裏庭エヴァンゲリオン第二話【嘘】Bパート
そして、次の日の昼下がり。
(シンジは自室で惰眠を貪っているので、カメラをレイちゃんのモードに設定します)
ピンポーン
「おはようございます。アスカです」ドアホンから、惣流さんのの声が聞こえる。
私は、読んでいた本を閉じて、玄関に向かった。
ガチャリ 私は、ロックを外し、惣流さんを迎え入れた。
「おはようございます!惣流さん」私は入って来た惣流さんに、声をかけた。
「シンジの奴起きてる?」アスカさんは、一応聞いては見たものの、
碇君が起きてるとは思ってないようだ。 碇君 いつもそうなのかな?
「もう1時よ たたき起こしましょ!」惣流さんは、碇君の部屋に歩いて行く。
私も後をついて行った。
「シンジ! ホラ置きなさいよ!」
アスカさんは、熟睡している碇君の肩を揺すぶっている。
「レイ! 教えといてあげる! こういう時にはねっ
こーすんのよっ!」
惣流さんは、碇君の毛布を剥ぎ取った。
「ん〜なにぃ? あやなみぃ?むにゃむにゃ」碇君は寝ぼけているようだ。
「バカシンジ!もうお昼過ぎたわよ!」
がばっ
やっと碇君は目覚めたようだ。
(それでは、視点をシンジ君に戻します。)
「あぁ おはよう アスカ 綾波」僕は目を擦りながら答えた。
「ほら 顔洗って来なさいよ!」ホントアスカはうるさいんだから!
僕は洗面所で、顔を洗い、鏡を見て、手櫛で髪を整えた。
「シンジ あんた何も食べて無いんでしょ! 今パン焼いたげるから!」
アスカと、綾波がキッチンの方に向かった。
僕は寝間着を脱ぎ、普段着に着替えた。
そして、キッチンに向かうと、パンは焼き上がっていた。
綾波がフレッシュジュースをコップに入れてくれた。
はっ そうだ!昨日・・あれから顔を合わせて無いんだった。
「もう ったく世話が焼けるんだから!」アスカはぶつぶつ言いながら、
トーストの両面にマーガリンを塗ってくれる。
僕は両面に塗るのが大好きなので、アスカも覚えていてくれたみたいだ。
「いただきます!」僕は言ってから、トーストを頬張った。
「おばさまは?」アスカは綾波に聞いた。
「今日も、研究とやらで、朝速く出かけたみたいです」綾波が答えた。
僕はトーストをジュースで流し込んだ。
「ごちそう様!」僕は皿を流しに持っていった。
「さて、見ようか?」僕はビデオデッキに、先日の体育祭のテープを挿入した。
「碇君の200M走ね!」
「そうそう、ここでアスカが”負けたらご飯食べさせない”って言ったんだよな」
「あ、ホントだ入ってる」
「ねぇ シンジ!」アスカが声をかけてきた。
「一昨日やった体育祭のテープを今見ても、殆ど覚えてるから、
あまりおもしろく無いんじゃない?」アスカがVTRを一時静止にして言った。
「そう言われるとそんな気もしないでは無いなぁ」僕は呟いた。
「じゃ、何をするのさ!」僕は言った。
「ん〜そうねぇ トランプなんかどう?」アスカが言った。
「トランプねぇ 最近してないからそれもいいかも」僕は頷いた。
「綾波? トランプでいいかい?」僕は綾波に聞いた。
「トランプなら私うまいわよ!前なんか7人で7並べして勝ってたんだから!」
綾波は笑いながら言った。
「よ〜し、それは私に対する挑戦ね!」アスカもそれに答えた。
「シンジ! あんたの部屋にあったわよね!」アスカが聞いてきた。
「うん あると思うよ!」僕は部屋に向かった。綾波もアスカもついて来た。
ゴソゴソ(擬音)
「あった! これだな!」僕は、割と上質なトランプを引っぱり出した。
「これ、父さんに貰ったやつだ」箱を裏返すと”任○堂”と刻印がされていた。
「このカードすべりが良くて使いやすいんだ!」僕は言うなり、シャッフルを始めた
僕たちは、僕の部屋に輪になって、トランプを始めた。
まず最初は、セカンドインパクト前からあるゲームで”7並べ”を始めた。
「やった7が2枚もあったわ!」アスカがスペードとダイヤの7を置いた。
僕は、クラブの7 綾波はハートの7を置いた。
ダイヤを置いたアスカからである。
そして、数巡後。
「シンジ あんたでしょ!ダイヤの8を止めてるのは!」アスカが怒りだした。
「さぁねぇ どうだかねぇ」僕はそれをすんなりとかわした。
「ん〜〜 パス1」
「パスかぁ、じゃこれ!」僕はクラブの13を置いた。
ハウスルールを採用しているので、13まで来たら(あるいは1まで)
逆に置いていくようになるルールだ。
「あ〜置かれちゃった!」綾波が悶えている。
どうやら、クラブの8を止めてたのは、綾波のようだ。
「綾波の番だよ」僕は意地悪く笑いながら綾波に告げた。
「もう碇君のいじわる!」綾波が子供のような微笑みを見せた。
