次の瞬間 ケイジに固定されていた初号機は解除され僕のコントロール下にあった。
僕は初号機を歩かせ、4番ゲートのスロープを降りはじめた。
5分程歩いて行くと、ジオフロントのゲートに辿りついた。
「
ゲートオープン!
エヴァンゲリオン初号機 出撃!
」
アヤさんは少し悲痛な声で、僕を戦場へと送りだした。
裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 22V
最終話【
魂(こころ)の帰る場所
】Vパート
「うっ」 伊吹コウジは傷口の痛みで目を覚ました。
目を覚ました時、コウジは誰かに背中から抱きしめられているような感覚を感じた。
「起きたの?」 イリーネはコウジの頭を自らの胸のあたりに置き、
背後からイリーネ自らがつけてしまった傷口に右手を押し当てていた。
コウジは自分を支えているのがイリーネだと気づき咄嗟に起き上がろうとしたが、
イリーネによって押し止められた。
「もう少しで傷が消えるから……」
その言葉を聴いて初めてコウジは自分のあちこちの疵が消えている事に気づいた。
今イリーネが手をあてている部分が最後の疵のようで、
傷口がひくひくと痙攣するかのようにコウジは感じていた。
「あんたがつけた疵だろ……なんで治してるんだよ」
コウジはイリーネによって傷つけられた時の事を思い出したのか、
少し不機嫌そうに言った。
「答えになって無いかも知れないけど……私がつけてしまった疵だから……
せめて私が治してあげたかったの」 イリーネはコウジの傷口に手をあてたまま答えた。
そのイリーネの表情を見て、コウジは身体の力を抜いた。
「なんで俺に疵を負わせてそれを自分で治そうとしているのかは理解出来ない……
だけど、治して貰わないと損だからな」
コウジはそう言うや堂々とイリーナに身体を預けた
二人はまるで母と息子のようにおだやかに時を過ごしていた。
少しして初号機のたてる足音がイリーネとコウジの処にも届きつつあった。
二人が起き上がると彼方から歩いて来る紫色の初号機がカヲルのいる場所の篝火に照らされ
てその姿を現した。
「なっ何だよ ありゃあ」
コウジは初号機を見あげて呟いた。
「あれはエヴァンゲリオン初号機……あなた達を守る為に作られたものよ」
「俺達を守る為に……」
「もうすぐ、ここが戦場になるのよ……初号機の搭乗員……
碇シンイチとやらを呼ぶから地上にあなたを返して貰うわね」
イリーネはコウジに諭すかのように言った。
「シンイチが!? シンイチがあれのパイロットだって?」
コウジは初号機を凝視しながら言った。
「今 一体何が起ってるんだよっ 俺はどうしてこんな処にいるんだ
説明してくれ!」 コウジはイリーネの両肩に手をあてて詰問した。
「いいけど……それを話せば……あなたはもう元の生活には戻れない……
それでもいいの?」 イリーネはコウジをまるで姉が弟を心配するかのような表情で言った
だが、コウジはイリーネの言葉に動じなかった。
「仕方無いわね……説明してあげる」 イリーネはコウジに座るように仕草をして言った
その頃 地上の碇家の前では……
「一体何事なんだよ……」
ようやくTV局のスタッフが帰り支度を始めた碇家の近くで
シンジの級友にして親友のムサシが呆然と立ちすくんでいた。
サッカー部の練習試合で第三新東京市を離れていたムサシは
夕方になってようやく駅前で解散になり、駅構内を歩いている時、
シンイチの家がTV局のスタッフに包囲されている映像を見て、
慌ててユニフォームのまま駆けつけたのであった。
・
ムサシよすまん 存在忘れてた ケイタもな(爆)
・
「ムサシじゃ無いか」 その時 背後から自転車の軋み音と共に声が発せられた。
「ケイタか……おまえ 何か知らないか?」
ムサシはケイタに擦り寄りながら言った。
「何も知らないの? ん その姿……練習試合でもやってたのか
今日は朝から第三新東京市は凄い事になってたんだよ
戒厳令は敷かれるは外出禁止令は出されるは……
証言によれば怪獣と正義のロボットが闘ってたそうだけど……」
「それと何でシンイチの家が関係あるんだよ」
「TVではシンイチの家の碇先生がそのロボットのいる組織の司令だって事だけど」
ケイタはムサシの勢いに驚いたが、眼鏡を押さえながら答えた。
「あの国語の碇先生がか? 今でも確か俺達の母校の教師だよな」
「ちょっといいかな……君たち確かシンイチの友達じゃ無かったっけ?」
その時 ムサシとケイタの背後から誰かが近づいて来て話しかけた。
「俺達は何も知らんっ TV局には何も喋らんぞ ケイタ 行こうぜっ」
早合点したムサシはケイタを急かしてその場を離れようとした
「おいおい 俺はマスコミじゃ無いって 前シンイチの誕生パーティで会ったじゃ無いか」
謎の人物は慌てて二人の後を追いながら言った。
「え?」 ムサシとケイタはその言葉に振り向いた。
「あ〜そういえば、碇先生の知り合いで相田って人だったと思う」
記憶力がいいのか、ケイタはムサシの肩を叩きながら言った。
「おっ ケンスケ 待たせたのぉ」 その時更に誰かが背後から近づいて来た。
「あ、あの関西弁のおっさん 覚えてる覚えてる 飲めんって言うのにビールをしこたま
飲まされたから覚えてる!」 ムサシは新たに現れた鈴原トウジを指差して言った。
「おっさんやと? まぁええわ……おまえらも同じ理由でここに来たみたいだしな」
