裏庭エヴァンゲリオン第五話【徴兵】Bパート
「おまえら何しとんのや!」怒ったトウジが叫んだ。
「ふわぁ 何?あぁおはようトウジ」僕はトウジの声に目を覚ました。
目の前には、真っ赤になって怒っているトウジの姿が見えた。
「何怒ってるの?トウジ!」僕は訳が分からずトウジに聞いた。
するとトウジが指を震わせながら僕の左右を指差した。
「うわぁ」アスカと綾波が僕にもたれかかって寝ていた。
「ゲームしてたんだよ 寝入っちゃったのかぁ」僕はあくびを噛み殺した。
「おはよう! 碇君!」洞木さんも入って来た。 もうそんな時間なのかな?
「いっ 碇君!不潔よ!」入って来て僕達を見るなり、洞木さんは叫んだ。
「ご、誤解だよ洞木さん!」僕は慌てて洞木さんに言った。
「ゴカイもロッカイも無いわよ!」洞木さんが目を覆って首を振った。
「違うんだゲームしてただけだよ!」僕は洞木さんに言った。
「んん〜何ようるさいわね」アスカが目を擦りながら目を覚ました。
「あらヒカリじゃないの!おはよう」アスカは洞木さんに声をかけた。
「もうそんな時間なの? ほらレイ起きなさい」
アスカは熟睡したままシンジの腕を掴んでいるレイを起こした。
「・・おはようございます」レイが寝ぼ眼をしぼつかせながら言った。
「どういう事なのか説明しなさ〜い!」洞木さんがすごい剣幕で言った。
数分後
僕達は食卓の椅子に座って話をしていた。
「なんやそうやったんかい!」
「早く言えば良かったのに」
「けど、碇おまえ信用あるんだな」
「ハ、ハハ」
「そうよ!年頃の男女3人を同じ家に住まわせるなんて非常識よ!」
「まぁ、従兄弟に幼馴染だからね親も安心してるんだよ」
「コイツニソンナ甲斐性あれば苦労しないわよ」アスカが小声で何か呟いた。
僕達は 駅前にあるアミューズメントパークに向かった。
「う〜腕が鳴るぜぇ!」ケンスケが嬉々とした足取りでパークに走った。
「おい待てよケンスケ!」トウジが追いかける。
「で、どんなゲームなの?」洞木さんが疑問を口にした。
「なんでもすごいリアルな空間でロボットに乗って闘うゲームらしいよ」
僕は情報誌で得た情報を教えてあげた。
「団体戦があるみたいだから、楽しみね!」アスカも十分乗り気だった。
「私でも動かせるのかしら?」綾波が心配そうな顔をした。
「大丈夫みたいだよ! 操作は難しく無いって書いてたから」
僕は綾波に説明した。
「あ、新しいぬいぐるみが入ってる!」
アスカが言うやいなや、クレーンゲームまで走りよった。
アスカがコインを入れようとしたので僕は止めた。
「後でゆっくりやればいいよ まず話題のゲームをしよう」
僕がそういうと、アスカはおとなしく従った。
店内に入ると、ケンスケとトウジが”エヴァンジェロン”
の参加用紙に記入をしていた。
「おそいぞ!」ケンスケがそう言って紙を係員に渡した。
「ゴメンゴメン!」僕達も参加用紙に記入していった。
「おねがいします!」僕は用紙を係員に渡した。
すると記録が打ち込まれたカードを手渡された。
「あちらの機械で入金して下さい!」インストラクターが指差した。
僕はアスカと綾波の記入が終わるのを待って、入金をする機械に向かった。
僕は自分の分と綾波のカードに入金をした。
アスカの視線が気になったので、アスカのカードにも入金した。
僕達はケンスケ・トウジと合流し、3分後の団体戦に出る事になった。
「それじゃ作戦を決めておこう!」ケンスケが僕達に言った。
「6人だから、前3人は男で固めて、近接戦闘用の機体に乗る。
後ろは3人の女性が遠距離支援用の機体に乗る。
後は臨機応変に対応するという事で!」ケンスケが作戦を口にした。
僕達は配られたヘッドセットを頭に付けた。
「うわぁ面白かったぁ 後でもいっかいやろうぜ!」
「おお!」
ゲームを終えた人たちがぞろぞろと中から出てきた。
「それじゃ、6名様の団体戦の方こちらにどうぞ!
