「一回だけの発射では無理だけど、引き金を引いたまま即座にエンジン付近も消滅させる
ように射出口を動かす事によってなら、なんとかなると思います。」
「それでお願い出来る?」
「ええ、やってみますよ アヤさん……」
「あ、シャトルが見えました ここからは地上を歩いて行きます……
飛行機とか踏んづけたら洒落になりませんから……」
シンイチはバーニアの噴射を止め、静かに接地し初号機を歩かせた。
裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 22K
最終話【
魂(こころ)の帰える場所
】Kパート
「そういえば、自分の眼でエヴァンゲリオンって見た事無いのよね……」
アヤはヘッドセットがコードレスなのを確認して、窓の前まで歩いていった。
「ここからだとよく見えないわねぇ 冬月さん これってどこまで届くのかしら」
アヤは冬月のいる方に振り向いて言った。
「建物の外でも大丈夫ですよ けど、危険ですから外にはって……もういっちゃった」
冬月はアヤが出ていった扉を見てため息をついた。
・
ミサト菌が伝染っちゃってたりして(爆)
・
「感度良好っと エヴァンゲリオンはどこかな……あ、いたっ
シンイチくーん 見える?」 アヤは手を振りながら呼びかけた。
「外に出てきちゃったんですか? 発砲する時は危険だから中に入って下さいね」
シンイチは画面の片隅に拡大されて映し出されたアヤを見て言った。
「エヴァンゲリオン初号機……お父さんの乗った機体……今は…………」
アヤは紫色の巨体を見ながら小声で呟いた。
数分後 初号機はシャトルの前まで辿りついた。
「やはり上から撃つべきでしょうかねぇ」
「施設の方に向いては撃てないけど……南の方に向かってなら大丈夫じゃ無い?」
「シンイチ君が来るまでに調べるって事になってたんだけど、ブラックボックスが
多すぎて難航してるのよ」
「時間はまだありますよね」
「あと32分ね もっとも時間まで待てずにボタン押しちゃうかも知れないけどね」
「不吉な事言わないで下さいよ アヤさん」
「大丈夫、自爆の命令コードを受信しても自爆に至るまでは2分あるそうだし、
命令コードが届いたらアラームが鳴るようになってるから」
「ピピピピピピ」
その時 アヤのヘッドセットにアラーム音が鳴り響いた。
二秒程アヤは惚けていたが三秒目から的確な指示を与え始めた。
「シャトル内にいる技術者は撤収! 爆発するわよ!」
アヤはシャトルの入り口にいたNERVの職員に向かって叫んだ。
「どうして、時間まで待てないのかな……」
アヤは逃げようとせず、シャトル内に入った技術員が出てくるのを待っていた。
「碇作戦本部長代理! ようやく破壊すべきスポットが分かりました!」
灰色のつなぎを着た技術者がシャトルから出てきて、アヤの姿を見つけて駆け寄って来た。
「どこを撃ち抜けばいいの?」
「エンジン周辺は打ち合わせ通りでいいんですが、コクピットの後ろにあるコンピューター
ルームの床下には自爆に連動するようにプラスチック爆弾が20キロも詰め込まれてます!
「じゃ、まずコクピットから撃ち抜かないといけないのね
分かったは、あなたは他の人と一緒に避難場所に逃げて!」
「今から走って間に合いますかね……」
その時、冬月の運転するジープがアヤと数人の技術者達の前に滑り込んで来た。
「もう皆避難してます あなた方だけです! 早く乗って下さい!」
「ありがと!冬月さん」 アヤはジープの助手席に乗り込んだ。
灰色のつなぎの技術員ともう一人のシャトルの搭乗口で立ってた技術員も
後部座席に乗り込んだ。
「あ、ちょっと待って シンイチ君に連絡しなきゃ」
車を出そうとしている冬月を制して言った。
「シンイチ君 聞こえる? シンイチ君!」
だが、何故か通信は繋がらなかった。
「シャトルに妨害電波発信装置もあるようでした……もしかしたら……」
「だけど、シンイチ君に伝えないと…………」
「この際仕方無いでしょう?」
「私だけ……安全な所に隠れて事態から眼を逸らすなんて出来ないっ」
アヤは叫ぶなりジープを飛び降りた。
「あなた達は逃げて! これは私の命令よっ」
アヤは冬月達に叫び、そしてシャトルの方に走っていった。
避難命令が出た時からサイレンの鳴り響く中、アヤは初号機の足元に駆け寄った。
「アヤさん? どうして!」 シンイチはアヤの姿を認識して驚いた。
だが残された時間はあまりにも少なかった。
シンイチは初号機を屈ませて初号機の左手を差し伸べた。
最悪の場合でもアヤだけはとの判断だろう。
アヤは苦労して初号機の掌によじ登った
そして左手は持ち上がり、エヴァの胸元まで移動して行った時エヴァのハッチが開いた
シンイチが手を差し伸べ、その手を取る事でアヤは何とかコクピットに潜り込んだ。
「シンイチ君! エンジン回りより先にコクピットの少し後ろを撃ち抜いて!
