裏庭エヴァンゲリオン第参話【レッドゾーンCパート

僕達は、やっと服が乾いて来たので、服を着る事にした。

「バカシンジ! あっち向いてなさいよ!」アスカが言った。

僕は山の麓へと降りる路を見ていた。

「父さんも母さんも遅いなぁ」僕は呟いた。

「碇君 もういいわよ!」綾波が声をかけた。

「ああ」僕は船縁から服を取って、服を着た。

「いやぁ 遅くなっちゃったわね」母さんが茂みから出て来たのを僕は見た。

「何でそんな所から出てくるの? 母さん」僕は母さんに冷ややかな目を向けた。

「え? いや、別にどうって事無いのよ」母さんは少し動揺していた。

「まさか、ずっとそこに隠れていたの?」僕は疑問を口にした。

「やぁねぇ そんな訳無いでしょ はいタオル!」母さんがタオルを手渡した。

「あれ、おじさまは?」アスカがゲンドウがいないのに気づいた。

「もう来るわよ」母さんが言った。

「さぁ、もう帰る準備をしましょうか?」母さんが荷物をまとめ始めた。

30分後

僕達は山道を降りていた。

「ぶるぶる 少し寒くなったなぁ」僕は湿った服を手でつまんだ。

「シンジ 大丈夫よ!ここから車で30分くらいの所に温泉があるの

そこで暖まればいいのよ! その間に私たちが服を高速クリーニング

に出しといてあげるから!」母さんが笑った。

僕達は下山して、車に乗った。

「もうすぐ着くからがまんしてね!」母さんが後部座席の僕達に声をかけた。

僕達は後部座席で震えていた。

「さぁ着いたぞ!」僕達は車を降りた。

目の前にはレトロな小さい温泉旅館があった。

僕達は中に入った。

「予約した 碇だが」父さんがカウンターの老人に声をかけている。

「はい はい 貸し切りのお客様ですな」老人が答えた。

「取りあえずおまえ達は風呂に入ってこい! 部屋は新館303号室だ!」

父さんは僕に鍵を放り投げた。

カウンターにいた老人が僕達を案内した。

「かなり歩くんだなぁ」僕は呟いた。

そして木造の小屋の前で老人が言った。

「男性はこちらですじゃ」

僕は扉を開けて中に入った。

駕籠の中に服と下着をほうり込み、僕は引き戸を開け外へ出た。

「うわぁ 野外の岩風呂かぁ」僕は岩風呂に漬かった。

「ん〜暖まる」僕は唸った。

その時、後ろから話し声が聞こえた。

「レイ あんた結構スタイルいいのね」
「惣流さんこそ」

何故あの二人の声がするんだ? 僕は悩んだ

だが、段々声が近くなってくる。

ぱしゃん

ふたつ水音が聞こえた。

「あ〜 露天風呂はいいわね〜 日本の生み出した文化の極みよね」

アスカがまた訳のわからない事を言っている。

なんか、すぐ近くで声がしたような・・・

「どこから声がしてるんだ?」僕は立ち上がった。

岩のすぐ向こうに、綾波とアスカの頭が見えた。


バシャン

僕は湯の中に戻った。

「誰かいるの?」

アスカが寄ってくる。

僕は、岩に背中をもたせかけて、眠ったフリをした。(熊かいっ)

