裏庭エヴァンゲリオン第二話【嘘】Aパート


「碇君 起きて! もう7時30分よ!朝御飯食べなきゃ!」

何故か、綾波が僕を呼んでいるような声がするけど・・幻聴だな。ZZZ

「もう起きてよ!」毛布が外れたのか、何となく寒い

「・・・・」静かになったので、僕は更に深い眠りについた。


「碇君 私と一つになりたい?それはそれはとても・・・」


珍しくいい夢だな 色も付いてるし・・


何故こんな夢見るのかな? あ、そうだ昨日綾波が・・・


「綾波!?」僕は目が覚めた。

「碇君 おはよう! 」綾波が何故か少し赤い顔をして、座っている。

「あ、おはよう 起こしてくれたの?」僕は疑問を口にした。

綾波は「もうすぐ食べられますので」と言ってキッチンに向かった。

僕は寝間着を脱ぎ、ワイシャツを着てズボンをはいた。

「今何時なんだ?」僕は時計を見た。

「まだ7時40分じゃ無いか! けど、たまにはいいか!」

僕は呟きながら、食卓に座った。

「おはよう シンジ でも、こんなに早く起きるなんて、

珍しいわね!今日は洗濯物を外に干さない方がいいかも」

母さんが本気とも冗談とも取れるような事を言った。

ま、たしかに、朝御飯を食べるなんて久しぶりだとも思った。

綾波は、母さんを手伝い、みそ汁を御椀に入れていた。

「シンジ・・」新聞を読みながら、父さんが僕を呼んだ。

「何?」

「手を出しちゃいかんぞ!」

父さんは母さんと綾波に聞こえないように言った。

「そ・そんな事!」僕はうろたえてしまった。

「ならいい」父さんはまた新聞を読むのに没頭した。

「ところで、レイ! 名字なんだが、綾波でも、六分儀でも碇でも

どの名字を名乗ってもかまわんのだぞ どうする?」

レイは、味噌汁を入れたトレイを手にして、少し驚いた。

「・・少し、考えさせて下さい。」

綾波はそう言ってから、味噌汁を置いた。

「私は、”碇レイ”も語感がいいと思うけどね!

六分儀レイはちょっとね! 綾波レイも悪く無いわね」

母さんが御飯を食卓に置きながら言った。

「碇レイかぁ」僕は呟いていた。

「ま、6・7年もしたら、碇レイになってるかもね!」

母さんが僕の顔を覗き込んで笑った。

「もぅ 冷やかさないでよ〜」僕は味噌汁を飲んだ。

「そうだな 従兄弟は結婚出来るからな 問題無いぞ シンジ!」

ブッ僕は危うく味噌汁を吹き出しそうになった。

「父さんまで・・」

綾波も、顔を赤くしながら、御飯を食べていた。

僕は久しぶりに朝食を食べて家族と朝をすごした。

「シンジ 早く起きるのも悪くないでしょ!」母さんが微笑んだ。

「けど、アスカちゃんの楽しみは減るわね!」母さんが笑った。

丁度その時、

ガーガシャン

「おはようございます おじさま おばさま!」

「それじゃ、シンジ君を起こして来ます!」

アスカは僕の部屋に向かおうとした。

「おはよう アスカ もう起きてるよ!」僕はアスカの背中に声をかけた。

ええっ あんたがこんな時間に起きてるなんて、どういう事?

今日は傘持って出かけなきゃ!」アスカが真顔で言った。


アハハハハハハ皆の笑い声が響いた。


それじゃ、行ってきます!

