「た、頼むから動かないで綾波」右肩と左胸に当たっている物の感触を僕は

忘れようと必死になっていた。


 裏庭エヴァンゲリオン第参話【レッドゾーンBパート


「うう〜 これは拷問に等しいぞ! 何考えてる作者!

僕は頭の中で訳の分からない事を言っては、気を紛らわせた。

綾波は眠ってしまったようだが、右を向く勇気が無かった。

「早く帰ってきてくれよ 父さん母さん」僕は祈った。

が、反対に心の中では、逆の事を考えている自分が恐かった。

「んんーん」アスカが寝返りを打とうとしているようだ。

「くっ この左膝の感触は何だ くぅ考えちゃダメだ
考えちゃダメだ 考えちゃダメだ!」僕は歯を食いしばった。

すると、左の方から、押し殺してはいるものの、口からもれた笑い声が聞こえた。

さては、・・

「アスカ! わざとだな!」僕は小声でアスカに言った。

「ばれたか」アスカは舌を出した。

「僕がどんな気持ちで今いるか知っててからかったんだな!」僕は少し怒った。

「今度やったら・・・!」僕はアスカに警告した。

「わ、わかったわよ 」アスカは小声で言った。


丁度、その頃山を降りている碇夫妻

「アスカちゃんに10000円」
「レイに10000円」
二人は賭けが成立したので、二人してニヤリ(半角)と笑っていた。


そんな事は露知らず、僕は二人に挟まれて、まどろんでいた。

「ん〜 碇君」横で綾波が寝言を言ったので、僕はドキッとした。

横で、アスカがクスクス笑っていた。

「ねぇ シンジ! レイって服着てると、たいした事無いけど、着痩せするのかしらね あの胸」

アスカは小悪魔的な微笑を浮かべた。

「えっ何の事だよ!」僕は解ってはいたが、気づかないふりをしていた。

「そんな事言ってまた僕を困らせる気だな! アスカ そんな事いったらそっち向くぞ!」

僕は出来やしないのに、アスカに言った。

アスカは僕の頭をぐいっとアスカの方を向かせた。

「ア、アスカ 」僕が着ていた湿ったシャツを着ただけのアスカの上半身が、

厭でも目に入った。

ねぇ シンジ私って魅力無いのかな? そうよねいつもシンジの事を・・」

アスカはそう言って視線をずらした。

その技は、女の子の最大の武器なのだが、今のシンジが知る由も無かった。

「そ、そんな事無いよ アスカ 」僕は顔を赤くしながら言った。

「ホント 嬉しい」そう言ってアスカは僕の頭を抱きしめた。

「もご もご 苦しい!」僕はアスカの胸の谷間に顔を押し付ける形になってしまった。


僕は意識が飛びそうになっていた、その時!

イタ イタタ! 綾波が僕のお尻をつねっているようだ。

 綾波はアスカが無理矢理僕を押さえているのを見て言った。

「碇君を 離してあげて 碇君苦しがってる!」綾波がアスカに言った。

「厭! シンジは私が好きって言ってくれたわ! だから離さない」アスカは言い張った。

「嘘ね」綾波も言い返した。

「だってさっきから聞いてたもの」綾波はアスカに宣戦布告した。

「うっ」(引き)&&

「どうでも、いいから離してくれ! 息が・・」僕は呼吸困難になってもがいていた。

こういう死に方も悪く無いかも知れない そんな事を思っているとやっと呼吸が楽になった。

今度は綾波が背中から、僕を抱きしめていた。

「碇君は渡さないわ だって私が初めて人を好きになった人だもの!」

綾波はアスカに言い張った。

「どうでもいいけど、何とかしてくれ〜」綾波は父さんに借りたポロシャツを

素肌の上に直接着てるのだ。背中にあたる物体の事を僕は忘れようと必死になった。

「私だって・・ そりゃ最初はシンジの事苛めてたし、幼なじみでしか無かったわ

けど、今、私の心の中にはシンジしかいないのよ!

好きでも無い男の子を誰が毎日起こしに行くもんですか!?」アスカも感情を吐露した。

僕はこのまま黙っていると、事態が深刻になると思ったので、口を開いた。

「アスカ 僕は確かに自由奔放で、ときおり女の子らしさを見せる君に惹かれた事もある。

アスカの事を、好きか嫌いかと聞かれたら、好きだと答えるよ!


だけど、だけど

綾波は、出会って2週間もたっていないけど、とても気になるんだ。

従兄弟だからというんじゃ無く、 僕は綾波を守ってやりたいんだ!。」

僕は一気に喋った。

「二人の内どちらをも傷つけたく無いし、今は、まだ結論が出せないんだ!」

「もう優柔不断なんだから、」アスカはため息をついた。

「それが、シンジの いい と・こ・ろ なのかも」
「だけどやっぱり腹が立つ!」アスカが言った。

「レイ シンジの腕を押さえて!」アスカはレイに言った。

「碇君 ゴメンね!」レイが笑いながら僕を羽交い締めにした。

「な、何をするんだ アスカ!」

「く、くすぐったい」アスカは僕の両脇をくすぐった。

「アスカぁ 勘弁してくれよ〜」

僕の悲鳴が山にこだました。

「綾波ぃ 手を離してよ 頼むよ!」僕は綾波に懇願した。

「手を離したら何かしてくれる?」綾波が囁いた。

「綾波のしたい事なら何でも付き合うから離してよ!」

レイがようやく手を離してくれた。

「アスカ〜 よくもいたぶってくれたな!」僕はアスカに言った。

「あっ レイ裏切ったのね」アスカは焦った。

今度は綾波がアスカの腕を押さえていた。

「さぁ アスカどこをくすぐって欲しい?」僕は指を鳴らした。

「アスカさんの足の裏はどう?」後ろで綾波が笑っている。

  「ウヒャヒャヒャヒャ ひー やめてぇ」

碇夫妻は草陰で見守っていたが、三人を止めようとはしなかった。

「私の勝ちだろ」

「いいえ 私の勝ちですわ」

二人は言い合いをしていた。二人とも勝ちを譲る気持ちはさらさら無いようだ。



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