ドキドキドキ

「あ〜 シンジ 何故こんな所にいんのよ!」アスカが大声を出した。

「ア、アスカが何故男湯にいるんだよ!」僕も言い返した。

「え! 碇君もいるの?」綾波も寄って来た。

「シ〜ン〜ジ あんた女湯に入って何してたの?」

アスカが顔を真っ赤にして、怒った。

「そ、そんな事してないよ ホラあそこから来たんだよ!」

僕は服を着替えた小屋を指差した。

「あ、 ホントだ、じゃ私たちが間違えたのかしら?」綾波が言った

「何言ってるの? 私達もすぐそこから出て来たのよ!」

アスカが反対方向の山小屋を指差した。

「と、言うことは? 混浴?」僕とアスカは同時に言った。

僕は顔を赤らめ、首まで湯に漬かった。

幸いお湯の量が多いので、アスカと綾波は首から上が出ているだけだ。

「おばさま 何も言わなかったのに〜」アスカが驚いている。

僕達は無言のまま、湯に漬かっていた。

「碇君 どうしてそんなに離れた所にいるの?」綾波が言った。

「いや、そのどうしてと言われても・・」僕は口ごもった。

「そんな所ですねてないで、こっちに来なさいよ!」アスカが頬を染めて言った。

「わかったよ」僕はお湯から頭だけ出して、アスカ達の方に向かった。


・・・・・・・・・
・・・・・・・・・


誰も気まずい雰囲気の中、声を出さなかった。



丁度その時、碇夫妻は、

シンジ達が風呂に入ったのを確認して、シンジ達の服と下着を袋に入れて、

車で30分の距離にある、クリーニング屋に車で向かっていた。

「賭けは、成立したままだからな!」ゲンドウがユイに言った。

「そうですね 変えるのはナシですからね」ユイも言った。


「ふぅ」僕は段々のぼせてきたので、上半身を湯から出して、

岩にもたれかかった。

「あ、あそこにタオルとか置いてるみたいよ!」綾波が小さい小屋を発見した。

「私取ってきますね」綾波が湯から出て、小屋に向かった。

もちろん僕の目はアスカの手でふさがれていたのは言うまでも無い。

綾波が見えなくなったので、アスカが手を離した。

「けど、シンジと風呂に入るのは7年ぶりぐらいかしらね」

アスカが感慨にふけっていた。

「ホント 7年前はアスカがそんなになるなんて、思わなかったよ」僕は笑いながら言った。

「どう言う意味よ!?」アスカが不審がった。

アスカはまだ気づいて無いみたいだったので、僕は指差した。

「エッチ バカ 変態!」湯から腹から上を出しているのを、アスカは忘れていたようだ。

アスカのびんたを間一髪で躱したものの、僕は足を滑らせて、

風呂の中に頭が入ってしまった。 「ボゴボゴボゴ」

「シンジ!」アスカが僕の首を掴んで、持ち上げてくれた。

「大丈夫? シンジ!」アスカが心配そうな顔をしていた。

「もう どじなんだから!」アスカが赤い顔をして、間近から僕の方を見ていた。

「アスカ・・」僕はその名を口にした。
「シンジ・・」アスカが頬を染めて言った。

その時!

ばさっ! 綾波が運んで来たタオルを足元に落とした。

「碇君・・ そ、そんな!」

綾波の声に僕達は振り向いた。

そこには、想像を裏切り(笑)浴衣を来た綾波が立ち尽くしていた。

綾波は、僕達に背を向けて小屋の方に走って行った。

「レイ〜 あなた誤解してるわよ〜」
「綾波ぃ 違うんだぁ」

僕達は慌てて、風呂から上がり、綾波の落としたタオルを巻き付けて、

綾波を追った。

ガラガラ アスカが引き戸を開けて、僕達は中に入った。

小屋の隅で、綾波がうずくまっていた。

「綾波 誤解だよ! 僕が足を滑らしてしまったのを、アスカが助けてくれたんだ!」

「そうよ レイ! 私の言う事信用出来ない訳?」アスカも言った。

「ホント?」綾波は顔を上げた。

「あっ あんた嘘泣きだったのね!」アスカが綾波の顔を見て言った。

だが、綾波は僕の方を見つめていた。

「碇君 その格好で追いかけて来てくれたの?」綾波が頬を染めて言った.

僕は不審に思い、綾波の視線を辿った。

「あぁ〜あ」僕は気づいて背中を向けた。

走って追いかけている内に、タオルが外れて落ちたようだった。

「ホラ!」アスカが浴衣を渡してくれたので、僕は浴衣を羽織った。

アスカも浴衣を着ていた。

「あれ? 下着も無い!」アスカが駕籠をひっくり返していた。

「おばさまが、クリーニングに出すって言ってましたよね?」

綾波が言った。

「ええ〜」アスカが呟いた。

「父さん達が帰るまで、休もうよ! あ、鍵預かってたんだ!」

僕は小屋を出て、男用の小屋の駕籠に入れていた鍵を手にした。

合流した僕達は、新館を目指して歩いて行った。

「え〜と 303号室 っと!」僕達は階段を上がり、3階に上がった。

「あ、そこよ!」アスカが指差したドアに303と書かれていた。

ガチャリ

僕達はドアを開けて中に入った。

「わ〜きれいな夕日!」綾波が窓際の椅子を占領して外を眺めた。

「あ、ホントね〜」アスカももう一つの椅子に座って、夕日を見ていた。

「あ、もう6時だよ!」僕は時計を見た。

「日曜の6時と言えば、”ジェネQ”だよねぇ」

僕はテレビの前に座って言った。

”ジェネQ”という番組は、歴史に残る程の長寿番組で、

しかも視聴率は常にランキングの1位から落ちた事が無かった。

僕はこのドラマが大好きで、日曜の夕方はいつもQを楽しみにしていた。

だけど、時たまFDを会社に置き忘れると、月曜の夜の放映になるんだ。(爆)


「アスカぁ ジェネQ見ないの?」僕はアスカに声をかけた。

アスカはこの番組に出てくる、男の俳優のファンなので、
アスカも、毎週かかさず見ているようだ。

「録画してるから いい」アスカが答えた。

「そう?」僕はTVのスイッチを入れた。

その瞬間!

