裏庭セカンドジェネレーション

CHAPTER 04B

第4話【湖畔に響くシンフォニー】Bパート

そして翌日 今日は、記念日なので祭日である。

「ママはどうして、考古学者になったの?」ミライが父さんに呼びかけた。
「そうね 私も聞いて無いなぁ」アヤさんも父さんに視線を合わせた。

僕達は、父さんの運転する6人乗りのエレカに乗っていた。

「シンイチのお母さんの・・綾波レイ・・彼女がいなくなった後・・
僕はあちこちの遺跡を探して回ったんだ・・アスカも付いて来てくれてね・・」

「遺跡?なんで、シンイチのお母さんがそんな所にいると想ったの?」
ミライが素朴な疑問を口にした。

「神隠しとでも言うような失踪だったからね・・ま、いろいろあったんだけど

で、そのレイを探す調査は母さんと、何年もやってたんだけど、

その調査の途中で副産物のようなものなんだけど、考古学上、重要な化石が発見されたんだ。

そのレポートをアスカが書いたんだけど、そのレポートが認められて一躍アスカは考古学上の有名人になったんだ。

まだ高校生だったんだけどね それ以来、考古学者として研究をしているんだよ」

「そうだったんだ・・」

「おっと、なんとか、時間に間に合いそうだな」父さんの運転するエレカは空港の駐車場に入っていった。

僕達は、空港の正面ホールで、アスカさんを待っていた。

「今着いたみたいね 飛行機」

「半年ぶりだもんねぇ・・母さんと会うのも」

「あれ、お母さんじゃ無い?」
「けど、女の子連れてるわよ」

「あ、こっちに来るよ」

「ただいまぁ〜 みんな元気にしてた?」アスカさんが、僕達の前まで歩いて来た。

「おかえり・・アスカ」

「おかえりママ!」

「おかえり!お母さん」

「おかえりなさい!アスカさん」

「その子は?」父さんが疑問を口にした。

「この子は、日本名は”樹島ミドリ”中南米の遺跡をさまってたの・・
小さい頃、両親と一緒に観光に来てて、迷子になったらしいの・・・・」

「前電話で言ってた子かい・・じゃ、日本に両親はいるのかい?」

「うん・・・確認は取れたんだけど、今アメリカに奥さんを連れて、長期出張に行ってるらしいのよ

で、この子の両親が帰るまで、預かろうと思って  さ、挨拶なさい 私の家族よ」

「この人達が、アスカの家族か?」

「そうよ」

「はじめまして!樹島ミドリです 中南米にいたので、日本語へたです ごめんなさい」

「よろしく!みどりちゃん 私はアヤって言うの」

「よろしくね」

「この子何歳なの?」

「ミライと同い年 中学二年生よ」

「そうなの!よろしくね!私はミライ」

「あ、渚シンイチです。よろしく!」

「じゃ、家に帰りましょうか」

「そうね さすがに疲れたわ」

「荷物持ってあげる」

「ありがとうアヤ あんたにはいつも迷惑かけてるわね」

「そんな事言わないでよ お母さん 私が好きでやってるんだから」

「アヤさん 僕も手伝うよ」僕はアヤさんに声をかけた。

「じゃ、シンちゃんにはトランクを持って貰おうかな」

「うん これだね」

エレカに荷物を詰め、僕達は家路についた。

運転席に父さん 助手席にアスカさん
その後ろにアヤさんとミライ
後ろの席に、僕とミドリさんが座っていた。

「そういえば、この間アメリカから転校要請のFAXが来てたなぁ
ミドリちゃんは、私のクラスになると思うよ」

「あら、そうだったの?」

「うん けどいいのかな・・」


「アヤさん・・ビニール袋持ってませんか?」僕は前の席にいる、アヤさんに声をかけた。

「ちょっと待ってね あ、あった」

「ありがとうございます」

「これ、気持ち悪かったら、これ使ったらいいよ」
僕はビニール袋を横で、青ざめている、ミドリさんに手渡した」

「あ、ありがとう」ミドリさんは、少し我慢していたが、堪えきれず吐いてしまった。

