裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 22O
最終話【
魂(こころ)の帰える場所
】0パート
13:25 NERV司令室
「ふぅ……」 シンジはさほど広くも無いNERVの司令室にて、
これまで提出されたレポート等に眼を通していた。
「人的被害は12人……奇跡的に少ない人数だが……葛城作戦本部長
そして加持さんを失ってしまった……これから尚厳しくなるだろうNERVにとって
安心して背中を任せる事が出来る人が……」
シンジは中学生時代の担任 そして副担任としての若かりし日の二人を思い起こし、
眼に涙を滲ませていた。
それも無理も無い事だろう 父ゲンドウの謎の失踪の後、
二人がシンジを心身ともに支えてくれたからこそ、
NERVの司令としての職務を果たせたのだから……
「碇司令……首相官邸から通信が入っております」
司令室の電話からオペレーターの声が鳴り響いた。
「来るべき時が……来たか 生きているのならどうして姿を現さないんだ 父さん」
シンジは少し青ざめた顔で受話器を取り上げた。
「はい 碇です」
だが、受話器を取り通信を始めた時は先程までの碇シンジでは無く、
NERVの司令としての碇シンジに変わっていた……
目尻の乾いた涙の跡が、彼の内面的な弱さを雄弁に物語っていた
13:35 地下ケイジ
「もう少し下がって あ、ストップ!」
シンイチは初号機をバックで所定の位置に収容させつつあった。
「オーケー 出てきてもいいわよ」
マヤはマイクを置いて拳で額の汗を拭った。
「無事……帰って来てくれて……」
マヤは眼を潤ませて満身に細かい疵がついた初号機を見つめていた。
「赤木先輩はまだ零号機の処かな……」
マヤは隣の零号機が収容されているケイジを見つめた。
プシュ 初号機のコクピットのハッチが開き、目の前にタラップが伸びてきた
{{それじゃ兄さん……僕は降りるよ}}
{まだ他に精神寄生体がいないとも限らないから、ここに残る事にした}
{{そう……けど思念は届くよね}}
{ああ}
{{それじゃ}}
「どうかしましたか?」 なかなか出てこないのを不審に思ったか、
オレンジ色のツナギを着た作業員がコクピットを覗きこんだ。
「あ、降ります」
シンイチはタラップに降り立った。
「零号機……」
シンイチは隣のケイジに満身創痍の状態で収められている零号機を見つめた。
「あの……零号機のパイロットに怪我とかは無かったんでしょうか?」
シンイチは先程の作業員に問いかけた。
「ここに収容されたあと出て来なかったんでコクピットのハッチを開けたら、
中で失神してたけど、外傷は無かったよ 多分医務室にいると思うよ」
「ありがとうございます」
シンイチは取り敢えずマヤのいるコントロールルームに向かった
「零号機の修理も必要だけど、初号機のチェックも重要よ 修理に必要なパーツの見積もり
をしてて、私は初号機を見てくるから」
通路の奥の方から赤木博士と技術者らしい男との立ち話が聞こえて来ていた。
「あら、シンイチ君」 少し歩いて行くと赤木博士が気づき、シンイチに声をかけた。
「零号機のパイロット……イクコさんは無事なんですか?」
「気を失ってはいるけど、精神汚染の心配も怪我の心配も無いわよ
ただ、心身共に疲労しているだけだと思うわ……気になるの?」
「そりゃあ まぁ……」
「医務室にいる筈よ 行ってあげてね」
「はい……」
シンイチはそう答えて歩きだした。
「あ、そうそう その格好で行っちゃダメよ 着替えてシャワーを浴びる事ね
それと、マヤに一声かけてから行くのよ」
「分かりました」
シンイチは、着替えてシャワーを浴びてからマヤの待つコントロールルームに行く事にした
「シンイチ君 お疲れさま」
シンイチがコントロールルームに入ると、マヤは白衣を着た医師に注射をされていた。
「どうかしたんですか? マヤさん」
シンイチは驚きを隠しきれぬ表情で問いかけた。
「ブドウ糖注射よ 心配無いわ」 マヤは苦笑して言った。
「あの……ちょっと医務室に行って来ます」
「通信機は持ってるわね……いってらっしゃい」
シンイチは医務室に向かった。
13:40 医務室
シンイチはベッドの上で眠っているイクコを食い入るように見ていた。
確かに外傷は無いが、シンクロしている為、エヴァが疵を負うと