席に着いたら、カードをスロットにさして下さい!」
インストラクターの指示に従い、僕達は斜めに配置された、
試験管のようなコクピットに座った。
「カードをさすんだったな」僕は自分のカードを右前のスロットに入れた。
すると、画面が付き、操作説明の画像が流れた。
”電脳戦隊エヴァンジェロンの世界にようこそ! あなたは、エヴァンジェロンの
パイロット養成学校を卒業したての、パイロットです。
これから、デモンストレーションを行いますので、
操作を覚えて下さい。 いざという時、うまく操作出来ないと、
命取りですからね!
それでは レッスン1から行きましょう!”
約3分程のレクチャーを受けた僕達の画面には機体選択の画面が写った。
「ふ〜ん いっぱいあるんだなぁ」僕は長い剣とも銃ともつかない物を持った
エヴァンジェロン初号機を選んだ。
そして選択が終わった順に、画面に全員の選択した機体が表示された。
トウジは巨大な斧を持ったエヴァンジェロン参号機
ケンスケは巨大なマシンガンを腰だめにしている、エヴァンジェロン四号機
綾波は二挺のライフルを両腕に付けた、エヴァンジェロン零号機
洞木さんは、近距離用六連装のミサイルポッドを2つ、
遠距離用10連装のミサイルポッドを2つ付けた、エヴァンジェロン五号機
アスカは近接戦闘も出来る、右手にトマホークを持ち、
左手に6連装の誘導ミサイルポッドを付け、胴体に高出力の指向性追尾レーザーを
装備した、赤い機体のエヴァンジェロン弐号機を選んだ。
「見事にみんなばらけたなぁ!」ケンスケが感想を言った。
右側の画面にケンスケの顔が写った。
「へぇ通信も出来るんだぁ」僕は綾波の零号機に回線を開いた。
「どう?綾波 出来そうかい?」
「うん 碇君!」綾波が微笑んで言った。
”それでは、君たち、スカルヘッド小隊は、(ケンスケが小隊の名前を付けたのだ。)
敵の守備する、ミサイル基地を叩くのだ!
敵の守備している機体は7機だ。 健闘を祈る!”
最後のメッセージの後、僕達の眼前には、荒涼とした荒野が目に写った。
黄色い月が二つ浮かんでいた。
「ミサイル基地は前方5キロだ。 気付かれないように、
隠れながら進もう!」小隊長のケンスケの指示に従い、僕達は
機体を動かして行った。
「伏せろ! 敵の偵察機だ!」ケンスケが指示したので、僕達は、
慌てて、伏せた。
「すごい!伏せろと思っただけで伏せたぞ!どういう仕組みになってるんだ?」
ケンスケが思わず口に出してしまったので、
物音に気付いた偵察機が僕達の方に向かって来た。
「やばい どうする?ケンスケ」トウジがあせっていた。
「しかたない撃ち落とそう」ケンスケが言った。
「落とせばいいのね」綾波がそう言ってトリガーを引いた。
綾波の操るエヴァンジェロン零号機の両腕に付けられたライフルが
見事偵察機を撃ち落とした。
「やるぅ!」アスカが感嘆した。
「ずっと狙いをつけてたの・・」綾波が少し恥ずかしそうに言った。
「偵察機が連絡を途絶えたとなれば、気付かれるのは時間の問題だな
敵の基地の近くまで高速移動しよう!」ケンスケが提案した。
僕達はダッシュボタンを押し続けて、敵の基地が見える所まで近づいた。
「よし、護衛は俺達3機で片づけるから、綾波さんは、敵の砲台を狙い撃ちだ。
洞木さんは、遠距離ミサイルで敵のミサイル発射基地を攻撃!
