「具体的にはどうされるのですか!?」
数人の出席者が口早に質問した。
「残念ながら資料をお渡しする事は出来ませんが、私にアイディアがあります。
エヴァンゲリオン初号機がイタカとダゴンを消滅させた兵器による破壊です。」
「馬鹿な! どこで破壊すると言うのだ まさかここでなどと言うんじゃ無かろうな」
日本政府からの出席者が椅子が倒れるのもかまわず立ち上がって言った。
「ここ、第三新東京国際空港においてです」 アヤは胸を張って答えた。
会議室は一瞬の後に喧騒の渦となった。
裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 22J
最終話【
魂(こころ)の帰える場所
】Jパート
「静かにしたまえ! 取り敢えず彼女の言い分を聞こうでは無いか」
派遣されたNERVの技術部のチーフが立ち上がって言った。
「現在エヴァンゲリオン初号機は、結界周辺の掃討を終え、結界内で待機しています。
ここ、第三新東京国際空港まで駆けつけて貰えば時間内にシャトルの核融合エンジンの
ある機体の後ろ半分を初号機が装備している兵器で除去すると言う案です。
無論通常の兵器で核融合エンジンを撃ち抜く事は自殺行為ですが、初号機が装備している
兵器から射出されたフィールドの内部を虚数空間経由で外宇宙にまで放り出すと言うもの
ですからこの空港に損害が出るとしたら地表とアスファルトが少し無くなる程度でしょう」
数秒して会場が静かになったのを確認して、アヤは口を開いた。
「その兵器とは赤木博士が極秘で開発をしていて、まだテストもしてないような試作機の
事では無いのですか? あまりに危険すぎると思いますが」
先程の派遣された技術部のチーフが立ち上がって質問をした。
「ダゴンとイタカを倒す事が出来たのは、その兵器があったからだと聞いておりますが…
現に、通常なら倒す事は不可能に近く、相対する旧支配者とその倦属を召喚して戦わせる
事しか出来なかったそうではありませんか……その常識を打ち破ったこの兵器にかけても
いいのでは無いかと思います。」
アヤが説明を終えると、会場内では、ほぼ全員が無言で考え込んでいた。
「取り敢えず赤木博士に連絡して、その方法における兵器の使用で問題が無いか問合わせ
てみます」 派遣されたNERV技術部のチーフが手を挙げて叫んだ。
NERV技術部のチーフの胸に付けられた認識票には飯塚ヨシアキと書かれていた。
彼が携帯フォンで赤木博士と会話を交わしているのを、
他のメンバー全員は食い入るように見ていた
「問題無いそうです 初号機をこちらに移動するように指示も出したそうです」
飯塚ヨシアキが電話を終え、立ち上がり宣言すると周囲から感嘆の声が漏れた
そして再び会場はざわめきに包まれた。
携帯フォンでどこかに連絡している者……
数人が集まり顔を寄せ合って相談している者……
皆一応に緊迫感に包まれていた。
「日本政府としては、内閣総理大臣の許可を得ましたのでNERVの決定に従う事にします」
どこかに携帯フォンで電話していた日本政府の代表が電話をしまい、立ち上がって叫んだ
「国際連合及び国連軍もその行動を支援致します。」
続けて、国連の日本駐在参事官が立ち上がって宣言した。
「ご理解頂き、ありがとうございます」 アヤは頭を下げて礼を述べた。
会場にいた全員がアヤに対して拍手をしていた。
ただのお飾り的な代表だと思っていたのに、誰も考えつかなかった方法で、
しかも最小限の被害で事態を解決させる方法を考えついたからである。
・
NERV作戦本部長代理は伊達じゃ無いっ・
「それでは、この場をお借りして、作戦本部と致します
尚、万一の場合に備えて、NERV関係者以外は当空港の地下シェルターに避難して下さい」
NERV関係者以外はざわめきながら部屋を出ていった。
「アヤお姉ちゃん……ありがとう」
会場の隣の部屋にいたローラとロレンスが現れ、ローラがアヤに抱きついて言った。
「もう、心配する事無いのよ ローラちゃん……ローラちゃんのお母さんの事も、
なんとかして助け出すようにするからね」
「シャトル”スピアー”が完成した時から乗っていた我々が遠隔での核融合エンジンの操作
が出来る事を知らなかったせいで、ご迷惑をおかけします」
ロレンスが頭を下げて言った。
「迷惑だなんて……あなた方が来て下さらなかったら、今ごろどうなっていたかと思うと…
ゼーレの命に背いてまでも救援に来て下さったあなた方の為にも、頑張ります」
アヤはロレンスの手を取り、握手をして言った。
「あら……肩に怪我をされてるんじゃ無いですか?」 アヤが目ざとくロレンスの肩口に
こびりついた血に気づいて言った。
「降下地点の敵を掃討した後、私はローラ様の所に駆けつけるべく単身で行動していた時
に、不覚にも疵を負いましたが、かすり傷です ご心配無く」
「地下シェルターの方に医療班を待機させてますので、そちらでローラちゃんと避難して
いて下さい。」
「我らの家でもあり故郷でもあったスピアーの最後を見届けたい気もしますが、
これ以上あなた方に迷惑をかけたく無いので、仰せの通りに致します」
「じゃ、ローラちゃん……終わったらお姉ちゃんのおうちに行こうね」
