綾波は顔を赤くしたまま、僕の右手を綾波の左胸にいざなった。

 「あ、あやなみ・・」僕も動揺してしまい、心拍数が上がった。

 「罰ゲーム・・だから」綾波は顔を真っ赤にそめて言った。

 僕は初めての柔らかい感触と、綾波の心臓の鼓動の音しか、
 頭に入らなくなっていた。

 そしてまた、長い夜が始まった。

 裏庭エヴァンゲリオン第二話【嘘】Cパート

その時、時計のアラーム音が午後8時を告げた。

僕は、その音でハッとして、綾波の胸から手を離した。


「ねぇ 碇君! 続き・・しよう!」綾波は頬を染めて言った。

「え、?」僕は何の事か分からず、綾波の方を見た。

綾波は僕の手を引いて、僕の部屋に向かった。

床に座った綾波は・・・


カードをシャッフルしていた。


「碇君 ポーカー知ってる?」綾波が笑いながら言った。

「うん・・知ってる」僕は5枚のカードを受け取った。

じゃチェンジ2枚

僕はそう言って山札に手を伸ばした。

丁度その時、綾波も手を出しており、二人の手と手が重なった。

「あっ ごめん」僕は手を引っ込めた。

「碇君 どうぞ!」綾波はカードを3枚取って言った。

「うん」僕は、山札からカードを2枚取った。


よ〜し、2ペアだ! これは勝ったな! 僕は確信した。

「ショウダウン!」綾波の声と同時に、僕達は手札を開いた。

綾波は、「3カード!」

僕は、「2ペア」 負けてしまった。

「じゃ、罰ゲームはと!」綾波はティッシュの空き箱に手を入れた。

「敗者は、勝者の肩を揉む事!」綾波は読み上げた。

「え〜 綾波肩凝ってるの?」僕は言いながら、綾波の背後に回った。

「あ〜 気持ちいい そこ!」

「お客さん 凝ってますね!」僕は冗談を言いながら綾波の肩を揉んだ。

僕は、小遣いが欲しい時、よく父さんや母さんの肩を揉んだ事があるので、

肩を揉むのは慣れていた。 それに、ツボの位置も心得ていた。

「ここかな?」僕は肩の内側にある、内腱上と言われる部分をやさしく揉んだ。

「そ、そこが凝ってるのぉ〜〜 い、いたい けど気持ちいい」

僕は、今度は、背中にある、外腱上を揉んだ。

「ちょっ、 碇君 そ、そこは、」綾波は外腱上を初めて揉まれたのか、

想像以上にもだえている。

「母さんも良くここが凝るんだ。 女の人はここが凝るのかな?」

僕は優しく揉んであげた。

「碇君 ありがとう もういいわ!」綾波が涙を手で拭いながら言った。

「次は何にする?」綾波は僕に聞いた。

「そうだ、ブラックジャックにしよう!」僕は提案した。

僕はカードを配った。

一枚めはジャック 2枚目は5だった。

うーん引くべきだよなぁ!