で、敵が近づいてきたら、近距離誘導ミサイルを撃ってくれ! 」
ケンスケがてきぱきと指示を出した。
「ねぇ私は?」アスカがケンスケに言った。
「惣流は、ミサイル基地に近づくまでは、俺達の支援
でミサイル基地が見えたら指向性ビームで撃つんだ!」ケンスケがアスカに言った。
「はいはい分かったわよ 小隊長さん」アスカが答えた。
「それじゃ突撃だ! 3 2 1 GO!」
僕達は合図が出てすぐ飛び出した。
僕達は敵ミサイル基地の右側面から攻撃をしかけた。
ミサイル基地に辿り着くまで、今見えるだけでも、4機の敵を倒さねばならない。
「惣流!ミサイルを持ってる機体はまかせた!」ケンスケは中央の敵に向かって行った。
僕は右側にいたので、トンファーを持った近接戦闘用の機体に向かった。
「よし!」僕は立ち止まり、レーザーを発射した。 近接戦闘用の機体に
近接するのは愚の骨頂だからだ。
綾波の機体の放つ攻撃で、砲台はあらかた、破壊された。
「綾波巧いじゃないか!」僕は綾波に通信を入れた。
トウジは斧で向かって来た機体を一刀両断した。
アスカの放った6WAYミサイルが、敵の近距離用ミサイルを装備した機体の胴体に命中した。
チュドーーン
見事ミサイルが敵の胴体部の弾薬庫に命中し、誘爆によってその機体は弾けた。
「ナイス アスカ!」僕はアスカにそう言って、おもいきり踏み込み、
トンファーを持った敵の機体に斬り込んだ。
僕が振り下ろしたビームソードが敵の右腕を切断し、
トンファーを持った機体は、慌てて逃げ出した。
その背中にアスカの発射した6WAYミサイルが命中し、爆発した。
「やったぁ二機目よ!」アスカが叫んだ
中央の機体はケンスケのマシンガンの一掃で、すでに沈黙していた。
「よし、ミサイル発射装置を破壊するんだ!」ケンスケが通信機に向かい叫んだ。
「おう!」トウジが叫んで突っ込んで行った。
僕達もそれに続いた。
ミサイル発射装置は目前だった。
そのミサイル発射装置を囲むように、3体の機体が守っていた。
いずれも、6連装の近距離ミサイルと、10連装の遠距離ミサイルを装備していた。
僕たちが近づこうとすると一斉にミサイルを撃って来るのだ。
「くっ 火力に差がありすぎる! こっちの間合いに入れば楽なんだが!」
僕達は敵のミサイルを避ける為、物陰に隠れていた。
「ミサイルにはミサイルよ! 私とヒカリが持っているミサイルを一気に撃つから
その隙に突っ込めばいいのよ!レイのライフルも使えるしね」アスカが提案した。
「それしか無いようだね トウジ 碇 それでいいか?」ケンスケが聞いてきた。
「うん それで行こう!」僕は同意した。
「小隊長はおまえや おまえの指示に従うで!」トウジも同意した。
「それじゃ、次に敵がミサイルを撃って来た瞬間に突っ込むぞ
さすがに装填するのに時間がかかるだろうし」ケンスケが言った。
もう完全にゲームと言うより実戦のようだった。
ケンスケが少し遮蔽物から身を乗り出した。
その瞬間敵の機体からミサイルが飛び出した。
「今だ!」僕達は敵に向かって突っ込んで行った。
頭上をアスカと洞木さんの放った計38発のミサイルが通り過ぎた。
3体の敵の機体に次々とミサイルは命中した。
ズゴォォーン
うち一機の肩のポッドに命中したミサイルが、誘爆し、その機体と
となりにいた機体が中破した。
一番左にいた機体は頭を吹き飛ばされて、沈黙した。