僕たちは、学校に向かった。

「え〜そーなの?碇君ってそんなに寝起きが悪いの?」

「そうなのよ! いつも、てこずらせてくれるわよ!」

「それなのに、どうして起こしてたの?」

「ま、仕方無くね!」

「その割りには、毎日まめに起こしに行ってたのね!」

「うっ」(引き)

僕は楽しそうに話しながら歩く綾波とアスカの後を、

とぼとぼついていった。

僕はふと時計を見た。

「アスカ 綾波 もうこんな時間だよ!」僕は二人に言った。

「ええっ あんなに早く出たのにぃ?」

「走りましょう!」

僕たちは学校目指して走って行った。

僕達は校門をぬけた。

「あれ、今日は遅刻チェックの当番がいないなぁ」僕は不審に思った。

「バカシンジ まだ8時10分じゃ無いのよ!」

アスカが、校舎にある大きい時計を指差して言った。

「ええっ そんな!」僕は自分の時計を見た。

「ゴメン 電池が切れてたみたい!」

昨夜の8時30分から針は動かなかったようだ。

「もぅ〜しょうが無いわね!」アスカがやれやれといった感じに手を上げた。

「ま、たまには早いのもういいかもね!」僕は言った。

僕たちは土足を脱ぎ、室内履きに替えようとした。

ドサドサッ ×3

僕と、綾波と、アスカの下駄箱に大量のラブレターが入っており、

蓋をあけた勢いで、落ちて来たのだ。

「おっ 碇に惣流に綾波やないか? えらい早いなぁ」トウジが靴を脱いだ。

「ん、それどないしたんや?」トウジがラブレターに気づいて寄ってきた。

「こりゃまた、大漁だなぁ 」トウジは少し驚いていた。

アスカはこういう事が少なからずあったので、驚いて無いが、

綾波は転校してきたばっかりだから、そういう事は無かったし、

僕に至っては、バレンタインデーにアスカから義理チョコを毎年

1枚貰うだけだったぐらいなので、こういう状況には慣れて無い。

すでに、三人のラブレターは完全に混ざってしまい、収拾がつかなく

なっていた。

「ほら シンジ かばんを開けなさいよ!」アスカが言った。

「取りあえずまとめといて、後で整理したらいいのよ!」

僕のかばんには3人分のラブレターが詰め込まれた。

その頃には、ケンスケも現れ、トウジから事情を聞いた彼はこう言った。

「なるほどね! 碇は昨日体育祭で目立ちすぎたんだよ!

500M走や、対抗リレーでな! 俺達は応援席にいたんだけど

一年や3年の女共がキャーキャー言ってたからなぁ」

ケンスケは僕にそう解説してくれた。

「こんなぼけぼけ〜っとした奴のどこがいいのかねぇ」アスカは呟いた。

「その言葉そっくりそのまま 返してあげましょうか?」

綾波がアスカの耳元で囁いた。

「うっ」(引き)次の瞬間アスカは顔を赤くしていた。

「勘違いしないでよね! なんで私があんなバカシンジを!」

アスカは綾波に言い返した。

「アラ、碇君がクラスで一番好きなんでしょ!」綾波はさらっと言った。

「うっ」(引き)&&

どうやら、綾波は昨日の借り物競争の事を言ってるようだ。

しかし、あの”口から先に産まれたオンナ”と言われているアスカを、

ああもやり込める綾波って一体?

ブルブルッ 恐い想像をしてしまった。

僕は何も言えず、聞こえなかったふりをして教室に行った。

「おい惣流 もうミサト先生がそこまで来とるぞ!」トウジがアスカに言った。

僕たちは教室に入り、席についた。

ガラッ ミサト先生が教室に入って来た。

ミサト先生が教壇に立った。 少し顔色が悪いみたいだ。

起立 礼 着席

「みんな、おはよう 昨日はよくやったわね!それじゃ、

私が受け持つ次の社会科の時間は自習にします!」ミサト先生が、言った。

ワーーー 室内は歓声に包まれた。

ミサトさんは、少し足元がふらついていた。

ミサトさんは教室を出て行った。



果たしてミサト先生に何があったのか?

ここから、私(作者)が追跡取材致します。

おおっとミサト先生は、階段を降りました。


われわれ取材班は、ミサト先生の足取りを追った。

おおっと ここは保健室ですねぇ どうしてこんな所に入って行くのでしょうか?

ミサト先生が中に入ってから5分何の動きも見られません。

それでは特殊カメラで室内の様子を見てみましょう!


