裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 05C
第5話【人の形心のカタチ】Cパート
「こっちだと思うよ」僕はミライの手を引いて、元いた方向に歩いていった。
「ねぇ・・シンイチ・・心の整理がついて無いって言うのは、さっきの事が理由だったの?」
「うん・・」
「もう一つ・・隠している事があるんだ・・」シンイチは呟いた。
「何を隠しているの?(もしかして、他に好きな人がいるの?)」
「違うよミライ・・そういう事じゃ無いよ」
「わ、私・・何も言って無いわよ」ミライは動揺した。
「そういう事だよ・・触れていたら、相手の想いが読めるんだ・・
強い想いなら、近くにいるだけで読めるんだけど・・」
「そ、そうだったの・・」
「アヤさんは、薄々気付いていたようだけどね・・」
「アネキもその事知ってるの?」
「その事だけね・・全部知ってるのは・・ミライだけだよ・・」
「言われて見れば、時々察しがよすぎる事あったわよね・・」
「僕は・卑怯だよね・・相手の心を読んで、嫌われないように、ただ・・・嫌われないように・・してたんだ」
「シンイチは卑怯なんかじゃ無い・・その気持ち・・わかるもん」
「私はシンイチの全てが好きなの・・だから気にしないで・・」ミライは繋いだ手をギュッと握り締めた。
「ありがとう・・ミライ・・」シンイチも手を握りかえした。
その時、小雨が降り始めた。
「走ろうか、ミライ」
「うん!」
二人は小雨の降る木々に囲まれた道を走っていた。
「シンイチ!」
「何?」
僕達は雨の降る小道を走りながら話していた。
「私・・ずっと待ってるから・・」
「・・ありがとう」
その後は無言のまま、僕達はようやく元いた場所に辿り着けた
「山を降りるわよ!手伝って!シンちゃん、ミライ!」アスカさん達は荷物を片づけていた。
40分後
僕達は山を降りて、エレカに荷物を積んでいた。
「取りあえず乗って頂戴!」僕達はエレカに来た時と同じ席に座った。
「うわぁかなり、濡れちゃったね」ミライが僕に声をかけた。
「そうだね・・取りあえずタオルで拭くしか無いかな」
「ここで、服脱いで拭く訳にはいかないし・・」
「ねぇ、シンジ・・」アスカさんは父さんの耳元で何か話していた。
「そうだね・・そうしようか」少しして父さんが肯いていた。
「ねぇ、皆!これから温泉に行かない?」
「温泉ですか・・近くにあるんですか?」ケイタが質問していた。
「エレカで30分って所ね、皆雨に濡れて冷えてるだろうし。
「内風呂のある部屋を借りるから、雨でも心配無いわよ」アスカさんが言った。
「じゃ、異存は無いわね」
「はーい」ほぼ全員の同意を得て、父さんの操るエレカは一路温泉に向かった。
途中で父さんは携帯フォンで連絡を入れていた。
30分後 僕達を乗せたエレカは温泉に辿り着いた。
「電話で予約を入れた碇ですが」
「ああ、はい、こちらがキーです」
僕とムサシとケイタが 301号室 アヤさんとシズカちゃんと樹島さんが302号
ミライと鈴原さんと風谷さんが303号、父さんとアスカさんが304号室に入る事になった。
僕達は父さんとアスカさんに案内されて、別館へと移動した。
「雨さえ降って無かったら、露天風呂もあるんだけどね」
「この間の事のように思うよ・・」
父さんとアスカさんは、思い出に浸っているようだ。
「前に来た事あるんだ・・」ミライが父さんとアスカさんに言った。
「ええ、ちょうどミライと同い年の頃にね 父さんと・・レイと一緒に・・」
「アスカ・・」
「ごめんなさい・・」
あまり触れられたく無い事があるようだったので、誰もが詳しく聞こうとはしなかった。
僕達は部屋に入った。
僕達は着ていたずぶぬれの服を脱いで、籠に入れて浴衣を羽織った。
濡れた服は高速クリーニングに出してくれるそうだ。
「なんや、狭い風呂だなぁ」ムサシが風呂場を見て言った。
「僕、最期でいいから、先入りなよ」僕は二人に声をかけた。
「じゃ、先に入らせて貰うぜ」ムサシは浴場に消えていった。
僕は椅子に座って、小雨の降る中庭を見ていた。
少しすると、雨は止み、少し晴れ間が見え始めた。
「ムサシも長湯してるみたいだし、露天風呂に行くか・・」僕はタオルを持って立ち上がった。
僕はトイレにいるケイタに声をかけて部屋を出た。
数分後
「ここだな」僕は男湯と書かれた暖簾をくぐった。
脱衣所には誰もいず、シンイチは浴衣と下着を脱いだ。
「誰もいないな・・雨が止んだばかりからか・・」シンイチは誰もいない露天風呂に入っていった。
「あったかい・・そう言えば今日は二度もずぶぬれになったんだった」僕は温泉に漬かっていた。
透明度も高く、きれいな湯でシンイチは顔を洗っていた。
その時、
「アネキも、ここに来たのぉ?」
「順番待ってたら、風邪引きそうだし、雨も止んだしね」
アヤさんとミライの声が聞こえて来た。
「近くに女湯があるのか・・」僕は少しどきどきしてしまった。
「うわぁ〜誰もいないんじゃ無い?」
「そうね」
だが、二人がシンイチのいる露天風呂に歩いて来るのが見えたのだ。
「ちょっと!ここ男湯だよ!アヤさん、ミライ」僕は片手で目を押えて二人に言った、
「えぇ〜シンイチ?」
「シンイチ君?」
「私達女湯って暖簾くぐって来たのよ」
「じゃ・・もしかして」
「混浴?」X3
第5話Cパート 終わり
第5話Dパート に続く!
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