爆薬が仕掛けられてるらしいの その後にエンジン回りを撃って頂戴!」
アヤは動悸を押さえながらシンイチに早口で指示した。
「分かりました!」 シンイチはハッチを閉めてエヴァの右手に持っている兵器の
発射口をコクピットの方に向けた。
「あの……どこに座ればいいの?」 アヤは中腰になって操縦席内で立ち往生していた。
「よし!」 シンイチは屈んでいたエヴァを立ち上がらせた。
「ひゃっ」 アヤはその急激な動きによろけて、シンイチに必死にしがみついた。
(次から一言いいます……) シンイチは触れた身体から謝意を述べた。
「しがみついてていい?」 アヤは背後からシンイチに両手でしがみついた。
シンイチは銃口をシャトルのコクピットの少し後ろに向け、引き金を引き絞った。
銃口からは虹色の光が射出され、幅を最大にまで広げていた為、
シャトル前部にぽっかりと大きい穴が穿たれた。
そして、即座に銃口を動かし、シャトル後部の核融合エンジン部分に向けて引き金を引いた
今度は引き金を引いたまま銃口を動かしたので、まるで泡が消え行くようにシャトルの機体
は消滅していった。
恐れていた誘爆等も起こらず、アヤとシンイチは胸をなで下ろした
「けど、どうして時間より早くボタンを押したのかしらねぇ……」
アヤは被害が無いのを確認しながら呟いた。
「さぁ……見当も付きませんね」
シンイチは背中にアヤを感じながら口を開いた
数分前……ゼーレ本部
シャトルの外部カメラから送られた画像が巨大なスクリーンに映っていた。
音は無いものの、エヴァンゲリオン初号機の体躯は視る者に驚異を感じさせていた。
「ぬぅ……エヴァンゲリオンで排除する気か……」
キール・ローレンツは初号機を見ながら呟いた。
「どうなさいますか? 議長」
キールの側近の一人が腰を上げてキールに伺いをたてた。
「約束を破ったのは向こうが先だからな……やむをえまい」
「ローラ嬢の確認が出来てませんが、よろしいのですか?」
「やむをえんな……自爆コードを流してくれ」
キールは胸元のロケットを開き、写真を見ながら呟いた。
写真は ローラが産まれた時のもので、ローラの両親も揃っていた。
「自爆コード 流しました 自爆プロセスを実行しています!」
キールは報告の声をまるで余所の世界の事かのように受け流していた。
だが、杖にかけた右手がわずかに震えている事を知る者はいなかった。
その頃 第三新東京市から南に数十キロ離れた地点にある崖の地下2万5千メートル……
「ぐっ……」 意識を失っていた伊吹コウジは痛みで意識を回復した。
「あら、ようやくお目ざめのようね お加減はいかが?」
灰色のドレスを着た女性がコウジの顔を覗きこんで言った。
「うわっ」 コウジは少し前にこの女性から逃げようとして肩に疵を負ったのを思い出した
そして、反射的に起き上がろうとしたがその行為は強烈な痛みのせいで中断された。
「貴方が素直についてくれば怪我なんかしなくて済んだのに……」
灰色のドレスの女はコウジの傷口に掌をあてて言った。
「あんな状況でのこのこついていく馬鹿がいるかよ!」
肩の痛みに苛まされながらも、コウジは拉致された時の事を思い出した。
・
・
・
「解ったわ……全部説明するから……けど電話じゃダメよ エージェントをそちらに向かわ
せるから、そこでじっとしてなさい いいわね」
「解ったよ……」 コウジは受話器を置いてため息を一つついた。
コンコン その時、アクリルのボックスを叩く音がしたのでコウジは振り向いた。
「待たせちゃった?」
灰色のドレスを身にまとったうら若き女性が妖艶な笑みを浮かべて言った。
「は? あなたNERVの人ですか? なんか早いですけど」
コウジは灰色のドレスの女性をしげしげて見つめながら呟いた。
「それがね 違うのよ〜」
灰色のドレスの女性はコウジをからかっているのか笑みを浮かべて言った。
「あんた誰ですか!」
コウジは灰色のドレスの女性の異様な雰囲気に気づいて鳥肌を立てながら叫んだ
「あなたに危害を加えに来たんじゃ無いのよ あなたに用があるの」
「用? だからあなた何者ですか」
「言えないわぁ〜」
「なら嫌です」
コウジはふいをついて公衆電話から飛び出そうとしたが、
その瞬間に灰色のドレスの女性の右手が変化してワシの足のような鉤爪となり
コウジの肩に突き刺さった。
「言う事聞かないと痛い目に会うわよ ちょっと警告遅かったかな?」
灰色のドレスを着た謎の女性は、掴んだコウジの肩に力を込めて言った。
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最終話Kパート 終わり
最終話Lパート
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