裏庭エヴァンゲリオン第7話【初陣】Hパート
「suckfish号発進!」
フェリーの船底にくっついていた、ひらべったい潜水艦のような物が剥がれた。
「エンジン始動!」
「エヴァンゲリオン初号機・・鍵・・共にホールドしています!」
「コネクションハンドル出しました」
「シンジ君!もうすぐ上から潜水艦が横切るから、その取っ手を掴むのよ」
画面にミサト先生が現れて言った。
「つ、掴むんですか?」
「もうエヴァとシンクロしている筈よ! 右手を動かしてみて」
「は、はい」僕は右手を動かすイメージを送った
すると、右手が水の抵抗を感じた。
「シンクロしているわね! 後二分後にランデブーするわ!」
「分かりました!」
アスカどうしてるかな・・・ 僕はため息をついた。
ギリギリギリ
それでは、30分程フィルムをまき戻して見よう!
「アスカぁ!碇君戻って来ないわね」
「ヒカリ!誤解しないでよね! 私には関係無いんだから・・」
「素直じゃ無いんだから・・」
カチャ
もぐもぐ
「アスカ、何してんのよ! それ碇君のカツカレーでしょ?」
「いいのよ・・これは罰なんだから!」
「ホントに・・・バカシンジ!」
「ねぇアスカ!」
「?」カレーを口に含んだまま、振り向くアスカ
「それって間接キスなんじゃない?」
ブハッ
アスカは口にしていたカレーを吹き出していた。
「危ないわねぇ」
「はい!」
「ありがと」
「しかし、どこに行ったんだか・」
ヒカリに貰った紙ナプキンで口を拭きながら言った。
「なんだ・・やっぱり気にしてるんじゃないの・・」
「ち、違うわよ 私はレイを心配してるのよ!」
「あ〜ハイハイそういう事にしといてあげるわね・・
ホントに素直じゃ無いんだから・・」
「もう・・・ミサト先生も探しに行ったっきり戻らないし・・」
「シンジ・・」
それでは タイムスケジュールを元に戻します!
キュルキュル
「シンジ君! 掴まるのよ!」
僕の目の前に、ひらべったい潜水艦のような物が現れた。
海流に流されながらも、ようやくコネクションハンドルを掴む事が出来た。
「シンジ君!上陸するまでは休んでてね!」画面にミサトさんが現れた。
「ミサト先生!聞きたい事があるんです!」
僕は画面の向こうのミサト先生の目を見た
「大体、想像は付くけど・・まあいいわ・・なに?」
「何故、綾波の事を”鍵”だなんて言うんですか?
それに、父さんはどんな仕事をしてるんですか?
エヴァってなんなんですか?どうしてミサト先生や赤木先生がいるんですか?」
僕は一気に不審に思っていた事を吐き出した。
「そ、そんないっぺんに言われても困るわよぉ
司令が後で説明してくれるって言ったんでしょ・・
なら、いいじゃない・・」ミサト先生が苦笑した。」
「そうね、私とリツコの事なら教えてあげるわ・・
私たちがあなたの通う学校に勤めていたのは偶然じゃ無いって事!
ま、教師とは仮の姿って事よ」
「そうだったんですか・・道理で国語の先生の割りに、
漢字間違うと思ってました」
「シ、シンジ君!そ〜ゆ〜事言うと内申書に響くわよ!」
ミサト先生が笑いながら言った。
「勘弁してください!」
ファン
「初陣の割りにはリラックスしてるわね」モニターに赤木先生が写った。
「今のペースなら、10分後には追いつく筈よ!