その時、小さい対空砲座が僕達の機体に狙いを定めはじめていた。
「あれを止めないと!」ケンスケが叫んだ。
シュゴーン
次の瞬間綾波の零号機の二挺のライフルから発射された弾丸が砲座を破壊した。
「ナイス 綾波!」僕は通信回線を綾波に合わせて言った。
「ほな行くでぇ!」トウジが巨大な斧を振りかざして言った。
「おう!」
残った2機はもうたいした反撃も出来ずに、僕のビームソードや、ケンスケのマシンガンに
倒され、護衛はいなくなった。
「よし!あとはミサイル発射装置を壊すだけや!」
トウジがジャンプしてミサイル発射装置のある台に飛び乗った。
「鈴原! 残ったミサイル撃つから、どいてて!」洞木さんが叫んだ。
「よっしゃ!」トウジの操る参号機はジャンプして後方に逃れた。
洞木さんの遠距離ミサイルと、綾波のライフル そして、アスカの指向性ビーム
それらの直撃を受けたミサイル発射装置は破壊された。
YOU WIN
僕達は一機の被害を出す事も無く、無事戦闘を終えた。
そして画面にはメッセージが流れはじめた。
戦闘結果
スカルヘッド小隊は、敵のミサイル基地を急襲し、ミサイル発射台
を無事破壊出来た。
おかげで、その後出撃した本隊はミサイルの攻撃を受けずに、
敵の本隊を叩く事に成功した。
主目的 ミサイル発射装置の破壊 OK
副目的 守備ロボットの全滅 OK
副目的 全砲台の破壊 OK
タイムボーナス +10000
NOダメージボーナス ×4 +20000
機体数ハンデ ×1 +5000
PILOT SHINJIの経験値UP
今後の健闘を期待する!
画面が表示しおわった時、マイクからインストラクターの声が流れた。
「おめでとうございます 皆様は大変優秀な成績を残されたので
皆様がお望みなら、このままボーナスステージに移行します」
「望む所だ! なぁみんな!」ケンスケが言った。
「追加料金無しなんですか?」洞木さんがインストラクターに言った。
「はい では皆様参加でよろしいですね! それじゃ、3分後に開始致します。」
その声がしたかと思うと、短髪の20代前半の可愛い女の子が
トレイにドリンクを乗せて現われた。
「さ、どうぞ!」僕達はドリンクを受け取り、ドリンクを飲みはじめた。
「なんか変わった味ねぇ」アスカが呟いた。
「マヤ 回収して!」聞き覚えのある声がしたかと思うと、
白衣を来た赤木先生が現われた。
「あ、赤木先生!」僕達は驚いた。
「あら? あなたたちだったの?」赤木先生も少し驚いていた。
「父さん達の研究所に入ったんじゃ無かったんですか?」僕は疑問を口にした。
「ええ そうよ これも研究の一環なのよ ほら始まるわよ!」赤木先生は
短髪のマヤと呼ばれた人と一緒に部屋を出ていった。
そして画面では、また説明が始まった。
”ようこそ スペシャルステージへ! あなた方は私達の基地を
敵の攻撃から守り切る事が使命です。
敵はこれまでの形態とは違い、より生物的な姿をしています。”
そして画面は市街地へと切り替わった。
「何や基地を守るんじゃなかったんかい?」トウジが疑問を口にした。
すると、ビルが沈んで行き、ほんの少しのビルしか残らなかった。
ビービー ビービー 警告音の後メッセージが画面隅に表示された。
”残っているビルの前で立ち止まれば、弾薬や機体の損傷を、
立ち止まっている時間の分だけ、回復させる事が出来ます”
”それでは 戦闘開始!”
