裏庭エヴァンゲリオン 【体育祭】Cパート



「ほら、バカシンジ起きなさいよ!うーん むにゃむにゃ

「起きろって言ってるでしょ〜〜」アスカに肩を揺すぶられて、僕は目がさめた。


「おはよう アスカ!」僕は、寝ぼけ眼を擦りながらアスカに挨拶した。

「何のんびり してんのよ! 今日は体育祭だから、普段より早く行かなきゃい けないのよ」

アスカが腰に手をやり、胸を張って説明した。

「わかったよ、起きるよ!」僕はベッドから、降りた。

そして、半分寝ぼけながら、寝間着を脱いだ。 後ろにアスカがいるのも、忘 れて。

えーとワイシャツ・ワイシャツ そして、壁のハンガーに掛けてあるワイシャ ツを取ろうとした時、

「キャー エッチ・バカ・変態! レディーの前で何て格好してるのよ!」

パチーン

アスカは言うなり、僕の頬にビンタをした。

「何すんだよ! 何言ってるんだよ! 急げって言ったのはアスカじゃ無いか! 」

僕は訳が分からず混乱した。

「下!下!」アスカが僕を指差した。

「あああぁ」僕はシャツとブリーフ姿でアスカの前をうろちょろしたのに、

やっと気づいた。 しかも、今は朝だ。 アスカが怒るのも無理は無かった。

やっと、完全に目が覚めた僕は、ワイシャツを着て、ズボンをはいた。

アスカが部屋の隅で手で目を覆っていたが、隙間からしっかりと観察していた ようだった。


「それじゃ行ってきます」今日は父も母も家にはいなかった。

運動会の応援に行く為、朝一で仕事をすますとか昨日言ってたのを思い出した 。


僕はアスカと学校に向かって走っていた。

まるで、今日行われる体育祭の予行練習のようでも、あった。

「ちょっと待って!」僕は靴の紐が緩んで、走るのに邪魔になったので、立ち止まった。

「何やってんの! 遅れるわよ!」アスカはそう言いながらも、先に行かず

靴の紐を結んでいる僕を待ってくれていた。

「ほら、もうギリギリよ!」アスカが僕を急かした。

靴の紐を結びおわった僕はこれまでの遅れを取り戻すかのような速さで、校門 に向かった。

「セーフ!」アスカが言った通り、校門での遅刻チェックには間に合った。


「はぁはぁ」僕は息を切らせてしまった。

「ここがセーフでも、教室で遅れたら同じよ!」アスカが僕の腕を引っ張る。

「わかったよ!」僕は何とか、アスカに遅れずに、教室に向かった。

階段を上がり、角を回った時、ミサト先生が教室に入るのが見えた。

「こっちよ!」アスカが教室の後ろ側のドアを開けて入ったので、僕も続いた 。

僕たちが椅子に座り込んだ丁度その時、ミサト先生が教壇に立つのが、見えた 。

起立 礼 着席

委員長の洞木さんが、号令した。

「えー今日は、皆さんお待ちかねの体育祭です!これまでの練習の成果を出し て下さい。」

ミサト先生が、楽しげに言った。


「それと、全員参加の二人三脚なんですが、隣のB組も、奇数なので、

最後に走る組は三人四脚になります! じゃ、決まって無かったのは綾波さんですので、

碇、惣流ペアに一緒に走って貰います!」ミサト先生が、まるでいたずらっ子 のような微笑みを浮かべた。

ここ、新第3新東京中学では、まだ生徒数もあまり無いので、各学年共、2ク ラスしか無かった。

教室のキャパシティは、各学年10クラス分はあるのだが、生徒の数が追いつ いて無いのが現状だった。


故に、体育祭では、各学年のA組チームと、B組チームで勝敗を争うのだ。

去年は、B組チームに、5点差で惜敗したので、一部の者は、臥薪嘗胆の思い で練習してきた。

もちろん、負けず嫌いのアスカの事である。


見ると、洞木さんがそっと僕らにピースサインを出していた。

僕は内心、綾波とペアを組んで見たいと思っていたので、少し嬉しかった。

「ヒカリのやつめ〜 ホントに先生に言ったのか〜」後ろでアスカが唸ってい た。

僕はちらっと、綾波の方を向いた。

うーーん彼女が僕の従兄弟だったとは・・・僕は内心そう思った。


「え〜それでは、着替えて10分後に校庭に集合!」ミサト先生は、少しはし ゃいでいた。

どうやら、体育祭を楽しみにしていたのは、生徒だけでは無いようだ。

女子は着替えを持って、空いてる教室に移動して行った。

僕は運動用のジャージに着替えていた。

「おう シンジ おまえ羨ましいのお〜」トウジは年がら年中ジャージなので着 替える必要が無いので、

僕に話し掛けてきた。


「え、何が?」僕は意味が分からず、問い返した。

「何がやて? 学年一との、評判高い惣流と、惣流と一、二を争う美少女の転 校生に挟まれて走るんやで!