僕はもう一枚引いて来た。 やった5だ、これで20だ。

「スタンド」僕は宣言した。

綾波はカードを引かなかった。

「20!」

綾波は、「19!」と言いながら、カードを開けた。

「やった 僕の勝ちだ!」僕は素直に喜んだ。

「もう〜たった1の違いなのにぃ」綾波は悔しがっている。

「さて、罰ゲームはと!」僕は手を空き箱に突っ込んだ。

「え〜と、 敗者は勝者の耳掃除をする だって!」僕は言った。

「碇君耳かきある?」綾波が聞いてきた。

「うん あるよ!」僕は引き出しから、耳かきを取り出した。

「碇君 どうぞ!」 綾波は正座して、僕を呼んだ。

僕は内心恥ずかしかったが、綾波の膝まくらに頭をあずけた。

「じゃ、まず左からね!」綾波は僕の左耳を優しく掃除し始めた。

僕は、耳を掘ってもらいながら、あらぬ方向を見ていた。

しばらく、左耳を掃除した綾波は、「ふっ!」と息を僕の左耳に吹いた。

「じゃ、今度は右ね!」僕は、綾波の方を向いて、掃除してもらった。

綾波の膝枕は気持ち良かった。

さっきとは違い、目の前には、綾波の・・がある為、僕は目を瞑った。

綾波が優しく、耳を掘ってくれるので、僕はついうとうとしてしまった。

「ふっ!」綾波が吹き込んだ息で、僕は目が覚めた。

「ありがとう 綾波 良く聞こえるようになったよ!」僕は綾波にお礼を言った。

「さぁて二回戦よ!」綾波はシャッフルして、一枚目のカードを僕に配った。

「うーーん6ねぇ」僕は呟いた。

そして、2枚目が配られた。

「16かぁ ここは勝負!」僕はもう1枚引いた。

「ガーーン 6だぁ」僕はバーストしてしまった。

「私は17よ 私の勝ちね!」綾波は笑いながら、空き箱に手を入れた。

「えっとぉ 勝者は敗者を馬にして、部屋の中を3周だって!」

綾波は読んで笑った。

僕はしぶしぶ、四つんばいになった。

綾波が上に乗った。「出発進行!」

僕は綾波を乗せたまま、室内を回った。


ふぅふぅ やっと2周だ。 あと、一周!

あと、4歩で終わりだ。

僕は綾波を乗せたまま、一所懸命這って行った。

「ふわぁ、ゴール!」僕は潰れてしまった。背中に綾波がいるのも忘れて。

「きゃっ」綾波が僕の背中から転げ落ちそうになったので、

僕は下から支えた。

どう見ても、二人は抱き合っているようにしか見えなかった。

だが、僕は頭を打ってしまい、気を失った。

「碇君 ありがと」そして、僕の唇に暖かい物が触れたような気がした。



がばっ

僕は目が覚めた。

気が付くと、自分のベッドの上で寝ていた。

時計を見ると、10時になっていた。

「ふわぁぁ 風呂に入ってから寝るか!」僕は着替えを持って風呂場に入った。

そして、服を脱ぎ、風呂場に入った。

「ふわぁ眠い」僕は手桶でお湯をすくおうとした。

ぽこ いたっ

ぽこ?」僕は眠くて潰れかけてた目を開けた。

「あ、あやあや、あやなみ!」浴槽の中に綾波が漬かっていたのだ。

「い、碇君!」綾波も浴槽でうとうとしていたらしく、

僕が入って来るのに、気づかなかったようだ。

「わ、ゴメン!」僕は出て行こうとしたが、綾波が手をつかんだ。

「碇君 そのまま出たら風邪引くわよ!」綾波が顔を真っ赤にして言った。

「お母様に聞いたんだけど、惣流さんとは御風呂入った事あるんでしょ!」

綾波は笑いながら言った。

「そ、そんなの小学生の頃だよ!」僕は顔を真っ赤にして言った。

「碇君も入ったら?」綾波は浴槽全体に足を広げていたが、

足を組んで、浴槽の半分程を占拠した。

「う、うん」僕は湯を掛けて、後ろ向きに、浴槽に入った。

ザバー お湯が少し溢れた。

僕達は浴槽に並んで漬かっていた。

タオルを当てているとは言え、タオルの端から覗く、

綾波の胸は上気していて、湯気を出しているかのようだった。

「温泉なんかじゃ混浴の所もあるんだから いいじゃない?」

綾波は無邪気にはしゃいだ。

「これで、惣流さんと同じね」綾波は小さい声で言った。

「何か言った?」僕は言った。

「ううん 何でも」綾波は頬を染めて言った。

僕は浴槽から出ようと、手をかけたが、綾波が僕の手を止めた。


「あ、あやなみ」僕は綾波の方を見た。


・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・





「碇君 50数えてからじゃ無いと出ちゃだめ!」

綾波が頬を染めて言った。

「いーち にーい さーん」僕達は数を数えていった。(小学生かいっ)

