裏庭エヴァンゲリオン 第五話 【徴兵】Aパート
母さんがアメリカに行って初めての土曜日の晩、僕達三人は、
食卓に陣取って、今度の日曜日の計画を立てていた。
「映画なんかどう?」アスカが顔を寄せて来た。
「う〜ん 今いい映画やってるかなぁ?」僕はアスカにさりげなく言った。
「ん〜それもそうねぇ」アスカが情報誌を見てから言った。
「動物園なんかどうかしら? 私、象さんが見たいな」
綾波が少し恥ずかしげに言った。
「ん〜 第三新東京市には、動物園が無いんだよ。」僕は綾波に言った。
「昼まで寝るってのは?」僕は二人に言った。
「却下!」アスカがすかさず言った。
うう 毎晩アスカと綾波が僕の部屋で寝るから、寝不足なんだよう・・
僕は心の中で呟いた。
「そうだ! サイクリングなんかどう?」アスカが言った。
「えぇ〜疲れそうだなぁ」僕は頬をかきながら言った。
「私・・自転車乗った事無いの・・」綾波が頬を染めて言った。
「そうなの? ほら綾波もああ言ってるし、別なのにしようよ!」
僕はアスカの逆鱗に触れないように、そっと言った。
「じゃぁシンジ あんたは何をしたい訳ぇ?」アスカが僕に言った。
あぶない あぶない アスカがこういう表情をする時は爆発一歩手前だ!
長年の研究のせいもあって、僕はその前兆に気付いた。
「うん そうだね・・ そうだ! 」僕は情報誌の”第三新東京シティガイド”
を手にとり、ページをめくった。
「これこれ!」僕は目当ての記事を発見して、二人に見せた。
アスカが情報誌をひったくって、記事を見た。
「なになに?第三新東京市初の 超リアルなサイバースペースで
格闘ロボットによる、体感ゲーム上陸?
バトルロイヤル・チーム戦 なんでもありの、面白さ!
ふんふん
操作は簡単 二本のレバーと、フットペダルと
特殊なヘッドセットを頭にかぶって、闘います
”電脳戦隊エヴァンジェロン”ついに登場!
ふんふん 面白そうね。」アスカが読み終わってから言った。
「ま、他のゲームもあるみたいだし、お昼食べてから行きましょう!」
アスカはそう言ってくれた。
だが、僕はアスカが無類の”U○O(死語)キャッチャー”好きだと
知っているので、アスカが了承するだろうとは思っていた。
「レイ あんたもそれでいいわよね」アスカが綾波に言った。
「私は、碇君が行く所ならどこでも」綾波は小さい声で言った。
「ゲームなら人数多い方がいいよね!トウジやケンスケにも電話しておくよ」
僕は二人にそう言った。
「ま、それもそうね」アスカが納得したので、僕はケンスケの家に電話した。
「あ、碇だけど、明日暇? 昼くらいから、駅前に出来た
アミューズメントパーク行かない? そう”エヴァンジェロン”だよ」
僕はケンスケとの電話を終え立ち上がった。
アスカと綾波の姿が見えないので、周りを見渡すと、
「ほらシンジ 来なさいよ!」アスカが居間から顔を出した。
「何?」僕は居間に入って行った。
すると、アスカと綾波がテレビに父さんのコレクションの
ゲーム機をつないでいた。
「何するの?」僕はアスカに声をかけた。
「これよ!」アスカは父さんのコレクションのソフトを僕に見せた。
「猿蟹電鉄HAPPYぃ? これ面白いけど時間かかるよ!?」僕はケースを見ながら言った。
「明日は休みだしいいじゃない!」アスカがそういって電源を入れた。
「それもそうだね じゃ飲み物でも取って来るよ!」僕はキッチンに行き、
1.5リットルの炭酸飲料とグラスを持って行った。
「あ、これも!」ポテチの袋も掴んでいった。
居間に入って行くと、アスカが設定をしていた。
「50年っと」アスカが言ったその言葉を僕は聞き逃していた。
その事を後で死ぬ程後悔するとは知る由も無かった。
ポッポー
最初の目的地は下関だった。
「まず私からね 」アスカはボタンを押した。
コロコロコロコロ
「えいっ」
「やった6だわ!」アスカは画面上の自分の駒を目的の方向に進めていった。