その場所に痛みを感じる事を体感した人間として、気が気ではいられなかった。
なにせ、零号機の腹部に空いた穴は背中まで貫通していたのだ。
「ん……」 その時イクコは眼を覚ました
「大丈夫?」 シンイチはイクコにそっと声をかけた。
「コクピットにいた筈なのに……」
「中で失神してたそうだよ よっぽど疲れてたんだね」
シンイチはシーツからはみ出していたイクコの手を握って言った
「戰闘は……もう終わったの?」
「ああ…… だからゆっくり身体を休めて……「私は……帰らないといけない」
イクコはベッドから起き出し、シンイチに背中を向けてベッドから降りようとした。
だが、ベッドから降り立った時目眩を感じたのかふらついていた。
「そんな身体でどこに行くんだよ」
シンイチは後ろからイクコの身体を支えて言った。
「私の仲間が今も戦っている処よ」
イクコはシンイチに支えられたまま言った。
「どうしても行くと言うのなら……僕も着いていく ダメだと言うのなら人を呼ぶよ」
シンイチはイクコの肩に少し力を込めて言った。
「……わかったわ」
イクコは振り向きシンイチの眼を見て言った。
13:50 第三新東京国際空港
アヤはロレンス及びロンギヌスの隊員の世話を冬月に頼み、
アヤはローラを家に連れて帰ろうとしていた。
「ロレンスさん達の事は頼んであるから、とりあえず私の家で休んでてね ローラちゃん」
アヤはNERVの黒塗りの車の後部座席にローラを座らせて言った。
「アヤお姉ちゃんは?」
ローラは運転席に座ろうとしているアヤに問いかけた。
「報告を済ませたら超特急で帰るから……それまで待っててくれる?」
「んー わかった」
「じゃ帰りましょ」 アヤはエンジンをかけて車を発車させた。
「ミライを連れて帰るように頼まれたから、ちょっと寄り道するわね」
アヤは後ろを振り向かずに言った。
5分程走り、アヤは第三新東京市の市街地にある病院の裏口に車を止めた。
「あ、迎えが来たから帰ります 見送りありがとね加奈子ちゃん」
「いえ……あの……兄の事 よろしくお願いしますね」
加奈子は頬を少し染めて口を開いた。
「また……見舞いに来るね それじゃ」
ミライは加奈子と別れてアヤの運転しているNERVの公用車の助手席に乗り込んだ。
「葦田さんだっけ……全治ニヶ月ぐらいで済んで良かったわね」
走り出して少ししてから、アヤはぼつりと話しはじめた。
「うん……だけどもう あの人を巻き込みたく無い……」
ミライは葦田に庇われていた時の事を思い出したのか、スカートを握り締めて言った。
「けど、葦田さんってNERVの実行部隊に入ったんでしょう?
将来のNERVを担う若手が入ってくれたって、父さん言ってたわよ」
「……出る時に妹さんに”兄の事 よろしくお願いしますね”って言われたの……
彼女 お兄さんがNERVに所属した後も危険な仕事してる事知ってるみたいね」
「そう……」 アヤはかける言葉に詰まり押し黙った。
「あ、もうすぐ着くわよ ローラちゃん」 信号で止まった時にアヤは後ろの席にいる
ローラに声をかけた。
だが、ローラの返事は無かった……
・
これで座席が濡れてたら怪談だな
・
「寝ちゃったみたいね」 助手席のミライが後ろを振り向いて言った。
「ローラちゃんもいろいろあって気を張りつめてたみたいだから」
信号が青になったので、アヤはアクセルを踏んだ。
「何か久しぶりに家に帰ったって気がしない?」
アヤは助手席にいるミライに声をかけた。
「そうね……」
「何よあれ……」
角を曲がり、碇家が見える場所に来た時、アヤは驚愕の声をあげた。
碇家の玄関の周りにはレポーターや記者 そしてビデオカメラを担いだ人達が
黒山のように玄関前にたかっていたのだ。
「一体何が起ってるの?」 ミライは声を震わせて言った。
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よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
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どうもありがとうございました!
最終話Oパート 終わり
最終話Pパート
に続く!
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