「カヲル! 話が違うじゃ無いかっ ヨグ・ソトースを解き放つと聞いたから協力したのに!
私を迫害し、何の罪も無い母にまで魔女裁判をするような奴らへの復讐の為に今まで生きて来たと言うのに!」
その時、イリーネが気を失っている伊吹コウジの首にどこから出したのか銀色のナイフを突きつけて叫んだ。
裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 22S
最終話【
魂(こころ)の帰る場所
】Sパート
「落ち着きたまえ イリーネ!」
カヲルは振り向きざま指から衝撃波を放ち、イリーネの手に命中させた
銀色のナイフはイリーネの足元に落ちて数度跳ねた。
「コウジ君!? 何故ここに」
岩場の影にコウジが倒れていたせいで、
シンイチはこの場にコウジがいる事を知らなかったようだ。
「ナイフなど無くとも 私には攻撃手段などいくらでもある……
この子を寄り代に、ヨグ・ソトースの落とし子の召喚呪文を詠唱したら……
ネクロノミコンに目を通したあんたならどうなるかわかるだろう? カヲル!」
「シンジやシンイチはいざ知らずとして……ヨグ・ソトースの落とし子の召喚呪文
の詠唱には時間がかかる……それまで手を出されないとでも本気で思ってるのかね」
ゲンドウは懐からNERVの制式拳銃を取り出して言った。
「綾波レイとかのクローン体を全部崖下にたたき落とす事も出来ると言う事も
忘れるで欲しいわね」 彼女がそう言った次の瞬間 イクコを除く全てのクローン体は
一歩前へ足を踏み出した。
「ぐっ」 カヲルはイリーネを利用した事を悔いているようであった。
「そんな事をすれば……ここにいる全員を敵に回すと言う事を覚えておいてくれ」
そう言ってシンジも懐からNERVの制式拳銃を取り出した。
「ぐっ……私を騙して利用したカヲルにこそ責任があるとは思わないのか!」
イリーネは震えながら伊吹コウジを拘束……いや 抱きしめていた。
「あなたがどんな事情でそうしているのかは分からない……
だけど、何の恨みも無いコウジ君や母さんのクローン体を殺すと言うのなら……
さっきあなたが言っていた、あなたが復讐しようとしている相手と、
同じ事をしようとしているんじゃ無いですか?」
シンイチのその一言が、イリーネの心をきつく締めつけた。
「私を……殺してよ……片時も母さんを殺された時の事が忘れられず……
復讐の念に身を焦がして破滅へとひた走る私を楽にしてよ……
復讐出来たとしても、母さんは帰らない……そんな事は分かってる……だけど……」
イリーネはそう言って瞳を閉じた……母の元に誰かが送ってくれると信じて……
「イリーネ……すまなかった……亡母を思う君の気持ちにつけ込んだのは私だ……
君の母の仇は私が必ず取る……だから協力してくれないか……
君がいなければヨグ・ソトースを押え込む事も、綾波レイを復活させる事も叶わない
もう、あらかたの仇はすでに殺したと聞いている……残った者の名前を教えてくれ」
カヲルはイリーネの肩に手をやって言った。
「残ったのは一人……だけど私にはとても手が出せない程護られていたの……
あの時、総本部より派遣されて来たキール・ローレンツ……彼が母を責め殺したの……」
イリーネは思い出してしまったのか、涙を滲ませて言った。
「seeleの現評議長 キール・ローレンツ 確かに襲撃するのは不可能に近いな」
ゲンドウは懐にNERVの制式拳銃を収めながら言った。
「ゼーレの委員 全員が先だってのキールの行動に同調した訳では無い事は、
すでに調べが済んでいる……もし……キールが誰かに殺害でもされれば、
キールの後を継ぐのは、マリコ・ローレンツ そして長ずればローラ・ローレンツ
と言う事になるな……それならばゼーレとも友好的な関係を続けられるだろう……」
シンジも銃を収めながら言った。
「父さん……おじいさん ありがとう」
シンジは二人に向かって頭を下げた。
「べ、別に礼を言われる筋合いでは……」
シンイチにおじいさんと言われたせいか、ゲンドウは困惑していた。
「父さん……もう姿を隠す必要は無いでしょう……今回の事が終わったら……
母さんに会ってあげて下さい アヤやミライにも会った事無いじゃ無いですか」
「そんな事は無い 葛城君から定期的に報告と写真を貰っていた……
・
をいをい ifのゲンドウかいや
・
「おまえが渚……いや碇シンイチか……カヲルに育てられなくて良かったな
カヲルに育てられていたら自分の意見一つ言えず暗にこもるようになるからな」