「これしか無いのね!」綾波は落胆しながら、ダイヤの8を置いた。
「レ〜イ〜 あんたが止めてたとわねぇ」
アスカが綾波に、言いながら、ダイヤの9を置いた。
あと、止まっているのは、スペードの6と、ハートの8だ。
ルールにより、ジョーカーは最後に使い切れないと、持ち腐れになるので、
僕は決断して、ジョーカーとスペードの5を置いた。
「キャー 碇君 それだけはかんべんして〜」綾波が頭を抱えて悶えている。
「勝負の世界は非情なんだよ ワトソン君」
僕は訳の分からない事を言って綾波を困らせた。
これで、綾波にジョーカーが渡り、さらに、
止めていたスペードの6も置かねばいけないのだ。
数順後
「ど〜しよぅ あ そうだ!」綾波は何かひらめいたようだ。
「え〜と、こことここね!」綾波はハートの8の場所にジョーカー
それと、ハートの7を置いた。
「えへへ あと1枚!」綾波は一挙に攻勢に転じた。
今度はアスカが地獄を見るはめになった。
秘蔵っ子のハートの8が置かれ、ジョーカーまで残ったのだ。
アスカはジョーカーを含む2枚のカードを持っていた。
僕は、あと2枚で、両方置く事が出来るので、取りあえず、
クラブの9を置こうと考えた。
だが、綾波の視線がクラブの9の場所に注がれていたので、
ハートの6を置いた。
綾波は一枚残ったクラブの8を置く事が出来ず、パス1となった。
アスカもパス2になってしまった。
そこで、僕は冷静に考えた。「このままパスをすれば、僕の勝ちだ!」
そして、ポーカーフェイスで「パス1」と言った。
「そんなぁ」綾波がいまにも、泣きそうな顔でこっちを見た。
「パス2」綾波は宣言した。
「シンジ やり方がこすいわよ ・・パス3」アスカは後が無くなった。
そして、アスカと綾波が見守る中クラブの12を置いた
「あがり だよーん!」僕は笑った。
「じゃ、じゃ、」綾波はクラブの8を置いて2位になった。
収まらないのがアスカだ。
「私がビリなの? もう一度よ!」アスカは燃えていた。
その時、アスカが何か思いついた。
「次から、罰ゲーム有りにしましょう!」アスカが宣言した。
「罰ゲーム? 何すんの?」僕はアスカに聞いた。
アスカは電話機の横に置いてあるメモ帳とボールペンを取ってきた。
「いい?みんな5枚づつ書いて、見えないように置いておくの!
内容は、勝った人が、びりの人になんでも要求出来るのよ!
で、公正を期する為、2位の人がカードを引くの! 面白そうでしょ!」
アスカが言い出したら聞かないのは良く知っているので、僕は従った。
僕たちは、ボールペンでメモ用紙に書いて行った。
「何でもいいの?」綾波が疑問を口にした。
「ま、常識の範囲だったら、何でもいいわよ!」アスカも書きながら答えた。
「そうそう 3人で7並べはキツイから、”ダウト”にしましょ!」
「ダウトって何?碇君」綾波が聞いて来た。
「ああ 1から順番に交互にカードを伏せて置くんだ。
その時、仮に、10を置かないといけない時に、他のカードを
これは、10だと言って置く事が出来るんだ!で、その時、
嘘を追求出来るんだ! で、嘘(ダウト)だったら、嘘をついた人が、
山のカードを全部取らないといけないんだ! 逆に本当だったら、
指摘した人が山札を取るんだ!」僕は綾波にわかりやすく説明した。
「あ、嘘 ならやった事あるわ!ダウトって”嘘”の事だったのね!」綾波は納得した。
「じゃ、始めるわよ!」アスカはカードを3人分に分配した。
僕は手前のカードを取った。そして、手の中で番号順に並べ替えていった。
「じゃ、さっき勝ったシンジから 右回りね!」アスカが言った。
僕の手札には1が無かったけど、3を伏せて置いて”1”と宣言した。
次は綾波が”2” アスカが”3”と続いて行った。
そして、数巡後。
僕は1が無かったので 4を1と偽って置いた。
さらに、1巡後、
アスカが”1”と言ってカードを場に出した。
「ダウト”」綾波が指摘した。
綾波はアスカが1と言って出したカードを裏向けた。
「ほほう これが1ねぇ」僕も笑った。
アスカのカードは6だったのだ。
「分かったわよ!」アスカは大量に増えていた山札を手札に加えた。
数巡後、今度はアスカが、びしばし指摘をして、ことごとく的中していた。
「アスカめ4枚そろえてるな! よ〜し僕も!」というように、
全員が特定の数字を4枚そろえる事に苦心し、戦いは泥沼と化して来た。
「ねぇ これ夜までやっても終わらないかも知れないよ!」僕は言った。
「じゃ、あと2巡目の13で決着よ!」アスカが言った。
結果、綾波はアスカをねらい打ちして、僕にはダウトをかけなかったせいもあり、
