裏庭エヴァンゲリオン第7話【初陣】Cパート
「うわぁ 大きい船だなぁ」僕は船のタラップを登りながら呟いた。
「そりゃそうよ!前世紀では、クイーンエメラルダス二世号と言えば、
豪華客船の代名詞だったそうなのよ!」アスカが後ろで言った。
「あのマークさえ無ければねぇ・・・」
アスカは、船体の横に遠目からでも分かるような、
沈む太陽をモチーフにしたマークを指差した。
「ホントに、何で豪華客船がフェリーになったのかしら・・」
アスカは納得いかないらしく、ぶつぶつ言っていた。
「まぁ、そのおかげで、今日はずっと船の上だけど、退屈しないって言ってたじゃないか」この元豪華客船の下部は、改造を施されて、客室は半分に減ったものの、
船体上部の施設はそのまま残っていた。
「ホントに大きい船ね・・」綾波もこんな船を初めて見たのか、少し驚いていた。
僕たちはタラップを上がり終えた。
そして、船内の、100人は優に集まれそうな元パーティ会場だった広間に
クラス別に集合した。
「えぇ〜皆さん! 部屋割りはしおりに書いていますので、各部屋に入って下さい!
昼食は12時・夕食は夜7時からです!
くれぐれも、舷側から身を乗り出さないで下さい!」
引率の教頭先生が注意事項を述べていった。
「それでは 二年A組 の生徒は集合!」ミサト先生が手を振った。
「はーい!」僕たちはミサト先生の前に並んだ。
「注意事項は教頭先生の言った事だけなんだけどぉ、この船の施設について説明するわ!」
ミサト先生は大きな見取り図を指差して言った。
「今いる、この大広間を一階と思ってね! 二・三階は客室です。
B組の方々は、二階の各部屋です。私たちは三階の部屋ですので間違えないようにね!」
二階から、船首方向に行けます! カーリングや、スカッシュ・・そして卓球コーナー
がありますが、すべて貸し切りで無料になってますから、楽しんでね!
何かあれば、私か、引率の・・加持先生を呼んで下さいね!」
その言葉の後、加持先生がルームキーを抱えて近づいて来た。
「私の部屋は、301号室 加持先生は302号室です。 それでは鍵を配ります
それでは女子一班 惣流さん 綾波さん 洞木さん は303号室
男子一班は 相田君 碇君 鈴原君 は313号室ね!」
ミサト先生は一班3名 計12班の班長に鍵を手渡して行った。
「それと、お風呂だけど、女子は右舷の大浴場!
男子は左舷の中浴場と船尾の小浴場が使えます
それでは、解散っ!」ミサト先生が嬉しそうに叫んだ。
「一番喜んでるの、ミサト先生じゃないの?」
「そうよねぇ・・今朝からテンション高いもんねぇ」
女生徒がぼそぼそ言っていた。
「じゃ、部屋に荷物置きに行こうよ」僕はケンスケとトウジに言った。
「はいはい 班長さん」トウジが笑いながら言った。
「やめてよ・・」
「荷物置いたら、船首の娯楽施設行こうぜ」
ケンスケがデジタルカメラを握り締めて言った。
「うん そうだね」
僕たちは三階まで階段を上がって行った。
「あれ・・綾波?」綾波が301号室の前で立っていた。
「どうしたの?」僕が声をかけたので、綾波は少し驚いたようだった。
「いえ、あの・・」綾波は何故か口篭もっていた。
「はーい! 綾波さん お待たせ!」301号室の扉が開いて、
ミサトさんが何か紙袋を綾波に渡して行った。
「気分でも悪いの? 船にでも酔ったの?」僕は綾波の側まで言って声をかけた。
「あの・・いや・その」綾波は少し頬を染めたまま、小声で何か言っていた。
「シンジ! おまえなぁ・・まだ船は動いて無いんだぞ!」トウジが僕の肩を叩いた。
「じゃ!」僕達は綾波と別れて、2ブロック先の313号室に歩いて行った。
「313号室・・ここか」僕は預かった鍵を差し込んだ。
ガチャリ
ドアが開けていると、後ろからアスカの声がした。
「シンジ! あんたたちこの部屋なの?」アスカがドアにかかれた313号室の札を見た。
「303号室・・向かいなんだね」僕はアスカのいる部屋のプレートを見て納得した。
「ところで、綾波・・具合悪いの?」僕は先ほどから気にかかっていた疑問を口にした。」
「・・・なんでも無いわよ! レイは大丈夫だから心配しなくていいわよ」
アスカが少し視線をずらして言った。
「ははぁん」ケンスケが顎に手をかけた。
「今から着替えるんだから、覗かないでよ 三バカトリオ!」
アスカが舌を出してドアを閉めた。
「誰が覗くっちゅーんじゃ!」トウジは腕を震わせていた。
「けど、女子一班・・メンバーは揃ってるなぁ・・」ケンスケがメガネを押し上げた。
「さて、運動しやすい服に着替えようか」僕もドアを閉めてカバンを置いた。
室内には、ベッドが三つ並べられてはいるものの、それでも十分なスペースがあった。
「どのベッド使う?」僕はケンスケとトウジに聞いた。
「そうやなぁ・・わしはどこでもいいけど、窓際はなぁ・・」
「僕は真ん中にするよ」ケンスケが荷物を置いて言った。
「じゃ、僕が窓側だね」僕も荷物を置いた。
「早く着替えろよ・・早く行かないと、遊べないかもしれんで」トウジが言った。
「うん・・わかった!」僕はカバンからジャージを引っ張り出した。
「トウジ・・君は着替える必要無いんだな・・・」ケンスケが、トウジを見た。
「前々から聞きたいと思ってたけど、何でいつもジャージ着てくるの?」
僕は素朴な疑問を口にした。
「そんなん俺の勝手や・・・・ホントは、ワイシャツはアイロンせないかんやろ?
それが面倒臭いんや・・ジャージならそのまま着れるからな」
「トウジの所も親は研究所勤めだったか・・」ケンスケが呟いた。
「アイロン・・・かけた事無いなぁ・・母さんいなくなっても、
ワイシャツそんなによれて無いような・・」僕は脱いだばかりのワイシャツを見た。
「お、おまえまさか、綾波と惣流にアイロンかけさせとんのか?」トウジが叫んだ。
「いや、惣流はそんなガラじゃ無いから・・綾波だな」ケンスケが呟いた。
「おまえ・・前から言おうと思っとんたんだが・・ええ暮らししとるのぉ」
「そうだよ・・校内で一、二を争う美少女二人と同棲してるし・・
しかもアイロンまでかけさせて・・」ケンスケのメガネが光った。
「そ、その話は君たちと先生しか知らないんだから、他の人には言わないでよ・・
それに、同棲じゃなくて 同居だよ」
僕はジャージのジッパーから手を離して言った。
「似たようなもんや・・」
「そうだよ・・」
僕はなんだか怪しい雰囲気になって来たので、慌ててジャージを着た。
「さぁ行こうか・・」僕たちはジャージに着替えてドアを開けた。
「シンジ?」丁度アスカ達もドアを開けた所だった。
Dパートに、つ・づ・く
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