イリーナはシンイチに手を貸して貰って立ち上がった。
「ひどい事を言いますね……」
カヲルは苦笑を浮かべた
「我々に残された時間はあまりに少ない シンジ!おまえは伊吹君に連絡して、
術者の確保 シンイチはエヴァンゲリオン初号機に搭乗してこの地にて待機
渚カヲル及びそこの女は召喚呪文の維持と管理 急げっ」
ゲンドウは皆に指図して言った。
「シンイチ! この鍵を持っていけ、赤木博士に見せたら分かる筈だ」
ゲンドウはシンイチに銀色に輝く鍵を放り投げた
「シンイチ! こっちにエレベーターがある ついて来い!」
シンジはシンイチに一声かけて駆け出した。
「わかったよ 父さん!」
シンジもすぐ後に続いた。
ゲンドウ カヲル そしてイリーネがその場に残った。
「冬月も呼ぶか……駐車場の管理も飽きた事だろう……」
ゲンドウはその場の雰囲気に負けたのか携帯フォンを手にしてその場を去った。
「なぁ……カヲル……」
イリーネはカヲルの横に立って意識を集中しながら言った。
「どうかしたのか?」
「早く……あんな連中と出会っていたら……母さんは死なずに済んだのかもな」
イリーネはぽつりと呟いた。
カヲルはその問いには答えず、僅かな微笑みをもって答えた。
NERV司令室
自動ドアの音と共に、碇シンジが司令所に入って来たので、
詰めていた職員はざわめいた。
「碇司令 どちらに行ってらっしゃったんですか?」
青葉がシンジの元に駆けつけて言った。
「30分後にミーティングを行う 各部署の責任者 及び術者を第一会議室に集めてくれ」
シンジがそう告げた後、オペレーター達は受話器を取り、各所に連絡を始めた。
「尚、シンイチはエヴァンゲリオン初号機にて待機の予定! 現在ケイジに向かっている
赤木博士に連絡して再出撃の準備をさせておいてくれ」
シンジは司令室に戻り、受話器を取りボタンを押した。
「あなた どこへ行ってらっしゃったの?」
電話の相手は 妻 アスカであった。
「今日 NERVとしての見解と発表を行う 関係各所及びマスコミに連絡してくれ」
「わかりました……ついにその日が来たのね……」
「あと、ミライとアヤが地下にいる筈だ 呼び出して第一会議室に行かせてくれ
ところで、特殊部隊(アタッカー)の隊長と副隊長が殉死したようだが、
後任を至急選んでおいてくれないか」
「隊長は葦田ショウ 副隊長は樹島ミドリでどうです?」
アスカは即座に答えた。
「暴走しがちな葦田に冷静沈着な樹島とのペアか 悪く無い 取り敢えず代理と言う事で
会議に出席するように伝えてくれ」
「しまった 葦田はまだ入院中だったか……」 シンジは受話器を置いてから気がついた。
そうこうしている内に30分はあっと言う間に過ぎていった。
「碇司令 ほぼ揃いました」 青葉副司令が司令室に顔を出して言った。
「行くか……」 シンジはこれがNERVの司令としての最後の仕事かのような、
引き締まった表情で立ち上がった。
シンジは司令所に残っていた青葉と日向を連れて第一会議室に向かった。
シンジ達が会場に着いた頃には、もう殆どの人間が席についていた。
総勢21名……
司令:碇シンジ 副司令:碇アスカ(外務担当)
副司令:青葉シゲル(オペレーター統括)
事務次官:日向マコト 技術部長:赤木リツコ
のトップ5 および、
作戦本部長:碇アヤ
作戦本部次長:冬月ヨシオ
技術部主任:伊吹マヤ
等の管理職
及び術者として、山際シズカ 風谷ミツコの
姿が見受けられた
だが、この場にいるべき、
特殊部隊 アタッカーの隊長である葦田ショウ 副隊長の樹島ミドリ
そして碇ミライの姿が見えなかった。
「遅くなってすみません 本日付けで特殊部隊アタッカーの隊長に任命された葦田です」
「同副隊長の樹島です」
「あの……呼ばれた碇ミライです」
葦田はミライと樹島ミドリに左右から支えられたまま、会議室に入って来た。
「揃ったようだな……始めよう」
シンジは 全員を見渡して言った。
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なんか怪獣映画みたいだな
ターンAパートにまでならない事を祈るよ
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
内容確認画面を出さないで送信する
どうもありがとうございました!
最終話Sパート 終わり
最終話Tパート
に続く!
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