った。

「そういう事だ・・シンジ! さっさとしろ!」
父さんは僕に小皿を押し付けて立ち上がった。



「ひどいや・・父さん・」僕は呟いた。

僕は小皿を持って、立ち上がった。

僕は顔を真っ赤にしたまま、自室に向かった。


「もぉ・・父さんも・・・アスカや綾波のいる所で渡さなくたって・・」
僕はぶつぶつ言っていた。

そのせいで、隣にアスカが腰をおろしたのに気付かなかった。

「・・・・・惜しかったかもしれない・・・・」僕は小声で呟いた。

「どうしたの?シンジ」すぐ横でアスカの声がして、僕は驚いた。

「ア、アスカ! いつからそこにいたのさ!」

「シンジが、ぶつぶつ言ってる時よ・・」

「どうして、ここに?」

「叔父様が手伝ってやれって言ったのよ」アスカは平然とした顔で言った。

「て、手伝う?」僕は想像をしてしまい、顔を赤くした。

「うん・・で、どうすればいいの?」アスカが微笑んだ。



ドンドン
「シンジ!どうして、追い出すのよ!
 私は叔父様に言われたのよ!何怒ってるのよ!」

「・・・父さん・・覚えてろよ・・」僕は扉に背中をもたせかけて呟いた。

最終話【絆】Cパート 終わり

最終話【絆】Dパート に続く!
 


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