50数えたので、僕は浴槽から出た。

そのまま風呂場を出ようとしたが、綾波が呼び止めた。

「碇君 身体も洗らわなきゃ駄目」僕は綾波に背を向けて身体を洗った。

バシャ

その時、背後で綾波がお湯から出たようだ。

僕は目を瞑って通り過ぎるのを待った。

だが、綾波は「碇君タオル貸して」と言い、僕のタオルを取り上げて

僕の背中を擦り始めた。

「あ、綾波 いいよ!」僕は恥ずかしさで、顔から火がでそうだった。

「前いた所ではね、みんなで入ってたの!で小さい子なんかを、

こうして、洗ってあげたのよ!」綾波が背中を擦りながら言った。

ふと、目の前の鏡を見ると! 綾波がタオル一つ巻いただけの姿が見えた。

僕は目を閉じて、なすがままにされていると、

ザバッ

背中に綾波がお湯をかけたので、僕は驚いた。

「それじゃ、先に出るわね」綾波が脱衣所に出て行った。

僕はもう一度お湯をかけてから、浴槽に入った。

「ふぅ 今日は驚く事ばかりだ」僕は呟いた。

風呂から出て、寝間着を来て外に出た時、玄関のドアが開き、

母さんが帰って来た。

「あら、シンジまだ起きてたの?」母さんは、かばんを置いて

話し掛けた。

「もう寝る所だよ」僕は答えたが、内心母さんがもう少し早く

帰っていたら、ちょっとやばかったので、胸をなで下ろした。

「あ、そうそう今度の日曜にねぇ 惣流さん家と一緒に

ハイキングに行く事になったから、そのつもりでね」

母さんはドアノブに手をかけていた僕に言った。


「じゃ、母さん研究所に戻るから! 」母さんは外に出て行った。


僕はベッドに入り、目を閉じた。

目を閉じると、走馬灯のように、今日起った事が思い出された。

いつしか、僕は眠りの世界に入っていった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねぇ 碇君! しよう!

あやなみぃ むにゃむにゃ

どんな夢を見てるんだろうねぇ ホント


そして、数時間後

グラグラグラッ

眠っていた僕は、横揺れで、目が覚めた。

「キャー」綾波の叫び声が聞こえた。

「綾波」僕は布団を跳ね除けて、部屋を出た。

まだ、かなりの揺れが続いていた。

「綾波!」僕は綾波の部屋のドアを開けた。

綾波は部屋の隅でクッションを頭に当てて震えていた。

「綾波 もう大丈夫だよ!」僕は綾波の横に座った。

「碇君!」綾波は泣きながら、僕の背中にしがみついた。

「私、地震が恐いの!母さんを奪った地震が恐いの!」

綾波は涙を流しながら、しがみついていた。

揺れも治まったが、綾波は僕から離れようとしなかった。

「綾波 もう大丈夫だよ あやなみ!」僕は綾波に声をかけたが、

綾波には、聞こえてないようだった。

僕は、その背中に当たる物の感触を味わう事も忘れ、

綾波に語り続けた。

「もう大丈夫だ 大丈夫だよ!」綾波は泣きながら寝入ってしまったようだ。

僕はそっと綾波を抱えて、ベッドの上に乗せて、布団をかけてあげた。

綾波が涙を流しながら、眠っていたので、僕は綾波の手を握ってあげた。

綾波が悪い夢を見ないように。




そして、翌朝

綾波が泣き止まないので、僕はずっと綾波の手を握っていた。

そして、陽光が綾波の部屋に差し込んできた頃、

ようやく、綾波が目を覚ました。

「おはよう 綾波」僕は綾波に声をかけた。

「碇君 ずっといてくれたの?」綾波が驚いている。

「うん まぁね じゃ、部屋に戻るよ」僕は立ち上がった。

ドアノブを捻ろうとした時、後ろから、綾波の声が聞こえた。

「ありがとう 碇君」

僕は部屋に戻り、寝る事にした。




「起きなさい バカシンジ」やっと寝入った頃に、アスカが現れた。

「うん わかったよ あと5分」僕はさすがに睡眠不足だった。

だが、昨夜泣きながら眠る綾波を放っておけなかったんだ。

「何甘えてんのよ! 早くしなさい!」僕は諦めて、ベッドから降りた。

ふわ〜 「今何時?」僕はアスカに聞いた。

「もう8時よ いそぎなさい!」アスカが僕を急かした。


僕達は、学校に向かって走っていた。

「しかし、あんたまで寝坊するとはねぇ」アスカが綾波をからかっていた。

「そうそう、アスカ聞いた?」僕は走りながら、アスカに言った。

「今度の日曜にハイキング行くって事!」

「あぁ今朝母さんに聞いたわよ!」アスカが答える。

「綾波 ハイキング最近行った事ある?」僕は綾波に声をかけた。

「うーーん 無いなぁ」綾波が少し考えてから言った

「ほら 早くしないと間に合わないわよ!」アスカが全力疾走に移った。

「待ってよ アスカぁ」僕と綾波はアスカを追いかけた。


僕は今日の授業で、覚えているのは、ホームルームの時の

ミサト先生の顔だけだった。

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第参話レッドゾーン】Aパートにつ・づ・く


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