僕が1位だった。
結局カードの枚数により、4枚差で綾波がびりになってしまった。
「さ〜て罰ゲームは何かしら!」
アスカが紙の入った空のティッシュ箱に手を突っ込んだ
「え〜と、勝者は判定人の指定する、敗者の身体の一部を好きにしてよい!」
アスカが宣言した。
「誰よこんなの書いたの?」アスカが怒っている。
僕はそっとアスカの手から紙を抜き取り、読んで見た。
「なんだ、アスカの字じゃないか!」僕は呟いた
「コラ 見ちゃだめ」アスカが紙を取り上げた。
「じゃあねぇ 場所は、脇の裏!」アスカが宣言した。
「え〜」僕は言いながらも、内心喜んでいた。
「じゃぁ」僕は綾波の脇に手を延ばし、脇をくすぐった。
「い、碇君 私そこ弱いの、やめてぇ」綾波が悶えている。
「ここか? ここか?」僕は調子に乗ってくすぐり続けた。
「え〜ゴホン それまで!」アスカの声を聞いた僕は綾波の脇から手を離した。
「ねぇ アスカぁ ダウトは時間がかかりすぎるよ! ばばぬきにしようよ!」
僕はアスカに提案した。
「それもそうね じゃ、そうしましょう」
アスカも納得して、カードをシャッフルしている。
そして、戦慄のばばぬきが始まった。
ジョーカーのカードを少し上に持ち上げるテクニックなどで、
熱い戦いが繰り広げられた。
「碇君 引いて!」綾波が広げたカードの束から、右端のカードを選んだ。
途端に、綾波が笑い出した。
「ん? あ〜」案の定ジョーカーを引いてしまった トホホぉ
結局その試合はアスカが勝ちを納め、最後までジョーカーが残った僕が敗者になった。
「ん〜とねぇ 敗者は、寝転がって、勝者がくすぐる事!」綾波が読み上げた。
「シンジ〜覚悟しなさいぃ」アスカが笑った。
「アスカ 顔が怖いよ!」僕は呟いた。
ウヒャヒャヒャ ヒャヒャ そ、それはくすぐるのとはち、違うんだぁ!〜
アスカに電気マッサージをされながら、僕は叫び続けた。
ぜぇぜぇ 非道い目にあってしまった。
「ねぇねぇ 次はじじぬきにしましょ!」綾波が提案した。
「ん〜それもいいわねぇ」
僕たちは、夕方まで遊び続けた。
そして、注目の最後の試合!
これまでのカードには、あまり、たいした事は書いて無かったのだが、
僕が、冗談で書いたカードが、まだ残っているのに気付いた。
最後の試合は”豚のしっぽ”と言われるゲームである。
違う絵柄のカードを積んで行けばいいのだが、同じ絵札しか置けないと、
山札をすべて、手札に加えないといけないのだ。
最初はみんな、順調に進んでいたが、中盤で綾波が大量のカードを手札に、
加える事になってしまった。
その後は、僕とアスカが接戦を繰り広げた結果、
綾波が、びり。
アスカが二位
僕が一位になってしまった。
アスカが箱に手を突っ込もうとしたので、僕は慌てて止めた。
「もう、時間無いし、やめにしよう! ね!」アスカに言ったが、
アスカはにまっと笑って、カードを引き抜いた。
「え〜勝者は、敗者の胸を触る事が出来る! ですってぇ?」
第二部Cパートにつ・づ・く というのは【嘘】
丁度その時、
ピンポーン ガチャ
「シンジ〜帰ったわよ〜おなか空いたでしょ!」
玄関から母さんの声が聞こえた。
「シンジが食べたら、また行かないといけないのよ!
レイちゃんも、アスカちゃんもいるんでしょ!」
母さんに呼ばれて、僕たちは食卓に向かった。
「おかえり」僕は母さんの買い物袋から、食べ物を取り出した。
「ごめんねぇ 時間が無くて!」母さんは、弁当を食卓の上に置いた。
「あ、そうだレイちゃん」母さんは綾波を呼んだ。
「はい ここの鍵よ!」母さんは綾波に合い鍵を渡している。
「それじゃね〜 あ、キョウコはもうすぐ戻るからね〜アスカちゃん」
母さんはまた出ていった。
僕たちは無言のまま、弁当を食べた。
ピンポーン 惣流です!
キョウコおばさんの声がインターホンから流れた。
「それじゃ、シンジ・レイまた明日ね!」アスカは家に帰って行った。
「母さんも父さんも今日も遅くなるのか!」僕は呟いた。
僕たちは弁当を食べ終わり、何となくTVを見ていた。
ふと、横を見ると、綾波がもじもじしていた。
「どうしたの?綾波?」僕は声をかけた。
綾波は顔を赤くしたまま、僕の右手を綾波の左胸にいざなった。
「あ、あやなみ・・」僕も動揺してしまい、心拍数が上がった。
「罰ゲーム・・だから」綾波は顔を真っ赤にそめて言った。
僕は初めての柔らかい感触と、綾波の心臓の鼓動の音しか、
頭に入らなくなっていた。
そしてまた、長い夜が始まった。
Cパートに、つ・づ・く
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