裏庭エヴァンゲリオン第8話【決戦は水曜日】Aパート
「シンジ君聞こえる? 目標は剣山まで到達したみたい!」
画面にミサト先生が現れて言った。
「追い付く予定じゃ無かったんですか?」僕は動揺を隠せなかった。
「何故だか分からないけど、時々スピードが上がってるみたいなのよ!
スピードを上げるようにホワイトストークのパイロットには指示出してあるから!」
「分かりました・・」
僕は通信を切った後、右手を握り締めていた。
「あやなみ・・」
ザッ
「後3分で到着します!」ホワイトストークのパイロットから通信が入った。
「わかりました・・」
「あれは!」僕はスクリーンに最大望遠された拡大図を凝視した。
画面の中では、カヲルと名乗った少年が、ぐったりとした綾波を抱えて、
剣山から今まさに飛び立とうとしている所だった。
「ミサト先生! 綾波が!」
「こちらでもモニター出来たわ! どうやら剣山が目的地では無かったのかしら?」
その時、画面の拡大図に写ったカヲルと名乗った少年がこっちを向いた。
そして、西に向かって一気に飛翔した。
「追って下さい!」僕はホワイトストークのパイロットに叫んだ。
「目的地はやはり阿蘇山のようね!リツコ!ホワイトストークの航続距離で辿り着ける?」
「大丈夫よ」
「シンジ君!聞こえた? 阿蘇山には絶対に辿り着かせちゃだめよ!」
少しヒステリックなミサト先生の声が響いた。
「わかりました!」僕は拡大図に写る二人を凝視していた。
時々スピードアップするものの、今度は目標をロストする事無しに追跡していた。
「青葉君!聞こえる? NERVに連絡して阿蘇山一帯に非常事態宣言を出して!
理由?噴火するとでも伝えなさい」
「分かりました!葛城大尉!」
僕は通信を聞いていて驚いた。
「ミサト先生が大尉? 大尉って・・ミサト先生は軍人なの?
けど、確か自衛隊は数字で現すってケンスケが言ってたのに・・」
「シンジ君どうかしたの?考え込んじゃって」ミサト先生が僕に気づいて声をかけた。
「いや・・なんでも無いです・・」
「そう!後10分もすれば到着すると思うわ!阿蘇山火口付近に、
UNの武装ヘリコプターが沖縄から飛んで来てくれてるから、
足止めにはなると思うわ!」
「でも綾波をどうやって取り戻したらいいんでしょう・・
相手は空を飛んでるんだし・・」
「大丈夫よ!彼等は鍵・・いやレイを殺す事は出来ないの・・
だから戦闘になれば鍵をどこかに隠す筈よ!
鍵に発信機を付けてる事は感づいてるとは思うけど・・
大丈夫よ私たちが探し出すから!」ミサト先生が僕を励ますかのように言った。
「分かりました!」
8分後・・
「目標の動きが止まりました!」
「どこですか?」
「シンジ君!もうすぐ射出するわ! そのつもりでいてね!」
「目標補足しました! 目標はえぇと阿蘇山の麓の広い草原にいるようです!」
「草千里か・・シンジ君!後1分で射出よ!」
「わかりました!」
「目標確認!」
「射出準備完了!」
「逆噴射開始!」
一時的にホワイトストークの機体が失速状態になった。
「今よ!」
「シンジいきまーーす!」と言ったかどうかは定かでは無いが、
シンジ操る初号機は、ホワイトストークから離れて降下して行った。
ヒュウーーーーズシャっ!
僕はオートバランサーのおかげでもあるが、なんとか無事着地する事が出来た。
「シンジ君!正面よ!約70M!」ミサトさんの声が響いた。
「あれか!」僕はエヴァを走らせた。
ガシャン ガシャン ガシャン
拡大画像でなくようやく二人を発見出来た。
「・・・・綾波・・・」
綾波はカヲルと名乗る少年に、服を脱がされていた。
後、下着を残すだけとなっていた。
綾波は意識が無いのか無抵抗だった。
「やめろ!綾波に何をするんだ!」僕は大声で叫んだ。
僕の声は外部スピーカーから大音量で流れた。
「これ以上君たちに邪魔されたく無いんでね・・
「心配いらないよ・・何もしてはいないさ・・今はね・・」
カヲルと名乗った少年の声が僕の頭に響いた。
「これか・・」カヲルと名乗った少年は綾波の来ていた制服についている、
校章を引き千切った。
そして手の中で砕いてしまった。
手を開くと粉々になった校章が落ちて行った。
「さて・・行こうか・・」カヲルと名乗った少年は綾波の背中に手を回して抱き上げた。
「綾波から手を離せ!」僕は装備していたライフルを向けた。
「いいのかい・・そんなモノ撃ったら僕だけじゃ無く、鍵も木っ端微塵だよ・」
カヲルと名乗った少年は不敵な笑みを見せた。
「鍵を取り返したかったら君自身が助けに来るんだね・・」
「ミサトさん!これどうやったら出れるんですか?」僕はミサト先生に回線を繋いだ。
「右側に回転式の黄色いバーがあるでしょ!それを引っ張って回すのよ!・・って
シンジ君まさか!」
僕はそれを聞くやいなやバーを引いて回した。
ガーーーー
僕のいる円柱が持ち上げられて更に、最初入って来た入り口が開いた。
「待ってろ!綾波!」僕は4点締めのハーネスを外して外に出た。
「うわぁぁぁぁっとっと!」僕は危うく地面に落下する所だった。
「シンジ君!聞こえる!背中のリュックの所にハンドルがあるわ!」
中からミサト先生の声が聞こえた。
「これか・・」僕は金属で出来た三角形のモノに足を乗せ、グリップを手に持った。
そしてグリップの横についているスイッチを押した。
ガーーー
するとエヴァのリュックサックから降りて行く事が出来た。
下の端まで降りるのを待てずに僕は飛び降りた。
そして綾波の元まで走った。
「ふ・・君は素直だね・・・賞賛に値するよ・・だが愚か者だ」
カヲルと名乗った少年が悪魔のような微笑をみせた。
「ど、どういう事なんだ!?」僕は困惑していた。
「こういう事さ・・」カヲルと名乗った少年は意識の無い綾波の首筋に口付けをした。
「んっ・・・」意識の無い綾波の顔が青ざめていった。
「綾波!」僕は血相を変えて飛び掛かろうとしたが、
目の前に不可視の結界のようなものがあり、それ以上前に進めなかった。
「綾波!」
僕は不可視の結界を手で叩いたが何の効果も無かった。
ようやく綾波の首筋から口を話したカヲルが振り向いた。
「君が覚醒めていたらね・・・」
「我は汝を呼ぶ・・・古の盟約によりて・・・
贄たるリリンを捧げし今!答えよ!リリス!」
そう言った直後カヲルの目が光った。
ガシャーン ガシャーン
背後に地響きのような物を感じて僕は振り返った。
「・・・・・」そこにはさっきまで僕が乗っていたエヴァンゲリオン初号機が
僕に向かって歩いて来る音であった。
「さらばだ・・六分儀の血を引く者よ・・」カヲルはそういって綾波を抱えたまま、
阿蘇山に向けて飛び去った。
「そ、そんな・・・」ゆっくりとではあるが、地響きを上げて近づいてくる、
巨大なエヴァンゲリオンが生み出した影に僕は包まれていた。
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