「無様ね」赤木先生が、ベッドで横たわっているミサト先生に何か言ってます(小声)

「どこの世界に宿酔いで、授業さぼってこんな所で寝る教師がいるのかしら!」

「そんなに苛めないでよ〜 優勝しちゃったから、後の宴会で飲みすぎただけじゃ無い!」

どうやら、優勝した、各学年のA組の先生と飲んでたようですね。(小声)

「それに、宴会以前に、応援席でビールを何本も飲んでたという生徒の証言もあるわよ!」


「・・・・zzzz」

「ミサト! 寝たふりしても駄目よ!」


さて、真実も解った事ですので、カメラを碇君に戻しましょう!



僕と、アスカと綾波は集まって、ラブレターの仕分けをしていた。

「はい これはレイの分!」

「これは、シンジの分!」

「ああっ 何よこいつ! 私とレイの両方に出してるじゃないの!失礼な奴ね!

レイ!破いてもいいわよね!」アスカは憤慨していた。


「碇君 男の子からも、きてるわよ!」綾波が僕に言った。

「そんなのも捨てちゃってよ!」僕はげんなりとした。

どうやら、二年の間では、僕とアスカとの事もあり、誰もラブレターを出してないようだ。

その事を知らない、1年や3年生が手紙を書いたのだろうと、推測される。


ラブレターの仕分けをしている僕たちをケンスケとトウジは遠い目で見ていた。

仕分けも終わり、僕たちはいろんな話をしていた。

「ねぇシンジ 明日の振り替え休日はどうすんの?」

「ん〜疲れたから、外には出たく無いなぁ そうだ、昨日言ってたけど、

日向さんが撮ってくれた体育祭のVTRをみんなで見ようよ」僕は提案した。

アスカは「そうか コイツもいたんだ!」と言いたげな顔で綾波を見た。

「まぁ いいわよ! じゃ明日はそういう事で!」アスカが言う。

「昼までは寝かせてくれよ!」僕は哀願した。

「ま、しょうがないわね!」アスカが言った。 綾波は苦笑しているようだ。

キーンコーンカーーンコーーン そして、終了の鐘がなった。

「さて!」僕はトイレに行っておこうと思い、席を立った。

廊下を歩いていると、左右の肩をつかまれた。

「よぅシンジ!」ケンスケと、トウジだった。

僕は二人に挟まれてしまった。

「なぁ シンジちょっと聞きたい事があるんやけどな!」トウジが言った。

「結局おまえ どっちが本命なんや! アスカか?綾波か?」ケンスケも聞いてきた。

「そ、そんな事分からないよ!」僕は少し驚きながらも、答えた。

「自分の事だろ 分からない筈無いだろ!」ケンスケも追求してきた。

「あの、僕トイレに行きたいんだけど!」

僕はそう言ったが、二人には逃げ口上にしか聞こえ無かったようだ。

「なぁシンジ どっちを選ぶのかはおまえの勝手や! けど二股はいかんぞ!」

トウジが珍しくまじめな顔をして、言ったので僕は少し驚いた。

「そ、そんな事してないよ!」僕はキッパリと言い放った。

二人は納得したのか、教室に戻った。

もう休み時間も少ないので、僕は急いでトイレに行き、用を足した。


次の授業は数学だった。 初老の先生が、何度も同じ話を繰り返すので、

僕は早起きした事もあり、眠くなってきた。

ピーピー その時、学習用の端末に、メッセージが届いた。


「シンジ君はアスカと、レイさんと、どっちが好きなのですか?」

「綾波さんなら、Aのキー 惣流さんならSのキーを押して下さい」

A/S

僕は、驚いてしまい、画面を見つめ続けていた。

更に、メッセージが届いた。

「それとも二股してるの? Y/N

僕はそのメッセージにも返答できなかった。

そして、三度メッセージが届いた。

「ホントは、二股してるんでしょ! Y/N

僕は、誤解されるのがいやなので、返事をした。 カタカタ N O リターン