僕達は中央部に固まって敵を待つ事にした。
背後に回復の出来るビルがあるので、左右と前だけを防衛すればいいのだ。
交代で、弾薬を補給する事になっている。
現在正面が僕の初号機 右がケンスケの四号機 左がトウジの参号機だ。
中央にアスカの弐号機と綾波の零号機
少し後ろに交代の時の為、アスカの弐号機が控えている
「おっ お出ましになったようだぜ!」ケンスケが上方を指差した。
最初小さな点でしかなかったそれが、巨大な昆虫のような姿をした敵だと
分かるのに時間がかかった。
すちゃっ 綾波はすでに照準を合わせて、有効範囲に入るのを待っている。
アスカと洞木さんのミサイルポッドも蓋が開いていつでも発射可能になっている。
僕はビームソードを銃として使う事にして、狙いを先頭の敵に合わせた。
ブゥゥゥン 大量の飛行形態の敵が襲って来た。
僕は必死で照準を合わせて一匹一匹落としていった。
アスカと洞木さんはひっきりなしにミサイルを撃っている。
撃てるだけ撃って補充する作戦なのだ。
「おい シンジ おまえの機体にはもう一つ武器があるだろ!」ケンスケが回線を開いた。
「えっ もしかしてこっちのボタンも使うの?」僕はケンスケに言った。
「そうだ 早く使え!」ケンスケが叫んだ。
僕は照準を上に合わせて左のトリガーを引いた。
シュゴーン 僕の初号機の肩に装備されてたランチャーから、
光る玉が上がっていったかと思うと、上空で炸裂した。
「す、すごい!」僕は驚いた。 その攻撃で空を舞っていた敵の半数が
消えたからだ。
残りの敵も、洞木さんとアスカのミサイルで殆ど撃墜されていった。
アスカはその後ビルの前で立ち止まり、補給を受けていた。
「おまたせっ!」アスカは補給を終え、洞木さんに替わった。
洞木さんが補給を終える頃には空中の敵もすべて落していた。
「今度は陸から来るみたいやで!」トウジが指を差した。
「なんて数だよ!」ケンスケが唸った。
前・右・左から、軽く50体くらいの4足歩行の敵が現われた。
「先手必勝や いくぞ!」ケンスケが指示を出した。
「いけっ!」僕は先程空中の敵を倒した、武器を目の前の数十体の
敵に向かって放った。
シュゴーン 僕の方に来ていた敵の半数近くは破壊する事が出来た。
死骸を乗り越えて進んでくる敵を、僕と綾波が迎え撃っていた。
右側はケンスケとアスカが受け持った。
近寄って来る敵をケンスケのマシンガンとアスカの6WAYミサイルで
倒していた。
左側はトウジが斧を振り回し、倒し損ねた敵を洞木さんのミサイルで倒していた。
だが、弾が切れるのが早いか、敵が全滅するのが早いか というような闘いだった。
支援してくれている女性3人の弾が切れたら、一気に攻め込まれるのは
必然だった。
「ぐおっ 」トウジが敵の攻撃を受けて転倒してしまった。
トウジが抜けたので、ディフェンスに穴が出来てしまったのだ。
このまま、内部に雪崩れ込まれては、終わりだ。
「いけっ!」僕はあと1発残っていたBOMBを左翼の敵に撃った。
その攻撃で、入り込もうとしていた敵は蒸発してしまった。
「鈴原!」洞木さんもミサイルを撃ちながらトウジを助けに行った。
「すまんな もう大丈夫や」トウジは立ち上がった。
「しかし、何でやろなぁ 撃たれた右胸が痛いんや・・」
通信機の向こうでトウジが言った。
「あんたバカぁ?ゲームで撃たれたからって痛くなる筈無いでしょ!
