裏庭エヴァンゲリオン セカンドジェネレーション



CHAPTER 01B
第1話【愛と哀しみのカノン:2039】Bパート

午前中の授業の終わりを告げるチャイムが流れた。


「さーて メシやメシや をいケイタ! 学食行こうぜ!」

ムサシが立ち上がり、ケイタに呼びかけた。


「さて・・シンイチ!ご飯にしましょ」ミライが声をかけてきた。

「うん・・いつもの場所だね・」僕は席を立った。

「夫婦仲良くお弁当かぁ いいよなぁ〜シンイチは」ムサシが僕達に声をかけた。

「そんなんじゃないよ(わよ)」

僕とミライがユニゾンで、言葉を返した。


もう冷やかされるのに、慣れてきたものの、顔が少し赤くなっているのがわかる。

「じゃ・・先に行くから」僕はミライに声をかけて、教室を出た。

「飲物買っていかなきゃ」僕は学食に寄り、いつものりんごジュースを二パック買って屋上に向かった。

屋上への階段を上がって行くと、ミライも上がっていくのが見えた。

「おまたせ」

「・・・・」

「どうかしたの?」

「なんでも無いわよ・・(シンイチのばか・・あーいう時に一人残されたら・・)」


「・・・さっきはごめん・・」僕はミライに謝った。


「・・いいのよ(わかってくれてたんだ・・シンイチ・・)」ミライは少し、微笑んだ。

「じゃ、食べようか」

「さてと」ミライが大きいお弁当袋を開いた。

「あれ・・3つある・・」

「アヤさん 間違えたのかな・・」


ガチャリ

その時、屋上のドアが開いて、碇先生が出て来た。

「パパ! じゃなくて碇先生・・どうしたの?」

「いや、今朝アヤから弁当を受け取るの忘れててね もしかしてって思ったんだ」

「こっちに3つ入ってましたよ!碇先生」

「やっぱりそうか」


「一緒に食べていきませんか?碇先生」

僕は敬愛する碇先生に声をかけた。


「そうしても、いいけどシンイチ君との甘いひとときを奪って、

ミライに怒られて嫌われるのも、いやだしねぇ〜」


碇先生が苦笑した。


「何言ってるのよ・・パパ・・私が許すから、食べていってよ・・ パパ」

「そうだな・誰もいないし そうしようか」

「やったー」ミライは喜んでいた。


なにせ、碇先生は他の人の手前、学校で僕達にあまり積極的に話をしなかったから・・

ミライにはそれが少しさみしかったのかもしれない・・


「さてと」僕達は弁当を挟んで三角に座った。

「今日のお弁当は何がメインかな」碇先生が嬉しそうに弁当の蓋を取った。

「どれどれ」僕も弁当の蓋を取って、中を見た。

「じゃ、いただきます!」

僕は目をつけていた、鳥のから揚げを口に入れた。

僕は本来、おいしいものは最期に食べる主義だったのだが、

それをすると、ミライに横取りされる事が多いので、

主義を変えざるを得なかった。


「この煮豆は、ミライが作ったの?」

「そうよ よくわかったわね」


「アヤさんとは味付けが違うからね・・」

煮付けすぎて、ぼろぼろになってるからわかったとは、

口が裂けても言えなかった。


数分後

僕達は食べ終えて、くつろいでいた。

「私は幸せ者だよ 娘二人が作ってくれた弁当を毎日食べられるからね」

「もう パパったら・・嬉しい事言ってくれちゃって!」ミライが笑った。

「あ、碇先生・・これどうぞ」僕は封を開けてなかったりんごジュースのパックを碇先生に手渡そうとした。


「ああ いいよ 私も買って来たんだ 噂のりんごジュースをね」

碇先生が小さいバッグの中から、同じりんごジュースを取り出した。


「パパもやっと、この味のよさがわかったの?」

ミライは、このりんごジュースが大好物で、学校だけでなく、

週末には、ビニール袋持参で、りんごジュースを買って、家路についているのだ。

「うん・・こないだ風呂上がりに、喉が乾いてたんで、冷蔵庫開けたらあったんで、つい・・ね」

碇先生が苦笑した。


「あーこないだ、最期の一つ飲んだのシンイチじゃ無かったの?」

「すまん」

「私てっきりシンイチだと思って・・・・」

「何かしたのかい?」

「ビンタしちゃったわ」

「もういいよ ミライ」

「ごめんね シンイチ」

「いいんだよ」

「ミライもそんなに手が速くちゃ、シンイチ君に嫌われちゃうぞ

私には、男の子がいないんだから、アヤかミライがシンイチ君を

お婿さんにするのを待ってるんだからね。」


「そっそんな」僕もそんな事を直接聞いたのは初めてだったので動揺してしまった。

「パパって、私達より、シンイチを可愛がってるみたいね」ミライがすねた。

「そんな事はないさ・アヤもミライもシンイチ君も同じように大切に思ってるさ」

「それにね・・」

「それに?」

「シンイチ君のお母さん・・綾波レイは・・僕の初恋の人だったんだ・・

母さんとは小さい時から一緒に暮らしてたから、そんな感覚無かったんだけどね・・

それもあって、僕の子供と、レイの子供が一緒になったらいいなぁって 思う事があるんだよ」


碇先生は遠い目をしていた。


「そっかぁ それで、シンイチのお母さんも、

”シンイチ”ってつけたのかぁ・・アネキが”綾波レイ”

のアヤ なのかぁ・・ママも、渚って言ったっけ?

シンイチのパパもとんだ面当てね」ミライが呟いた。


「そんな事はないよ・・それに、アヤって名前はアスカが付けたんだよ・・

レイは永い間、行方不明だったし・・アスカとレイはそれなりに仲もよかったしね」

「そっかぁ なら、私の名前の由来は?」

「あれ、ミライには言って無かったかい?

アスカのお母さんがキョウコ でアスカの娘だから ミライなんだよ」

「そんな安直なネーミングだったの? じゃ私に子供が出来たらどんな名前になんのよ」

「そんな先の事は心配しなくていいさ!それとも、シンイチ君と結婚する気になったかい?
ハハハハハ」

碇先生は何がおかしいのか、一人で笑い転げていた。

「碇先生ってこーいう人だったのか・・」

僕は碇先生のまじめくさった一面しか見て無かった事に、気がついた。


キーンコーンカーンコーン

お昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

「もうそんな時間か!」碇先生が慌てて立ち上がった。

「急いでても、階段は走っちゃ駄目だよ!ミライ!」

「わかってるわよ・・(心配してくれてるんだ・・)」

僕達はようやく、二階まで降りて来ていた。

「午後の5時間目は何だったっけ?シンイチ!」

「たしか、社会だったと思う・・」

「じゃ、パパの授業か・・ひとあんしん」

僕達はようやく、2Aの前まで着いた。

「先に入りなさい」碇先生が呼吸を整えていた。

「はい!」僕はミライと一緒に教室の中に入っていった。

「遅かったじゃないか」ムサシが僕達に声をかけた。

「碇先生まだ来て無いよ・・助かったね」ケイタが僕にささやいた。

「うん・・・そうだね」

僕は席についた。

「ふぅ・・」

おい・・シンイチ・聞いたか・・

{{ミライが喜んでた事?}}

そうだよ・・

{{そんなつもりで言ったんじゃ無いから・・}}

ふぅ・・俺がついてないと、おまえは駄目だね・・


そう・・僕は人の想いを読み取る事が出来るんだ・・

ガラガラ

碇先生が入って来た。

「それでは授業を始める」

第1話Bパート 終わり

第1話Cパート に続く!


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