トウジはネクタイを緩めながら言った。
「あの……碇先生があのロボットのいる組織の司令だって本当ですか?」
ケイタはトウジとケンスケに向かって言った。
「んー実は俺達も知らなかったんだよ……確かにシンジや綾波達には何かがあった
みたいだけどな……シンジが中三の時は失踪してて殆ど出てこなかったし、
綾波は綾波でシンジと入れ代わりにいなくなるし……」
ケンスケは遠い目をして昔の事を思い出しながら言った。
「俺は一度酒の席でシンジにその組織に来てくれないかって誘い受けたけどな……」
トウジは不精髭を指でもてあそびながら言った。
「何ぃ 俺には何も言わなかったぞ!」
ケンスケは青筋を立てて怒鳴った
「シンジの親父さんが失踪したやろ……それで自分で率先してやらないといかん
っちゅー事で大学卒業する頃だったかな……誘われたんだよ……
ま、ヒカリの事が無ければ受けてたかも知れんけど……俺は断ったんや」
「ま、君たちも シンイチの事支えてやってくれや」
トウジはムサシとケイタの肩を叩いて言った。
その時ケンスケの携帯フォンが鳴り響き、
ケンスケは少し離れた処で会話をし始めていた。
「あの……やっぱりシンイチも関係してるんですか?」
ケイタは何故か肩を震わせながら言った。
「君たちならええやろ……エヴァンゲリオンの今のパイロットは……
恐らくシンイチやろな 前はシンジがそうだったみたいだしな……」
「シンイチが……俺達にも何か助けてやる事は出来んのですか!」
ムサシはトウジににじり寄って言った。
「……君は素手でゴ○ラを倒せるか?」
「はぁ?」
「それぐらいの実力差があるって事だ……ただ見守る事しか出来ないんだよ」
トウジは自分自信に言い聞かせるかのように自嘲的な笑みを浮かべて言った。
その時、第三新東京市にサイレンの音が各地から巻き起こった。
「社の方からの連絡だが、30分以内に第三新東京市から避難しろと言う命令が出された
そうだ このサイレンの事だろう」 ケンスケは携帯フォンをたたみながら言った。
「これから始まるのか……おまえらも逃げろよ 親に迷惑かけんなよ」
トウジはムサシとケイタの肩をぽんと叩いて言った。
「また飲もうぜ ケンスケ」
「ああ 死ぬなよ」
「あほ言えヒカリに娘二人もおるんじゃ 死ねるかい」
そう言って二人は二方向に別れて去っていった。
「政府および第三新東京市 そして特務機関NERVからの命令です
30分以内に第三新東京市から避難して下さい 繰り返します 政府および」
ヘリコプターやセスナ などが上空から大音量で避難勧告を伝えはじめた
「特務機関NERVって言ってたよな もう公開された機関になったって事かな」
ケイタは上を見上げて遠くに見えるセスナを見ながら言った
「おいケイタ……」
「何だよムサシ……」
ムサシはケイタに何か一言耳打ちをした。
「本気なの?」
「ああ……」
二人はがっちりと手を組み、そして別れた
・
バっロ〜ム?
・
処は代わりジオフロント……
イリーネは延々とコウジにこれまでの状況
そして、コウジ自身の宿命……ヨグ・ソトースの精を受けた母から
産まれた、孵化する前のヨグ・ソトースの落とし子的な存在である事を伝えた。
「だからあなたを祭壇で殺してその血を捧げれば、ヨグ・ソトースの召喚が早まる
そう思った私があなたを探して……そしてここに連れて来た訳よ
NERVに保護して貰いなさい……いいわね」 そう言ってイリーネは立ち上がった。
再び処は代わりNERV司令部
「放送の準備はいいかね?」
シンジはNERVの制式な礼服に着替えて司令室に戻って来た。
「準備OKです マスコミ各社とコンタクト完了です
司令室にビデオカメラを設置済みです」 青葉が立ち上がって報告した。
シンジはその報告を受け、隣接している司令室の扉を開けた。
「いつでもOKよ」 アスカがカメラの脇に立ってカメラマンに何か指示をしていたが
シンジが入って来たのを見て振り向いた。
「始めよう」 シンジはカメラに向かって言った。
ビデオカメラのランプが青から赤に代わり、主要な全テレビ局へとデータが送られはじめた
「本日 日本政府及び国連の正式な機関となった特務機関NERVの司令 碇シンジです。
本日未明より始まった戰闘 そしてこれから始まる戰闘についての説明を始める前に
我々が闘っている相手について説明を致します」
シンジはビデオカメラの前で演説を始めた。
NERVの各部署でもシンジの演説は流されていた。
発足からこれまで秘密機関として守るべき国民にも知られず、
倦属や崇拝者と死闘を繰り広げていた事を皆思い出しながら、
黙々と作業をこなしていた。
今 まさに決戦の幕が降りようとしていた。
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引きを作りすぎだっちゅーの
んー怪獣映画だ
よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
ここに、何か一言書いて下さいね(^^;
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どうもありがとうございました!
最終話V パート 終わり
最終話Wパート
に続く!
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