裏庭エヴァンゲリオン第9話【死に至る病・・そして】

僕は、綾波の可愛い寝顔を僕はずっと見つめていた。

(さっきまでずっと薬塗ってたもんなぁ・・)

看病に疲れて、僕の寝ているベッドの所で、椅子に座って僕の肩に手をあてたまま、
綾波は眠っていた。

「綾波・・ありがとう」僕は綾波の寝顔がとてもいじらしく、可愛く見えた。

「綾波はどんな夢見てるのかな?」僕は何気なく顔を寄せていった。

「いかりくん・・」綾波が涙を流しながら僕の名前を呟いた。

「あやなみ・・僕はここにいるよ」僕は首を動かして、綾波にそっと口付けをした。
(もう5時くらいかな・・眠いや・・・・)



そして翌朝 太陽はもう中点に差し掛かっていた。

「ミサト先生!ホントにシンジは大丈夫なんですか?」
「だいじょうぶよ・・(一晩シンジ君がいなかっただけでやけに素直になったわね)」
「アスカ、もうすぐそこなんだから行きましょ」
「ほんまにシンジの奴もとろこいのぉ」
「そうだよ・・救難艇に二人で乗ってて大波で鎖が外れたんだろ?」
「ほんまや・・それになんで救難艇に乗ったんだか」

「ほら 鈴原君 相田君 置いてくわよ」

「待って下さい ミサト先生」


「こ、ここなのね・・」アスカがドアノブに手をやった。

ギィィィィ
蝶番が軋みながら扉が開いた。

病室には、カーテンの陰から光が漏れて、顔をくっつけんばかりに密着して寝ている
二人を照らしていた。

「な、何やってんのよあんた達

「んん・・うるさいなぁ・・」僕はアスカの怒鳴り声で目を覚ました。

僕の目には綾波の寝顔がドアップで写っていた。

「わぁ」
僕は少し驚いて目を覚ました。

「んんっ」綾波も僕の声に驚いて目を覚ました。

「!いけない・・私寝ちゃったのね・・」アスカ達にはまだ気づいて無いのか、
綾波はがばっと起きて、僕のシーツを剥いで、塗り薬を塗りはじめた。

「碇君・・ごめん・・痛く無い? ねぇ」綾波が半泣きになって、
僕の背中に薬を塗りはじめた。

「綾波・・大丈夫・・もう痛く無いよ・・」僕は少し起きて綾波の手を掴んだ。

「ホントに? よかった・・」綾波がぼろぼろと涙を流した。

「ほら、もう痛く無いよ・・」僕はベッドから降りようとして気が付いた。

「あれ・・綾波・・僕のパンツ知らない?」

「あ、ここに」綾波が机の上にあった新品のパンツを僕に手渡した。

僕はシーツの中でもぞもぞとパンツを履いた。

「あれ、さっきアスカの怒鳴り声が聞こえたような・・」
僕は寝ぼけ眼を擦りながら、室内を見渡した。

「!?」僕は声も無く、突っ立っている4人の姿を見た。

「シぃ〜ン〜ジぃ〜」

「そ、そんな愛の逃避行だったなんて! いやーーんな感じぃ」X2

「ふ、不潔よぉ!

「誤解だよ!」

「ゴカイもロッカイも無いわよぉ」

「まぁまぁ みんな落ち着いて! シンジ君達の話も聞いてあげましょ」
ようやく、硬直から解けたミサト先生が言った。


僕はベッドの上で座ってみんなと話していた。
みんなは丸椅子を持ちよって僕の周りに座っていた。

「そうかぁ・・そんな事やったんかい・・」
「もう・・碇君も言ってくれたらいいのに・・」
「ホントに・・いっつもぼけぼけぇってしてるからよ」
「けど、二人して幸福そうに寝てたじゃ無い・・」

ミサト先生が情報操作して、僕たちは、甲板にいた時、綾波の帽子が風で飛び、
備え付けの救難艇の中に飛び込んでしまい、二人で探している時に、
大波が来て、繋いでいた鎖が外れて、海を漂流していて、
船の備え付けの道具で湯を沸かしていて、大波の時に、
シンジの背中に綾波がまいてしまい、火傷になった事になっていた。
この事は昨日綾波に聞いてはいたものの、こんな事で信用する人いるのかな?
と思っていたので、僕はほっとしていた。

「そっそんな事無いよ・・」だが、その時僕は昨夜の眠る直前の事を思い出してしまった。

「なんや碇・・顔赤くして・・」

シンジ!
「なんだよ・・」
その口元の赤い物は何よ!