そして、次は別のIDの人からも、メッセージが届いた。

「惣流さんはキライ? Y/N

カタカタ N O リターン

同じ人から、再びメッセージが届いた。

「綾波さんはキライ? Y/N

カタカタ N O リターン

やっとメッセージが来なくなったので、僕は少しほっとした。

すると、洞木さんが、こっちを向いて首を振った。

次の瞬間

「アスカに聞いたんだけど、綾波さんと同棲してるってホント!?」

カタカタ N O リターン

再び、洞木さんからメッセージが届いた。

「聞き直すわね! 綾波さんと同居してるってホント? Y/N

僕は悩んでいた。

催促するメッセージが来た。

「ホントなんでしょ! Y/N」

僕は、相手が洞木さんだからと、信用してキーを打った

Y E S リターンパシッ

えーーーーーーーっ

教室のあちこちから、叫び声が上がった。

あっという間に、僕は女の子やトウジ達に囲まれた。

「ねぇねぇ いつから同棲してるの?」
「アスカとは別れたの?」
「いや、同居してるだけだよ!」
「シンジ〜貴様と言う奴わ〜」
「シンジ君!君には失望したよ!」
「いいかげんにEパート見せろ!」
更に、綾波の所にも女の子が群がり、

「いつから付き合ってたの?」
「結婚式の時は呼んでね!」
等 とりとめの無い話をしていた。

その頃洞木さんは、愕然としていた。

ぽんっ 洞木さんの肩をアスカが叩いた。

「ヒ〜カ〜リ〜 あんたスクランブルかけて無かったでしょ! 私の画面にも出てきたわよ!」

「ゴ、ゴメン!」


いつまでたっても、離れてくれないので、業を煮やした僕は大声で言い放った。

「綾波は僕の従兄弟なんだよ だから、一緒に住んでたって問題無いだろ!」

一瞬教室は静かになったけど、・・・

「嘘ね!」
「もし、そうだったとしても、従兄弟なら結婚出来るし・・」
「従兄弟だからって、なんで碇君の家に住むのよ! やはり同棲よ!」


切れたアスカが言い放った。

「あーうるさいわね! もちっと綾波の身になってあげなさいよ!」

一瞬教室が静かになったその時、綾波が口を開いた。

「碇君が、従兄弟だというのは、一昨日わかったの!」

「一緒に住んでいるのは、私の父さんも母さんもセカンドインパクトの後の混乱で・・」

「孤児院にいたんだけど、碇君のお父さんお母さんが、一緒に住みましょうって言ってくれたの!

「碇君に迷惑かけたくなかったんだけど・・」綾波はぽろぽろと涙を落とした。

教室は静寂に包まれた

普段元気いっぱいに振る舞っていた綾波に、そんな事があったのか?と

教室にいる、事情を知らない者は皆思った。


「あやなみ!」

僕は綾波を追いかけた。

僕は綾波の後を走っていったが、渡り廊下の所で、見失ってしまった。

僕は取りあえず、外用の靴に履き替えて、渡り廊下の付近を探していた。

僕はいつの間にか、中庭から、裏庭に入っていった。

すると、裏庭の花壇で、綾波が室内履を履いたまま、

頭を抱えて、座り込んでいた。

僕はそっと、近づいて、隣に座った。

綾波は少し驚いたようだが、そのままの体勢だった。

よこから、綾波を見てみると、頬をつたった涙が、制服に染みを作っていた。

僕は、少しよれよれになったハンカチを、畳み直して、綾波に渡した。

「・・」綾波はハンカチを受け取り、目元にあてた。


「綾波、僕たちみんな君の事を迷惑だなんて考えた事無いし、

母さんなんか、男の子より女の子が欲しかったらしくて、

綾波の事、ホントの娘と思っているよ!」

僕はそっと綾波に聞こえるように言った。

「ほんとに、私がいてもいいの?・・」綾波が声を絞り出した。

僕は、こんな綾波を見た事無かったので、少し驚いていた。

「それに、僕達は、君を一人放っておく事なんか、出来ないよ!