これが羨ましく無い訳なかろうが! 昨日だって、両手に花状態やったやないか!」トウジは一気にまくしたてた。

ジャージを着おわったケンスケも近づいてきた。

「そうそう! 昨日なんか、見ちゃいられなかったもんなぁ」ケンスケも同調 した。

僕たち三人はとりとめの無い話を続けていたが、時間が迫って来たので、教室 を出た。

すると、空き教室から、ぞろぞろと女子も出てきて、合流した。

女子は、夏の体操服とブルマそれに薄手のジャージをひっかけた姿だった。

アスカと綾波が寄ってきた。

「おやおや三馬鹿トリオのおでましね!」アスカが笑った。

アスカの後ろには綾波もいた。


ブルマから伸びた綾波の太股や足は美しかった。

僕はつい、見とれてしまい、顔を赤くした。

勘違いしたアスカが、「バカシンジ何見とれてるのよ! まぁ無理も無いけどね!」

アスカは束ねた髪に手をやった。

「このナルシストが! 誰がおまえを・・」トウジとケンスケは呟いていた。

だが、トウジとケンスケも体操服姿を見入っていたので、その言葉には力が無 かった

綾波は僕の視線に気づいていたのか、綾波も頬を少し染めていた。


僕たちは校庭に着いた。

そして、ミサトさんの前に出席番号順に並んだ。

総勢約二百数十名の生徒がずらっと並んでいた。

出席番号順なので、僕の前に立てっている綾波の後ろ姿を見るのに夢中で、

校長先生の長い話は、僕の耳に入っていなかった。


はっと気づいた時には、「それでは、みなさん怪我の無いように気をつけて下 さい」

校長先生の挨拶は終わりかけていた。


校庭の周りには、生徒の家族達が、シートを敷いて、体育祭が始まるのを待っ ていた。


ふと、一番いい場所のシートの上で、見覚えのある日向とか言う、研究員の姿 が見て取れた。


「ははぁ、父さんと母さんが場所を取らせているんだな!」僕は内心呟いた。


そして、体育祭の幕は切って落とされた。

僕たちは木を組んで作った即席の応援席の椅子に並んで座った。

僕は体育祭のメニューを見た


午前の部 AM10:00〜AM12:00

ラジオ体操
男子百メートル走(全員)
女子百メートル走(全員)

クラス対抗綱引き(男子10名女子5名)

昼食 AM12:00〜PM1:00

午後の第1部 PM1:00〜PM3:00まで


騎馬戦(全男子)

玉入れ(全女子)

借り物競争(男子10人)

借り物競争(女子10人)

500mリレー (男子10人)

500mリレー(女子10人)


15分の休憩の後

午後の第二部 PM3:15〜PM5:30

父兄参加による、餅食いレース(各クラス5名)

小学生向けの、パン食いレース(先着50名様)

A組、B組の全学年での対抗リレー(各クラス男子1名女子1名)

合計1チーム6人で行う、1200Mリレー


二人三脚(全員参加)

フォークダンス(全員参加)

得点発表

終了後、全生徒にて、校庭の清掃を行う。


僕たちは、応援席の前に出て、ラジオ体操の音楽に合わせて体操した。

そして、屈伸運動をしていた時、目の前で屈伸運動している、

綾波が思いっきりおしりを突き出した。僕も屈伸して頭が前に出てたので、

思いっきり直撃を受けて、後ろへ倒れてしまった。

「い、碇君 ゴメン」気づいた綾波が声を掛けた。

「大丈夫だよ ハハハ」ずっと後ろから綾波を見るのに夢中で、

避けられなかったとは口が裂けても言えない僕だった。


ハイ 男子の方は、待機地点に移動して下さい!

腕章を付けた連絡委員が、現れて、僕たちは移動した。

まず1年生から順番に、各組5名 計10名が一緒に走るのだ。

バーン

バーン

乾いた音が運動場に響いている。

僕たちは、待機場所で、ヤンキー座りをして、出番を待っていた。

「なぁなぁ、B組の奴等、陸上部員が7人もいるんだぜ!ちときついよな」

ケンスケが話し掛けて来た。


「まぁ、びりにならないようにがんばるよ」僕は苦笑した。

「シンジ何ゆうてんねん! こないだの練習ではいいタイム出したや無いか! 」

確かに、僕は毎朝アスカと走って登校しているので、わりとクラスでは速い方 かも知れない。

ようやく、一年生が全員走り終わり、僕らの出番が来た。

僕達は、出席番号順に並ばされた。

僕の出席番号は5番 一緒に走る相田ケンスケは1番である。 トウジは番号が もっと後なので、

トウジは僕らと一緒では無い。

「スタートラインについて!」号令がかかる。

僕は奥から5番目に位置し、左側には、B組の生徒で陸上部の部員の、にきび 顔の生徒だった。

彼はニヤリと笑ってスタート位置についた。

この10人の中で陸上部員は彼だけだったので、自信の現れだったのだろう!