「えっ・・まさか!」僕は動揺して口に手を当てた。

シーーーーーーーン

その場にいる全員は凍り付いていた。

チュンチュン 雀のさえずりの音に、僕たちは硬直が解けた。

「じょっ、冗談で言ったのにぃぃぃい ホントだったのねぇぇぇ!」

「いやぁぁぁぁやっぱり不潔よぉぉぉぉぉぉぉ」

「綾波さん!看病しろとは言ったけど キスしろだなんて言って無いわよ」

「そっそっそんな! 碇と綾波がキスぅぅう?」X2

「くぉの裏切りもん!」 「そうだぁ!さぁ吐け」

「わ、私知らない・・」綾波が小さい声で言った。

「えっ?」X4

「碇君のおしっこ取ったりとか・・あちこちに薬は塗ったけど、
キスなんかして無い・・」綾波が首を振って否定した。

「ちょ、ちょっと・・今何て言った?レイ・・あんたまさか!」
「もう、二人はそんな関係だったのね!やっぱり不潔よぉぉぉぉおお」
「ゆ、許さん! シンジ!そこになおれ!
綾波とキスしたばかりで無く、己のしょんべんまで取らせるとは!」

「そ、そ、そんなぁ・・僕だって好きでそんな事したんじゃ・・
他に誰もいなくて・・綾波しかいなくて・・背中が痛くて自分で出来なかったんだ!」

「これは父さんの罠なんだぁ!」

「父さん? 錯乱したか・・無理も無い・・己の罪の深さに慄いたか・・」


「こっこれぇ?」アスカが鼻をつまんで、尿瓶を手にした。

「仕方無かったんだよ・・そんなに皆で苛めないでよ」

「惣流さん・・あなたに碇君は渡せないわ!」綾波が厳しい目線をアスカに向けた。

「な、何よ・・やろうってんの?」アスカが身構えた。

「あなた碇君の事ホントに好きじゃ無いのね! ホントに好きなら、
そんな事しないわ!」と言って綾波はアスカの持つ尿瓶を指差した。

「レ、レイ・・私・・私」アスカは口喧嘩?に負けて座り込んだ・・

「ふ・ふふっ フフフフ」アスカが下をむいたまま笑い始めた。

「な、なんやイッてしもうたんか」
「アスカが遠くにイッてしまう・・」
「ちょっと惣流さん!」

「ア、アスカ・・」僕も心配になってアスカの前まで歩いて行った。

アスカが突然顔を上げた。

「アスカ・・」

「レイに出来て私に出来ない筈無いわ!」
言うなり尿瓶を持ったままアスカは起き上がり、
僕を片手でベッドに向かって突き飛ばした。

「な、何をするんだよ・・」僕は訳が分からず混乱した。

「ほらシンジ・・おしっこ取ってあげるから」アスカは僕のパンツの縁に手をかけた。

「や、やめてよアスカ!」

ダメこうしないとレイに負けるもの・・さぁ!」アスカは更に力を込めた。

「いいかげんにしなさぁぁぁい!」ミサト先生がようやく正気を取り戻して叫んだ。


数分後・・

「ふぅ・・一時はどうなる事かと思ったよ・・」
「ホンマや・・」
「アスカったら・・」
「何よ・・うるさいわね」
「まぁまぁ惣流さん」
僕たちはミサト先生の買って来てくれていた紙パック入りのコーヒー牛乳を飲んでいた。
僕はアスカが持って来てくれた替えの服に着替えていた。

「ほんまに、綾波がキスした事認めとったらこんな騒ぎにならへんかったのに・・」
トウジが綾波の方を向いて言った。

「私・・本当にしてないの・・」綾波は下を向いて小声で呟いた。

ピクッ  その場にいる人間すべてが、綾波の言葉を聞いた


「な、何故みんな僕の方見るんだよ・・・」

「シィ〜ン〜ジィ」

「い、碇君・・まさか寝ている綾波さんに・・・・
不潔よぉぉぉぉおおおおお!」

「シンジ!おまえっちゅー奴は! 許さへん!」
「そうだぁそんなうらやましい・・じゃなくて、破廉恥な真似ぉおお!」

「い、碇君・・・」
綾波の目が大きく見開かれた。

「ご、ゴメン!綾波!」
綾波が泣き出すと思った僕はとっさに謝ってしまった。

「何故起こしてくれなかったの!」
その直後綾波の声が病院中に響き渡った。

「あやなみってこんな娘だったっけ・・」

「ってやっぱりあんたが寝ているレイにキスしたんじゃ無いの!
ごまかされないわよ!!
ようやく立ち直ったアスカが叫んだ。

「そ、そ、それは・・」
僕はアスカに壁際まで追いつめられていた。

その時!

「おーい まだかぁ!バス来ちまったぜ!葛城!」
扉を開けて加持先生が入って来た。

「え、なに?もう着いたの?」ミサト先生が腕時計を見た。

「早くバスに乗らなきゃ! さぁみんな早く!」ミサト先生が僕たちを追い立てた。

僕はバスに乗り込み、前の端の一人用の椅子に座りこんで一息ついた。
「ふぅ・・渡りにシップってこの事かな・・はは」

「ん?」
僕は何か視線を感じて振り向いた。

「アスカ・・あやなみ・・」

裏庭エヴァンゲリオン第9話【死に至る病・・そして】Bパート終

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