綾波は、僕たちの事、そんな風に、思っているのかい?」僕は話を続けた。

「そ、そんな事は無いけど・・」綾波の声が掠れて聞こえる。

「なら、いいじゃ無いか! 人に何を言われようが関係無いよ!

君を含む僕達家族が幸せなら、それでいいじゃ無いか!」

僕も綾波の境遇を思い、涙をこぼしながら言った。

綾波はやっと顔をあげた。

瞼が腫れぼったくなっている。ずっと泣き続けていたんだなと思った。

もう、そんなに泣くなよ! 君には笑顔がもっと似合うよ!」

僕は綾波を元気付けるのに、必死だったので、
こういう台詞が口をついて出た

「もうすぐ泣き止むから、それまで・・」

綾波が僕の胸にしがみついて来た。僕はそっと綾波の髪を撫でてやった。

綾波は僕のワイシャツから下着に染みる程、涙を流した。

「もう綾波は一人じゃ無いんだ!」

僕はずっと言い聞かせるかのように呟き続けた。

数分後、やっと泣き止んだ綾波が僕の胸から頭をあげた。

僕達はお互いを見つめ合っていた。

そして、顔と顔の距離がだんだんと縮まっていく。

その時、

「おおっと御二人さん まだ授業中だよ」

振り向くと、加持先生がじょうろを持って立っていた。

僕達は、慌てて離れた。

キーンコーンカーンコーン

「もう授業は終わったから、続きをどうぞ!」

加持先生が笑いながら言った。

「加持先生!」僕は目を細くして、睨んだ。


「事情は知ってるさ、葛城に頼まれたんだよ!

ま、顔を洗って次の授業から出たらいいさ!」

加持先生は僕達から離れて、すいかに水をやっていた。

「綾波、大丈夫?」僕は綾波に手を貸して立ち上がらせた。

「休み時間が終わっちゃったらいけないから、急ごう!」

僕は綾波の手を引いて、校舎に向かった。

教室に行く前に、綾波は、女子トイレに入って行った。

同時に入らない方がいいと思った僕は、先に教室に入った。

キーンコーンカーーンコーーン

チャイムが鳴り終わる前に、綾波も教室に入って来た。

3時限目も、4時限目も、何も無く済み、

昼休みになったので、みんなで、昼食を食べる事にした。

僕とアスカと綾波と洞木さんと、ケンスケとトウジで、

屋上に上がって、食事を始めた。

僕は何気なく、弁当の蓋をぱかっと開けた。

弁当箱の中には、可愛いたこさんウインナーや、

うさぎリンゴや、一口サイズに切ったとんかつが入っていた。

「うわ〜母さん 遠足の弁当みたいなの作ったなぁ」僕は呟いた。

「ホントね〜 でもおいしそう」アスカも覗き込んで見た。

「それ、私が作ったの!」綾波が真っ赤な顔をして言った。

「ええ〜〜 ×4」

「愛妻弁当? いや〜んな感じぃ」ケンスケとトウジが言った。

その言葉を聞いた綾波はさらに赤くなっていく。

「さぁさ、時間無くなっちゃうわよ たべましょ!」アスカが言ったので、

僕達は食事を始めた。

僕は綾波の作った弁当を味わいながら、食べていた。

「綾波!この玉子焼き、母さんのより、おいしいよ!」

僕はつい、綾波に声をかけてしまった。

「ほんと?」綾波は、もじもじしながら言った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジイー

トウジとケンスケとアスカが、僕達を冷たい目で見ていた。

その後、僕らは無言のまま食事をすませた。


午後の授業が始まっても、あちこちでひそひそ話が絶えなかった。

「綾波レイが碇レイになるのは、時間の問題や!」
「いや、惣流と、血みどろの闘いを済ましてからやろ!」
「何でも、昼間、綾波の作った弁当を碇が食べたそうや!」
「え〜 もうそんな仲なのか?」
「あと数話で現世紀が終わるって知ってるか?」
「このまま惣流も黙っちゃいないだろ!」
発信源は、トウジとケンスケであるのは、間違い無い。

そして、6時限目の授業が終わる頃には、尾鰭羽鰭がついていた。

キーンコーンカーンコーン

授業が終わり、ホームルームが始まった。

ミサト先生が、少し怒りながら言った。

「他の先生方から、今日は一部の方が、授業を聞かずに

おしゃべりばっかりしていたという報告がありました。!