用意!


バーン!

鉄砲が鳴るやいなや、僕は走り出した。

先頭に躍り出たのは、先程の陸上部の生徒だった。

僕は3番手ぐらいで、後を追いかけていた。

そして、二回目のカーブを左に回った時、アスカの声が響いた。

「シンジ〜〜負けたらご飯食べさせないわよ〜」

アスカの声を聞いた僕は、無意識の内にスピードを上げて行った

植え込まれた恐怖とは恐ろしい物である。

ゴールまで後30M

僕は二番手に上がって行った。

ゴールまで、後15M
勝ったと思い、陸上部の選手が余裕を見せて、後ろをちらっと振り向いた。

その目は驚愕で凍り付いていた。

すぐ、後ろまで僕が来ていたのが、信じられなかったようだ。

動揺しながらも、彼は前を向いて走り出したが、

後10Mの所で、僕は追い抜いて行った。

バシッ
胸でテープを切る初めての感触に僕は驚いた。

息を切らせてゴールに入ってきたケンスケが寄ってきた。

「シンジぃ 僕は聞いてしまったよ〜 惣流の応援を聞いた途端アレだからなぁ

只の幼なじみってのは、嘘だなぁ〜」ケンスケの眼鏡がきらっとった。

「そ、そんな事無いよ!」僕は弁解した。

「ホントかぁ?」さらに、質問してくるケンスケから、僕はようやく逃れた。

だが、数分後には碇×惣流アツアツ説が、A組に広がっていったのは、想像に難くない。

僕たちは応援席に戻ろうとしていたら、女子が入れ替わりに、待機場所に行く 所だった。

「シンジ! やれば出来るじゃ無い!」アスカが少し誇らしげに言った。

「碇君 すごーい!」綾波も誉めてくれた。

「それじゃ、私達もがんばって来るわね!応援すんのよ!」アスカは待機場所 に行った

綾波も僕に手を振ってから、アスカに続いた。


僕たちは応援席に座って、アスカ達が出走するのを待った。

「シンジ〜」後ろから、母さんの声がしたので、僕は応援席を降りていった。

「今来たの?さっき100M走で1位だったのに、見てないのかぁ」僕は残念 だった。

「私はゴールする直前に着いたから、ゴールするのを見たわよ!

けど、お父さんは荷物持ってたから、見逃しちゃったの

だけど、日向君にVTR回して貰ってるから、後で見せるわ!」母さんは喜ん でいた。


「父さんは?」僕は素朴な疑問を口にした。

「荷物を置きに行ってるわ!」母さんは、微笑んだ。

「もうすぐ、アスカや、綾波も走るよ!」僕はそう言ってから、応援席に戻ろ うとした。

「お昼、アスカちゃんとレイちゃんも連れて来るのよ!」

母さんの声がしたので、右手を上げて答えた。


僕は椅子に座った。

「おう 転校生がこれから走るみたいやな」トウジの声が後ろから聞こえた。

みてみると、端から二番目に、綾波の姿が見えた。

バーン

「ほぼ全員きれいなスタートを切った。」

「おおっと出遅れた人がいます。 2枠2番の綾波レイ選手だ〜」


放送部が実況中継をしていた。

僕たちが走る時も言ってたようだが、走るのに夢中で気づかなかった。


30Mの標識をぬけた時、綾波は最下位だった。

だが、最初のコーナーを曲がった時! 一番いい場所に陣取られた、シートの 上で、

「レイ ちゃーーん がんばるのよ〜」母さんが、ハルカおばさんの遺影を持っ て大声で応援していた。

それを聞いた綾波は顔を上げた。

そして、自分を応援してくれる人がいるのに、胸が熱くなってきた。

応援が効いたのか、70Mの標識をすぎた時には、5番手まで上がって来た。

「おおっと2枠2番の綾波レイちゃんが、いきなりスピードアップだぁ」実況 中継が盛り上がる。

「綾波〜 もう少しだ 頑張れ〜」僕は思わず立ち上がって手を振りながら、応 援した。

「碇君!」綾波は二段スパートを始めた。

「おおっと出遅れていた、綾波選手が、あれよあれよという内に3番手まで上 がって来ました!