気のせいよ!」アスカがトウジに言った。
「それもそやな」トウジは立ち上がり、接近してきた敵を切り払った。
敵の数も大分少なくなって来た。
だが、左右にいた敵がゾロゾロと下がって行き、ビルを回り込んで、
正面の敵に合流したのだ。
「敵さん 一気に来るみたいだぜ! 今の内に補給しておくんだ!」
ケンスケはアスカと洞木さんに言った。
「おっとおいでなすったようだ。」ケンスケが呟いた。
敵は前方からの、魚鱗の陣を組み、じりじりと防衛線を突破しようとしていた。
僕達は防戦一方に回ってしまった。
「くっ このままじゃ、じり貧だな!」ケンスケが言った。
「うわっ!」僕は敵に足をかけられ、転倒してしまった。
「いかん!」ケンスケが叫んだ。このままでは一気に突破されるからだ。
だが、アスカも洞木さんも満足な補給をできていなかった。
「碇君!」綾波が叫びながら左のトリガーを押しっぱなしにした。
すると、綾波の操る零号機の背中から、小さい飛行物体が飛び出し、
敵の頭上から苛烈な攻撃を浴びせた。
「まだ武器はある!」アスカも左のトリガーを押し、指向性ビームを放った。
「今が山場よ!支えて!」洞木さんも叫びながら、補給しては撃ち、
補給しては撃つを繰り返していた。
「でい!」トウジが叫ぶと、回転した斧が敵中に飛んで行った。
その攻撃によって、敵は出鼻を挫かれた形になった。
僕の操る初号機もようやく立ち上がった。
「今だぁ!」ケンスケが叫びながらマシンガンを乱射した。
「おう!」トウジも両手持ちの斧を振り回しながら斬り込んで行った。
僕もビームソードを振りかざして、斬り込んで行った。
「たぁ!」アスカがジャンプし、頂点から敵の後方に向かい、
6WAYミサイルを叩き込んだ。
左側から回り込もうとした敵数体は洞木さんの遠距離10連装ミサイルの
餌食となった。
綾波の零号機も巧みに、前列の僕達の作る壁からはみ出した敵を
的確にライフルを撃ち込み、倒していった。
「いけぇ!」最後の一体を僕の操る初号機のビームソードが斬り裂いた。
YOU WIN
僕達は激戦の末、犠牲者を出す事無く、敵を全滅させた。
今回は戦果報告画面は出なかった。
「みなさん お疲れ様 出て来て下さい!」赤木先生 あ、今は先生じゃないか が呼んだ。
「ふ〜面白かった」
「死ぬかと思うたわ」
「ん〜最高!」
「やっと終わったのね」
「碇君 面白かったね」
「うん そりゃ良かったよ」
「皆さんおめでとう! スペシャルステージに進んだ人達はいましたが、
それをクリアしたの貴方達が初めてです!ご褒美として貴方達のカードで、
20回分ゲーム出来るようにしておきました。」赤木さんがそう言った。
「ありがとうございます!」僕は赤木博士にお礼を言った。
「また、腕を磨きに来てね!」赤木博士が僕達に声をかけてくれた。
そのコーナーから出た僕達は椅子に座り込んで休憩した。
「おい 見ろよ!」ケンスケが電光掲示板を指差した。
小隊別、得点数ランキング
第一位 スカルヘッド小隊
小隊員 KENSUKE SHINJI TOUJI AYANAMI ASUKA HIKARI
と表示されていた。
「ま、当然よね!」アスカがジュースを飲みながら言った。
「よっし また来るぞぉ!」ケンスケが燃えていた。
「さ・て・と」アスカがジュースの缶をゴミ箱に入れて、
キャッチゲームに向かって歩いて行った。
「僕達も行こう!」僕は綾波をさそって、アスカの後を追いかけた。
途中でぬいぐるみを入れる袋を手に取ったのは言うまでも無かった。
「アスカぁ調子はどう?」僕はアスカに声をかけた。
「うわぁ 可愛いいぬいぐるみがいっぱい!」
綾波が目をキラキラさせて言った。
僕は苦笑して言った。「やった事無いのかい?やってみる?」
「ウン!」綾波は満面の微笑みを見せた。
チャリン 僕はコインを入れた。
「じゃ、まず模範演技を見せるね!」僕は綾波にボタンの使い方を教えてから
クレーンを動かそうとして、手を止めた。
「綾波は、どのぬいぐるみが欲しい?」僕は少し頬を染めて、綾波に言った。
「碇君が取ってくれたのなら なんでも!」綾波も頬を染めて言った。
バキッ 背後で大きな音がした。
誰かが筐体を蹴ってるんだなぁ行儀が悪いなぁと思い、僕は振り向いた。
すると、アスカが阿修羅の形相でこちらを睨んでいたのは言うまでも無かった。
僕達はアミューズメントパークを出て、夕闇迫る街を通り、家路に着いた。
綾波は僕が取ってあげた、白いうさぎのぬいぐるみを抱きしめていた。
Cパートにつ・づ・く
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