「シンイチ君 はい!」アヤさんがティッシュの箱をくれたので、ミドリさんに手渡した。

「あら、気分悪くなったの?」

「あ、ありがとう・・」少し楽になったのか、ミドリさんは微笑んだ。

僕はビニール袋を手に取り、袋の口を括って紙袋に入れた。

「ごめんなさい・・」

「いいんだよ」

「シンイチ君って・・優しいね」

「そ、そんな事無いよ 困ってる人がいたら助けろ・・父さんの言葉なんだ・・あ・・」

「シンイチ君・・電話で聞いたわよ・・やっと、先生呼ばわりじゃ無く、”父さん”って呼んでくれたって
シンジったら、おいおい泣くのよ・・・嬉しいってね・・」

「父さん・・」

「だけどね、私の事を母さんだなんて、呼ばないでね 外を歩く時は、年の離れた姉弟で通すのよ」

「それは無理があると思うけど・・母さんならやりかねない・」ミライが呟いた。

「母さんったら、私と同じような事言ってる・・血は争えない・・か」アヤさんが笑った。

「あ、アスカさん!この間はありがとうございました」僕はアスカさんが送ってくれた誕生プレゼントを思い出した。

「ママったら、シンイチに何てもの送るのよ」ミライが少し怒っていた。

「冗談のつもりだったんだけど・・」

そういえば、あの本どこにいったんだろう・・


「さて、着いたよ」

僕達は車を降りた。

「じゃ、二階の開いてる部屋に寝てもらおうか・・布団もあるし」

「そうね」

結局、夕方まで使われていなかった部屋を掃除して、布団を敷いたりしていた。

「ふぅ お腹空いたわね」アスカさんがリビングに腰を降ろした。

「もう、準備出来るから、もうちょっと待ってねお母さん」アヤさんがキッチンから声をかけた。

数分後

「おいしそう」
「ざるうどんか、おいしそうだな」
「ミドリさん ハシは使えるの?」

「練習はしたんだけど」だが、塗りハシでは掴みにくいようだった。

「アヤさん割り箸あるでしょ」

「ちょっと待ってね」

「はい」

パキッ 「これ、使うといいよ」

「ありがとう」

「あらあら、シンちゃん優しいのね」アスカさんが、微笑んだ。

「何か自分の事呼ばれたように想ったよ」父さんが笑った。

「そうよね、シンジも良くシンちゃんってミサトに呼ばれてたもんねぇ」

「おいしい!このつゆ、いつものと違うんじゃ無いですか?アヤさん」

「気が付いた?2日前から用意して、煮込んでたのよ」

「母さん・・泣いてるの」ミライが、隣にいるアスカさんに声をかけた。

「いつも、家を開けている私なのに・嬉しくてね・・」アスカさんが涙を拭った。

「何言ってるのよお母さん どこにいたって、お母さんはお母さんよ」アヤさんが微笑んだ。

「ありがと・・アヤ」アスカさんは、いつも家を開けているのを気に病んでいたのだろう。

「当分外国の遺跡に行く事は無いから、今日からは皆と一緒にいられるわね(約束の日は近いのね・・)」

「ママ、ホント?」ミライが目を輝かせた

「じゃ、大学での講義に集中するのね」

「ええ そうよ」

「よかったねパパ」ミライが父さんに笑った。

「アスカも、一緒にいてくれるのか?」ミドリさんが、言った。

「ええそうよ あなたのご両親が帰るまでは、私がお母さんよ」

「ありがとう・・」


「そうだ、ミライ!同じクラスなんだから、面倒見てあげるのよ」

「わかってるって」

「何か、学校で、分からない事があれば、僕かミライに聞けばいいから」

「あ、そうそう明後日の日曜は、皆で山にでも行かない?」

「うん そうだ!アスカ!あそこにしないか?」

「そうね」

「どこかいい場所知ってるの?ママ」

「そうだ、シンイチ君 ミライ アヤ 友達を連れて来てもいいぞ」

「山は好き」ミドリさんは、早くも山に想いを飛ばしているようだった。

「じゃ、ムサシとケイタを呼ぶよ ミライは、鈴原さんを呼ぶでしょ」