頑張れ もう少しだ!」放送部の部員も綾波のファンになってしまったようだ 。

残り10Mの所で、1人抜き、最後の10Mで先頭の選手を追い抜いた。

「ゴ〜〜ル 今、綾波選手が一着でゴールイン 確定しました!」放送部員も立 ち上がって喋っていた。


「それでは、陸上部の顧問の山岡先生に伺います。」

「どうですか、今の綾波選手の走りは?」

「いやぁ出遅れが無かったらぶっちぎりの一番でしたでしょうけど、

あの不利な体勢から、すばらしい走りを見せてくれました。

早速陸上部に勧誘いたします!」

「山岡先生でした〜」

次のレースが始まっていたが、放送部員と、山岡先生は話し続けていた。


綾波のレースから、4つ後のレースに、アスカが出てきた。

バーン

10人の選手が一並びのまま、40M程走り続けた。

「いや〜どの選手も出遅れ無しでいいスタートでしたねぇ山岡先生」

「そうですね〜 おっと、一人抜きんでてきましたよ!」

「おっとあれは、3枠3番惣流アスカ選手ですねぇ」

アスカは後続の選手をぐんぐん追い放した。

そして、最初のカーブでは、後続に10Mの差をつけていた。

「アスカちゃーーん」母さんが手を振っていた。

「さぁ惣流選手このまま逃げ切れますかね?山岡先生!」

「いや〜この生徒は、やけくそ速いのに、陸上部に入ってくれなかったんです よ!

この選手が入れば、先の関東大会で決勝進出できたかも知れませんね〜

どう考えても惜しいです。」

「アスカ〜」僕は手を振った。 男子生徒の冷たい視線が気になったが、

アスカが応援してくれたので、自分が勝てたので、気にせずに続けた。

「ゴール 惣流選手危なげの無い走りで、後続を15Mも離してのゴール!」 放送部員が叫んだ。

走り終えた女子が、応援席に戻って来た。

「アスカ 綾波 おめでとう!」僕は二人に声を掛けた。

「ん〜まぁ当然の結果ね!」アスカは胸を張った。

「碇君が応援してくれたからよ!」綾波は頬を染めた。


そして、3年の女子も走り終えた。

次のプログラムは綱引きだが、僕はこれに出場せず、午後の第二部の対抗リレ ーに出る事になっている。

アスカと綾波は、午後の第一部の借り物競争に出る事になっているので、二人 とも綱引きのメンバーでは無い


「そんじゃ〜行ってくるわ!」「じゃあな」トウジとケンスケは綱引きのメン バーなので、

グラウンドに歩いて行った。

「私走るの苦手だけど、これならね!」洞木さんも綱引きのメンバーだった。

「鈴原と一緒に出来るからでしょ!」アスカは洞木さんの耳元で言った。

「何いってるのよ、そんなんじゃ!」洞木さんは顔を赤くした。

その時の僕は顔を赤くした理由を知らなかった。


セーノ セーノ

一年生の試合では、A組は負けてしまった。

セーノ セーノ

「トウジ ケンスケ頑張れ!」

「ヒカリー 頑張れ〜」

2年のA組対B組の試合は我等がA組の勝ちだった。

「よ〜し いけ いけ〜」僕は声に驚き、振り向くと、

ミサト先生がビール片手に声を出していた。

足元には”エビチュ”の空缶が散乱していた。

3年生の試合もA組チームが勝利を収めた。


「それでは、中間報告を致します。A組チーム47点」
わーーーーーA組の応援席から声が沸いた。

「B組チーム45点です 」
わーーーーB組の応援席からも声が沸いた。

「それでは、1時間の昼食に入ります 生徒は一旦教室に集合して下さい。」


ぼくらはぞろぞろと教室に帰って行った。

ミサト先生が、「ハイっ では弁当を支給します!ここで食べてもよし
外で父兄と食べるもヨシ 自由行動にします」と言った。

「シンジいきましょ!」アスカが声を掛けた。

「ちょっと待ってて」僕はアスカにひとこと言ってから、

綾波の席に向かった。

「綾波! お昼ご飯外で一緒に食べようよ!」僕は綾波に声を掛けた。

「碇君 いいの?」綾波が、ちらっとアスカの方を見て言った。

「いいからいいから、父さんも母さんも待ってるし!」僕は綾波を急かして、 校庭に向かった。

「ま、従兄弟なんだからしょうが無いわね」アスカもぶつぶつ言いながらつい て来た。

僕たちは、父さんと母さんの待つ、校庭のシートに向かった。

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