まだこちらの存在は察知されて無いようなので、奇襲攻撃をかけるの」
「目標は鍵を抱えたまま飛行しているので、速度は約50kよ」
「エヴァの背中の水中行動パックのスクリューでは到底追いつかないから、
この超高速小型ステルス潜水艦で曳航しているの」
その時、
「赤木博士!目標をロストしました!」赤木先生の後ろに、
研究員の日向さんの姿が見えた。
「日向さん? 日向さんもそうだったのか・・」
「シンジ君・・大丈夫よ・・鍵・・いやレイには発信機が付いてるから、
探査衛星でキャッチ出来ると思うわ・・目的地は変わらないだろうし」
「発信機? どういう事なんだろう」僕は頭を傾げた。
「それじゃぁシンジ君! 今の内に操作を教えとくわね!」
「ハイ!」
約30分の間の講習で、僕の脳裏にエヴァの操作のやりかたが、
焼き付けられていくかのようだった。
「鍵の位置が測定出来ました!」日向さんの声が聞こえた。
「九州では、無く四国に向かっている模様です!」
「何ですって?そんな! 至急碇司令に連絡して下さい!」
赤木先生が、いつもらしく無いかんだかい声で命令していた。
「目標分かりました! 剣山です!」
「なによ!阿蘇山じゃ無かったの?」ミサト先生も動揺していた。
「追われている事に気付いて計画修正したのかしら・・」
「現在、紀伊半島の近くなので、今からなら計画修正出来るんじゃない?」
ミサト先生が赤木先生に言った。
「そうね・・では、目的地は剣山よ! シンジ君いいわね!」
「けど、内陸部に入られたら追えなくなるわよ!」
「そうね・・沖縄から高知空港まで、専用戦略輸送機ホワイトストークを飛ばして
エヴァを収容! そして剣山までの道筋で発見出来たら攻撃と言う事で
行きましょう」ミサト先生がいつものミサト先生と違う印象を感じて僕は驚いた。
10分後
「土佐湾に入りました!」
「それじゃ、物部川を溯って高知空港まで移動します!」
「了解!」
超高速小型ステルス潜水艦suckfish号は高知空港を目指していた。
「ホワイトストークが高知空港に着陸しました!」
「高知空港への最短距離に到着しました!」
「エヴァを切り離します! シンジ君!手を突くのよ!」
「ハイ!」僕はハンドルから手を放して、川底に手を突いた。
ズザーー
suckfish号は物部川の河原に上陸した
suckfish号の中から小型のジープが出てきた。
「じゃ、青葉君は留守番お願いね!」赤木先生・・いや赤木博士が言った。
「わかりましたぁ じゃ土佐湾まで出て隠れておきます!」
suckfish号は再び水の中に戻って行った。
「じゃ、行くわよ!」小型のジープの運転席に日向さん。助手席にミサト先生
後部座席に、赤木博士と、見覚えの無い童顔の可愛らしい女性が、
ノートパソコンを持って座っていた。
「高知空港の対応は?」
「非常事態宣言を出しているわ・・AIR−19でね」
「AIR−19? ハイジャックって事にしてるのね・・了解!]
「シンジ君!空港までエヴァで歩いて着いて来るのよ!」
「分かりました!」
ガシャン ガシャン
地響きを上げて僕の操るエヴァンゲリオン初号機は、河原の石を跳ね飛ばしながら、
空港目指して歩いて行った。
「何よこれ! 黒いじゃ無いの! 何がエヴァ専用戦略輸送機ホワイトストークよ!」
ミサト先生が、巨大な黒い翼の輸送機を指差した。
「ミサト・・あんた仮にも第二新東京大学卒業してるんでしょ・・」
「な、なによ」
「ホワイトストークってのは、英語で”こうのとり”と言う意味なのよ・・
だからって、白かったら隠密行動できないでしょ!ステルス性能も落ちるわ」
「言って見ただけじゃない・・」ミサトさんがいじけていた。
「エヴァの取り付け完了!」日向さんの声が聞こえた。
「専用のブースターは届いてるわね! それでは発進準備!」
高知空港は。日本でも類を見ない程、距離の少ない空港であった。
「これでジェットがよく降りれたものね・・」赤木博士がため息をついた
「発進準備完了!」
フオーーーーー
外部カメラに写った、ホワイトストークの噴射口が下に向けて噴射しているのが見て取れた。
「発進!」
急速に上に浮上する感覚が襲って来た。
約100M程浮上してから、ブースターに火が付いてものすごい加速がついた。
真下に見える高知市が箱庭のように見えていた。
「・・・・・」僕は声も出せずに震えていた。
ほんの、少し前まで楽しい修学旅行をしていたのに、
急転直下のこの事態にまだ心の整理がついてはいなかった。
第8話【決戦は水曜日】Aパートにつ・づ・く!
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