「うん」

「楽しみね」

そして、その晩

僕は部屋で、シズカちゃんに貰ったディスクを聞いていた。

トントン 部屋の扉がノックされた。

「どうぞ」

扉を開けて、ミライが入って来た。

「この間の続き・・見ない?」

「うん そうしようか」

僕はリモコンで、電源を入れ、スタートさせた。


見始めて、数分後・・

「ねぇ・・シンイチ・・この間はごめんね・・」

「いいんだよ・・ミライ」
二人は画面を見ながらも、心は隣にいる者と通わせていた。

十数分後 僕は、ジェネQのエンディングテーマを聞いている内に、少し眠くなった。

うとうととしている内に、眠ってしまっていた。

「シンイチ・・起きなさいよ・・」

だが、僕は深い眠りに落ちていた。

数分後

僕は唇に何か暖かいものを感じて目を覚ました。

「?」目の前では、潤んだ目をしたミライが、ベッドにもたれている僕に覆い被さって唇を重ねていた。

「よかった・・目が覚めた?」

「何してるの・・」

「何って・・その目覚まさなかったから、もしかしてこの間の私達みたいに、悪い夢でも見てるのかと思って」

「熟睡してただけだよ」僕は微笑んだ。

「そうだったの?ご、ごめんなさい」ミライはか細い声で謝った。

「謝る事無いよ・・ミライ」

「ねぇ・・私の事・・どう想ってるの・・まだちゃんとした答・・聞いて無い」ミライの目は少し潤んでいた。

「・・・好きだよ・・ミライの事・・だけど・・」僕は軽くミライの背に手を回して抱きしめて言った。

「心の整理がついて無いのね」

「ごめん・・」

「どうかしたの?アヤさん」廊下でミドリさんの声が聞こえた。

「な、何でも無いのよ・・母さんのお土産のグレープフルーツで、
ジュース作って持って来たのよ、はいこれはミドリちゃんの分」

僕達は慌てて身体を離した。

コンコン

「どうぞ」

「はい、グレープフルーツジュースよ」アヤさんは、グラスの入ったトレイを置いた。

「アネキぃ・・気になるんなら、一緒にいたらいいのに・・」

「何の事?」

「3分ぐらいは、そこにいたよね」後ろでミドリさんが微笑んだ。

トレイにはもう一つジュースが乗っていた。

「アヤさんも、ここで飲んでいったら?ミドリさんも」

「そうね・・じゃ」

「おじゃまします」ミドリさんも入って来た。

「それじゃ頂きます」

僕達はジュースを飲みながら、いろんな話をしていた。

「さて、もう遅いし」

「そうね お休みシンイチ」

「みんなお休みなさい」

「お休み」

僕は皆を見送った。 とは言っても、同じ二階に部屋があるのだが。

「今日は歯まだ磨いて無かったな」僕は部屋を出て階段を降りた。

「あら、シンイチ君どうしたの?」グラスを洗っていたらしく、アヤさんの手が濡れていた。

「歯をまだ磨いて無かったので」

「そう」

「それじゃ」

僕は洗面所で歯を磨き終え、洗面所を出た。

「アヤさん・・」

そこには、アヤさんが頬を少し染めて立っていた。

「シンイチ君・・ごめんね」

「いいんですよ・・気にしてませんから」

「立ち聞きするだなんて・・私ったら・・」アヤさんは自分を責めていた。

「アヤ・・」僕はミライにしたように、軽くアヤさんを抱きしめて、そっと唇を重ねた。

「僕が・・はっきりしないから悪いんです・・」

「ありがと・・シンイチ君」

「こら・・一緒の時は”シンちゃん”って呼ぶ約束でしょ・・アヤ」

「ふふっいつもと逆ね」

「それじゃ、おやすみなさい」

「おやすみ シンちゃん」


僕はベッドの上で天井を見ていた。

「明日は土曜か・・もう寝るかな」



第4話Bパート 終わり

第4話Cパート に続く!


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