心当たりのある方は手を上げて下さい。」

シーーン

「誰もいないのね? 委員長!後で職員室に来てくれる?」

ミサト先生は、委員長の洞木さんに言った。

「それでは、皆さん 明後日会いましょう!

明日出てきてはいけませんよ!」ミサト先生が笑みを浮かべながら言った。

さて、帰るか。 僕はかばんを持って、教室を出た。

もちろん、後ろに綾波とアスカが付いてきている。

「ま、人の噂なんて、彼岸までって言うし、(違うぞ!)

その内落ち着くわよ!」アスカが綾波に話していた。

「ありがとう 惣流さん。」綾波も答えた。

「ま、元気出しなさいよ! そうだ、どっか寄って行こうよ!」

アスカが言い出した。

「どこに?」僕は素朴な疑問を口にした。

「ま、ファーストフードの店で何かのみましょ!」アスカが僕と綾波の背を押す。

落ち込んでいる、綾波を気遣ってくれているのだと、分かり、僕は胸を熱くした。

歩きながら、僕はそっとアスカの方を向き、さりげなく

「アスカ ありがとう!」と言った。

「さぁ、 いきましょ!」アスカが言った。

その時!

「コラー 寄り道しちゃ駄目でしょ!」

僕達が声に驚いて振り向くと、ミサト先生と洞木さんが立っていた。

「うそよ!」ミサト先生は笑っていた。

「ちょっち、付き合ってくれる?君たち!」ミサト先生が微笑みながら言った。



「うわぁぁ 何だこの部屋!」僕は内心そう思った。

「ま、その辺に座っててよ! お茶でも入れるから!」

ミサト先生がキッチンらしい所に向かって行った。

僕達は、座り込んで、ミサト先生を待った。

ミサト先生のマンションは、僕達の住んでいるマンションから、

歩いて数分の場所にあった。

6畳ぐらいの部屋が2つと、キッチンが4畳半程だ。

「さ、どうぞ!」ミサト先生がお盆にお茶を乗せて現れた。

僕達はお茶をすすった。

「洞木さんから、聞いたけど、大変そうね!

ま、私も出来るだけサポートするから、頑張ってね!」

ミサトさんが、湯飲みを手の上で回しながら言った。

僕達は、30分程、先生を囲んでいろんな話をした。

「それじゃ、失礼します!」僕達は玄関で靴を履いていた。

「シンジ君! 加持の奴から聞いたけど、シンジ君も隅におけないわね〜」

僕は靴の紐を締めていると、ミサト先生が言った。

「泣いてる綾波さんの頭を優しく撫でていたそうじゃ無いの!

それに、いい雰囲気だったって、加地が言ってたわよ!」

ミサト先生が笑いながら言った。

「そ、そんな事無いですぅ!」僕は慌てた。

それを耳にしたアスカは、内心忸怩たる思いだったが、我慢した。

「それじゃ、がんばるのよ!」ミサト先生は僕の肩を叩いた。

僕達はミサトさんのマンションを出て、家に向かった。

途中で洞木さんと別れて、僕達三人だけになった。

「それじゃ、シンジ明日の昼頃行くわね!」

アスカはそう言って僕達と別れた。

僕はポケットから、鍵を取り出そうとした。

「あれ〜 無いなぁ 昨日ジャージだったから、

ジャージのポケットに入れたままだ!」僕は慌てた。

「ねぇ 綾波?鍵預かってる?」僕は綾波に言った。

「明日合い鍵作ってくれるって言ってた」綾波はすまなそうに言った。

「まいったなぁ 家に入れないや! 父さんも母さんもいないみたいだし。」

僕は呟いた。

「そうだ! 綾波ちょっと待ってて!」僕は綾波を待たせてアスカの家に向かった。

と言っても隣なので、5歩程歩くだけだったが。

ピンポーーン

「あ、アスカ?シンジだけど僕の家の合鍵あるでしょ!