「うん!」 緊張が解けたのか、ローラは目尻に涙を浮かべて答えた
「それでは、打ち合わせを始めたいと思います」
アヤはNERVの職員 及び関係者が集まったのを確認して口を開いた。
「核融合エンジン付近を消滅させる事で、核融合エンジンの暴走の心配は無いけれど、
その他の機関等が爆発する可能性もありますよね……その場合の為に万全の処置が取れる
よう手配をして頂けるかしら」 アヤは飯塚ヨシアキの方に向かって言った。
「シャトルのチェックをされたのはどなたですか?」
「私ですが」 灰色のつなぎを着た男が立ち上がって言った
「どの部分を撃ち抜けば一番安全で効果的かを、初号機到着までに再確認して下さい」
アヤは報告書から顔を上げて指示した。
「空港関係者の方 いますよね」 アヤは周りを見渡して言った。
「私はNERVの職員ですが、第三新東京国際空港にも副所長として所属しております」
背広を着た男が立ち上がった
「全便欠航の為に駐機している旅客機なのですが、万一の場合に備えて出来るだけ
シャトルの場所から離れた所にタキシングするように命令して貰えますか」
「そうですね……誘導路と滑走路も使えば可能ですが、緊急着陸を要する機体がもし
来た場合に少し問題があるかも知れません。 小型機なら問題無いのですが……」
「あらかじめ、最寄りの空港に行って貰うように日本国内と日本近隣の空港に連絡を
して下さい」
「何か質問事項などは無いですか? 無ければ作業にかかって下さい
尚、私はこの場所にて待機しておりますので、何かあれば報告して下さい」
「あの……外に指揮車を用意してますが」 冬月が小声でアヤに囁いた。
「ここで結構です……あ、初号機パイロットと赤木博士と通信出来るようにお願いします」
アヤは冬月の方を振りかえって言った
「ここは危険ですよ もし爆発すればひとたまりも無いですよ 指揮車なら移動する事も
出来るんですが……」
「私がこの作戦の立案者です 私が安全な場所に逃げるなんて事は出来ません」
アヤは毅然とした表情で冬月に向かって言った。
「分かりました けど、もし何かあればすぐに指揮車に乗って下さいね……
今、通信器材を取って来ますから」
「我が侭言ってごめんね……私に何かあれば側にいたあなたに迷惑がかかるのは分かってる
んだけど……シンイチ君だけを危険に晒させておいて、自分は安全な所で命令するなんて
私には出来ないの……」
「わかりました……」 冬月は一礼して部屋を出て行った。
「作戦本部長代理……これをどうぞ」
アヤがその場所に残ったNERV職員に指示をしていると、冬月が入って来て、
ヘッドセットを手渡して言った。
「エヴァンゲリオン初号機と繋がっています こちらのスイッチを押して頂ければ
赤木博士に繋がります」 冬月は手さげバッグのような通信機を机の上に置いて言った。
「ありがとう」 アヤはヘッドセットをかぶって答えた。
その頃、シンイチはイクコと別れて空港に向かっていた。
零号機は損傷が激しい為、一旦帰還する事になったのである。
「シンイチ君……聞こえる?」
突然コクピットにアヤの声が響き、シンイチは少し驚いた。
「あ、はい……」
「あとどれぐらいでこっちに来る事が出来るか分かる?」
「もう滑走路が見えてますから、すぐですよ」
「その兵器なんだけど、範囲をどれぐらいまで広げる事出来るのかしら……」
「射出口からの距離ですか?」
「そうじゃ無くて……シャトルの核融合エンジンだけを撃ち抜くのは危険だから、
出来れば、シャトルの後ろ半分全体を消滅させたいの 」
「至近距離からなら、それなりに範囲を広くする事は出来ると思うけど……
ちょっと待って貰えます? アヤさん」
「ええ……」
{{兄さん……さっきアヤさんが言ってたような事出来るかな?}}
{それだけの出力は用意出来るが、射出口が大きく無いからなぁ……
素早く円を描くように射出口を動かせば、爆発する前に消滅させる事は出来るだろう
但し、多少の危険はあるがな}
{{わかったよ 兄さん}}
「一回だけの発射では無理だけど、引き金を引いたまま即座にエンジン付近も消滅させる
ように射出口を動かす事によってなら、なんとかなると思います。」
「それでお願い出来る?」
「ええ、やってみますよ アヤさん……」
「あ、シャトルが見えました ここからは地上を歩いて行きます……
飛行機とか踏んづけたら洒落になりませんから……」
シンイチはバーニアの噴射を止め、静かに接地し初号機を歩かせた。
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珍しくあっさりした終わりやな
ローラちゃん僕の胸でお泣き(やばいって)
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
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どうもありがとうございました!
最終話Jパート 終わり
最終話Kパート
に続く!
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