「あはーーん うふーーん」TVに画像が映し出された。

「シ、シンジ あんた何見てるのよ!」驚いたアスカと綾波が振り向いた。

「え〜ジェネQのチャンネルにしたんだけど!」

僕はチャンネルを順番に変えて行った。

だが、どのチャンネルも、アダルト放送しか映し出されていなかった。

プチ・・・ 僕はスイッチを切った。

室内は気まずい雰囲気で覆われた。


「あら シンジ さっきの見たかったんでしょ? 見てもいいのよ!」

アスカが笑いながら、僕をからかった。

「そ、そんな事・・」僕は言葉を失った。

僕は茶菓子を取り、袋を開けて 食べた。

「おいしい!」僕は茶菓子を飲み込んだ。

「・・んんっ 喉に詰まった!」僕がもがいていると、

綾波が寄って来て背中をさすってくれた。

「ちょっと待ってて!」アスカは冷蔵庫を開けた。

「・・・・・・ ま、いいか」アスカは冷蔵庫の上のコップに、

瓶の中身を入れて、僕に渡してくれた。

ゴクッ ゴクッ ふぅ〜 やっと僕は落ち着いた。

「アスカ 綾波ありがとう!」僕は二人にお礼を言った。

「喉乾いたから、私も飲もうかな?」綾波も冷蔵庫まで歩いて行って、

冷蔵庫のドアを開けた。「惣流さんも飲みます?」綾波はアスカに声をかけた。

「私はいいわ!」アスカが答えた。

綾波は冷蔵庫から小さい瓶を取り出して、封を開けた。

「なんかあまり量が入って無いなぁ それ」僕は綾波が飲もうとしている、

瓶を見た。

「そうね こういう観光地じゃ飲み物も高いのよねぇ」

綾波は言ってから、それを飲み干した。

綾波は空き瓶をくずかごに入れた。


僕は座布団をたたんで枕にして、横になった。

「ふわぁ 今日は何か疲れたなぁ」僕はあくびをしながら言った。

僕はうとうととして、眠りかけていた。

「碇君 風邪引くわよ!」綾波が毛布をそっとかけてくれた。

僕はその綾波の右手を掴んだ。

「綾波!」その時、綾波の浴衣の首元からはみ出ている物を見た、

次の瞬間 僕は鼻血を流して、倒れ込んだ。

「碇君 どうしたの? 碇君!」綾波が僕の身体をゆすぶっている。

「あ〜 さっきのアレやっぱまずかったかな?」アスカはごみ箱の中の、

空き瓶のラベルを見て呟いた。

結局その後血が止まった頃やっと父さんと母さんが帰って来たが、

僕は自分の流した鼻血で浴衣もべとべとだったので、

僕だけもう一度風呂に入ってから帰る事になった。

僕達は車の後部座席で揺られながら、眠っていた。

ようやく家の近くまで、帰り着いた僕達は近くのレストランで遅めの夕食を取る事になった。

「父さんは?」僕は母さんに聞いた。

「研究所にこもりっきりの、キョウコさん達におみやげ持っていくって言ってたわよ!」

母さんは水を飲みながら言った。

「何にする?」アスカが僕に聞いた。

「うーん 僕は、一口ビーフカツ定食にするよ!」僕はメニューを指差した。

「そうね それもおいしそうね!」アスカが言った。

「レイ あなたは?」アスカは綾波にも聞いた。

「私は、ざるそばセットにするわ」綾波が小さい声で言った。

「そばもいいけど、今日はみんなで同じ物食べようよ!」

綾波の心情を理解した僕は、綾波に言った。

「ウン 碇君!」綾波は僕の言わんとした事がわかって、微笑んだ。

アスカもうなづいていた。

母さんの方をちらっと見たら、母さんはハンカチで目元を覆っていた。

「母さんは何にする?」僕は母さんにそっと聞いた。

「同じ物でいいわ」掠れた声で母さんは言った。

僕は手を振って店員を呼び止めて注文した。

数分後

僕達の前に料理が運ばれて来た。

「それじゃ いただきまーす」僕は言ってから食べはじめた。

「私 これ初めて食べたけど、おいしいわね」アスカも言った。

「碇君 おいしい!」綾波も喜んでくれたようだ。

綾波と母さんは目元を涙で輝かせていた。

第3話cパート 終わり

第4話【前兆】につ・づ・く


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