家の中に鍵を置いて来ちゃったんだ!鍵貸してよ」

僕はインターフォンに向かって言った。

ガーガシャン

ドアが開き、アスカが現れた。

「碇のおじさんも、おばさんも遅くなるから、

ここで食べるようにって、書いてるわよ!」

アスカが紙を見せた。

「そっかぁ じゃ親が戻るまで、お邪魔するよ!」

僕は綾波を呼んで来て、アスカの家に入った。


僕達は食卓に座った。

「すぐ出来るわよ! 一昨日のカレーシチューに、

肉を入れて、カレーライスにするだけだから。」

アスカは言いながら、カレーをかき回していた。

数分後、カレーは温まり、いい匂いが室内を満たした。

僕はカレー皿を3つ取り出し、御飯をよそった。


「いただきます!」僕達はカレーを食べはじめた。

「うん おいしいよアスカ!」僕は、あっという間に一杯目を食べ終えた。

そして、御飯をよそい、カレーをかけて二杯目を食べはじめた。

「碇君の好物はカレーなのね」綾波が小さい声で言った。

「でも、ほんとにおいしいわ!」綾波も食べ終えた。

「ごちそう様!」僕はカレー皿を流しまで持っていって水を張った。

「孟宗エンジェルが始まるわよ!」時計を見ると、6時30分だ。

「僕はアスカの部屋に行ってTVを付けた。」

アスカと綾波も室内に入って来た。

「もう、そんなTV番組が好きなんだからシンジったら!

ホントお子様よね〜」アスカがため息をついた。

「アスカも毎週見てるくせに!」僕はふくれた。

「ま、あんたも座りなさいよ!」

僕達はTVを見入っていた。

この”孟宗エンジェル”はらぶ米なアニメで、登場人物の三角関係が、

とても、はらはらしていて、面白いのだ。

噂では、裏番組の”裏庭の天使”と、ネタがバッティングを起こしたそうだ。

だが、僕は孟宗の方をいつも見ている。

TVも終わり、僕達は今日起った事とかを、話していた。

ピンポーン

「シンジ〜帰ったわよ!」

インターホンから、僕の母さんの声が聞こえた。

「それじゃ、ごちそうさま、また明日!」僕はアスカの家を出て

僕の家に帰った。勿論綾波も一緒だ。


僕はリビングでお茶を飲んでいた。

「シンジー 御風呂に入ってもう寝なさい!」母さんの声が聞こえた。

「綾波〜御風呂入れるから、先に入りなよ!」僕は綾波に声をかけて、

部屋に戻った。

数分後。

本を読んでいると、綾波が風呂から出てくる音がした。

何故本を読んでたかと言うと、

本を読んでいないと、妄想が頭の中を駆け巡るからである。

「碇君 出たわよ!」部屋の前で綾波の声がした。

僕は着替えを持って風呂場に向かった。

当然家の風呂は、第三世代の24時間風呂なので、

いつでも風呂に入る事が出来るのはありがたかった。

僕は身体を洗い、頭を洗おうとしたが、シャンプーがあまり無く、

不完全な泡しか出なかった。

僕は舌打ちして、言った。

「母さん〜シャンプー無いよ〜」

すると、どたばたと足音がして、風呂場の向こうに母さんが入って来た。

着替え場所の引き出しを開いて、母さんが何かごそごそ探しているようなので、

僕は引き戸を開けた。

「母さん? シャンプー無いの? 」

引き戸の向こうには、シャンプーを手にした、綾波が固まっていた。

「ん? ああぁ」僕は慌てて引き戸を閉めた。

すると、引き戸が少し開き、シャンプーを置いて、綾波が風呂場を出て行った。

「・・・・みられちゃったかな? うん 大丈夫だろう・・うんうん」僕は一人言を言っていた。

その夜は何となく、綾波と顔を合わせにくかった。

僕は、とりとめの無い事を考えながら、眠りに落ちた。

第二話Bパートにつ・づ・く

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