「アイテムの駅よラッキー!」アスカは上機嫌だった。
「ほら、次は綾波だよ そう そのボタンを押すんだ!」
僕は父さんや母さんとよくこのゲームをした事があったので、
綾波に操作方法を教えてあげた。
コロコロコロコロ
「5だよすごいじゃないか!」僕は綾波の横から言った。
「あ、そっちじゃ無くて、船に乗るんだよ その方が早いんだ」
「次は碇君の番ね ハイ」綾波がコントローラーを僕に手渡してくれた。
僕は背後に強烈な視線を感じたので、綾波から少し離れた。
コロコロコロコロ
「げげーん 1だ」僕は船の方角に1マスしか動けなかった。
1時間後
「やったわ! 目的地の高知に到着したわ!よし、全部買い占めよ!」
アスカが大騒ぎして喜んだ。
僕も目的地の近くまで来ていたものの、アスカに先を越されたのだ。
綾波は一番遠くの広島付近だったので、”貧乏神”がついてしまった。
「残念だったね 綾波!けど、次はがんばろうね」僕は綾波を励ましてあげた。
「碇君・・ヤサシイノネ」綾波が小さい声で下を向いたまま言った。
「・・・ったく ほら先進めるわよ!」アスカがまた不機嫌になってしまった。
「次の目的地はっと 大阪ぁ?」アスカが画面を見て叫んだ。
次は綾波の番だったので、僕はさりげなく助言した。
「うーん大阪まで6歩だねぇ 何かアイテム持ってない?」僕は綾波に聞いた。
「アイテム?」綾波はアイテムの存在を忘れていたようだ。
「ほらそのボタンを押して! あ6マス進むアイテム持ってるじゃないか!」
僕は綾波の手からコントローラーを受け取り、教えてあげた。
「ほら、これを使えばいいんだよ!」僕はアイテムを使用してあげた。
「あとは、目的地まで行くだけだ!」僕は綾波にコントローラを返した。
ポッポッポッ
綾波の操る綾波電鉄は無事大阪に到着した。
「綾波はお金を使っていなかったので、今回の賞金を合わせて結構な額になったので、
大阪のお店を買い占める事が出来た。
そして、3月の決算月
これまでトップを走ってたアスカに代わり綾波がトップに立った。
さすがに大阪を買い占めたのが効いたようだ。
そして1時間後
「ウキャーー なんて事すんのよこの貧乏神ぃー」アスカにとりついていた
貧乏神が、アスカの持つ物権を破格の安さで売り払ってしまったのだ。
「あぁこれで独占じゃ無くなるぅ!」アスカはかなり気を落としたようだ。
「まだまだこれからだろ! アスカ!」僕はさりげなくアスカを励ました。
「ほらこれでも飲んで!」僕はアスカに炭酸飲料入りのコップを渡した。
「ごくっごくっごくっ プハッ」アスカが一気に飲み干した。
「さぁ こっから巻き返してやるんだからぁ!」
アスカが気合いを入れてコントローラーを手にした。
1時間後
「ねぇアスカぁまだやるのぉ?」僕は少し眠くなったのでアスカに哀願した。
「何言ってるのよこれからじゃないの!」アスカは画面を凝視したまま言った。
あれから、遊び方を完全に覚えた綾波がさいころの運もあったが、順調に目的地
に着いて、買い占めて行ったのだ。
「もぅホントにアスカは負けず嫌いなんだから・・」僕は呟いた。
そして次の日の昼下がり。
ピンポーン ピンポーン
「なんやおらへんのか?」
「そんな事無いだろ アレ? ロックかかってないぜ!」
ガーガシャン
「まだ寝とんのかいな 碇のやつ どれ起こしてやるか」
「おい 待てよまずいよ トウジ!」
スタスタスタ
「ぶっ碇ぃ!」
「いや〜んな感じぃ」
そこにはソファーにもたれて寝ているシンジと、
左右にいる綾波とアスカがシンジに抱きつくかのように寝ていたのだ。
つけっぱなしのTV画面には、最終成績が表示されていた。
猿蟹電鉄 50年モード
1位 綾波電鉄 2位アスカ社長 3位碇電鉄
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