裏庭セカンドジェネレーション
CHAPTER 10.5G
第10.5話【
碇アヤの一日
】Gパート
PM4:30
「さぁて、今晩のおかずは何にしようかなぁ」私は冷蔵庫を開けて眺めながら呟いた。
TRRRRR
その時、電話の音が鳴り響いた。
「はい、碇です」私は受話器を取った。
「あ、アヤ?」
「お母さん?」
「もう晩御飯の準備始めた?」
「これからだけど」
「今晩は皆で食事に行きましょうよ」
「いいけど、どうして?」
「ミドリちゃんやローラちゃんといられる日ももうあまり無いんだから外で食事させたいのと、
アヤ……あなた試験前でしょ……料理する時間もそれなら勉強できるでしょ」
「お母さん ありがとう」
「だから皆に言っておいてね」
「うん わかった」
「それじゃ7時頃には帰るからお出かけの準備しといてね」
私は電話を切って考えた。
「うーん どの教科にしようかなぁ あ、そうだ国語の漢詩の問題が駄目だったのよねぇ
あれさえ解れば、100点だったのに……あ、そうだお父さんに聞こうかな」
私は階段を上がって、自室に入り端末を手に、一階に降りて来た。
「お父さん いい?」私は書斎のドアを軽く叩いた。
「アヤかい?いいよ」
お父さんがドアを開けてくれたので私は書斎に入った。
書斎にはお父さんの資料や本がいつものように山積になっていた。
「端末なんか持って、どうかしたのかい?」
「うん……さっき前々年の問題集やったんだけど、漢詩の問題三つ間違えたの……だから100点取れなくて」
だが、お父さんは何故か黙りこくってしまった。
「どうしたの?お父さん」
「お父さんが高校の頃はアスカに教えて貰ってて、赤点すれすれだったんだよ……
それでちょっと落ち込んでたんだよ アヤはアスカに似たのかな はは」
「そんな事言わずに教えてよ お父さん」
「漢詩のどこが解らないんだい?」
「漢詩の構成かな……そこの基本が解らないの」
「アヤが基本が解らないなんて、珍しいなぁ」
「教えてる木村先生も、漢詩は苦手だって言ってました」
「なるほど、今度家に呼ぶかな……」
PM5:00
「ありがとう、お父さん 大体解ったから」
「そうかい?お父さんも面目が保てたなぁ はは」
「あ、お母さんから電話があって、今日の晩御飯は外で食べようって言ってたから」
「わかったよ」
「7時には準備して待ってるようにって それじゃ」
「あ、そうだ洗濯もの取り込まなきゃ」
私は書斎を出て、自室に戻った。
私は一人用の小さいソファーに座った。
「これで、心配な所は他に無いわねぇ……」
私はソファーに座って下着を畳みながら考え事をしていた。
「あ、そうだ!」
私は部屋を出て、斜め向かいのシンイチ君の部屋のドアを叩いた。
「はーい」シンイチ君の声がしたので私はドアを開けた。
「どうかしたんですか?アヤさん」
「あ、晩御飯はお母さんが帰って来てから外で食事しようって言ってたから、7時には着替えて下に降りて来てね」
「わかりました」
「あ、それとサマーセーターなんだけど、サイズ計らせて貰っていい?
どうせ作りなおすのならぴったりのサイズにしたいから」
「いいですよ」
「あ、いっけなーいメジャーを部屋に忘れて来ちゃった じゃ私の部屋で計ろうか」
私はシンイチ君の手を引いて、自室に連れて来た。
「メジャーを探すから、ソファーにでも座っててね」私はメジャーの置いてありそうな引き出しを調べていた。
「あれ……これなんだろ……畳みかけの洗濯もの?畳んでおきますね」
シンイチ君の声に気付いてシンイチ君の方を私は見た
「きゃっ それ私のパンティーなの」私は慌ててシンイチ君の手から純白のパンティーをもぎ取った。
「ご、ごめんなさい……」
「シンイチ君は悪くないの……洗濯物を畳んでて、急にサイズ計るのを思い付いたから」
「おみやげに一枚持って帰る?」
「どちらかというと、今はいてる奴の方が……」
「シンイチ君のえっち…… いいわよ」
アヤさん、どうかしたんですか?
「え?ごめんなさい なんでも無いの」私は下着を箪笥に仕舞い込んだ。
またもや妄想かい!
「あ、メジャーあった あった」私は箪笥からメジャーを取り出した。
「その上着脱いでくれる?正確なサイズ計りたいから」
「あ、はい」シンイチ君は薄手の上着を脱いだ。
「じゃ、まずは胸囲から計ろうかな シンイチ君 両手を上げてバンザイしててね」
「わかりました」
私は右手にメジャーを持って、前からシンイチ君の背中に手を伸ばした。
「あら……届かない…」だが、メジャーをあまり出さずに計ろうとしてたので、左手の指がメジャーに届かなかった。
「えいっ もうちょっとなのに…… あっとどいた!」
「アヤさん……」シンイチ君の少し困ったような声に私は気付いた。
「あっ……ごめんね」私はシンイチ君を抱きしめる格好になっている事に気がついた。
しかも、なかなか届かなかったので、胸を押しつけてしまっていた。
私はメジャーを伸ばしながら、シンイチ君から少し離れた。
「えーと」メジャーをシンイチ君の胸で合わせてサイズを計った。
「OK!次は袖の長さね」
私はシンイチ君の肩から手首までのサイズを計った。
「次は首からお腹までの長さね」
私はシンイチ君の下腹部にメジャーの先をあてて、メジャーを首まで伸ばして、サイズを計ろうとしたが……
「駄目ね……数字が見えない……そうだ!シンイチ君はこの先を持っててね」私はメジャーの先をシンイチ君に
持たせて、下腹部に固定してもらって、ベッドに上がった。
「もうちょっとこっちに寄ってね」
「はい」
私はシンイチ君の首のところのメジャーの数字を見た。
「OKOK けどシンイチ君 背が伸びたわねぇ」
私はメジャーをしまう為にベッドを降りて、シンイチ君の頭に手を伸ばした。
「アヤさん……」
「なぁに?」私はメジャーを箪笥にしまって振り向いた。
「僕にどうしてこんなに優しくしてくれるんですか……」
「何度も言ってるじゃない……けど、何度でも言ってあげる……シンイチ君……あなたの事が好きだからよ」
「どうして……僕はこの家の厄介者だし……アヤさんと……」私はシンイチ君を抱きしめて、話すのを止めさせた。
「アヤさん……」
「私はシンイチ君と……一緒にいたいの……シンイチ君は嫌?」
「そ……そんな事無いです」
「私はシンイチ君が好き……その事は誰にも変えられないから……人を好きになるのに資格はいらないでしょ
シンイチ君が私の事、どう思っていようとも……私はシンイチ君の事を好きでいたいの
私の方がよっぽど不安なのよ……選ぶのはシンイチ君なんだから……
でも……いいの……シンイチ君がこの家にいてさえしてくれたら何も望まないから
」
「アヤさん」
「私はあなたにいて欲しいんだから、シンイチ君が気にするような事じゃないの……わかった?」
「ありがとうございます……」
「行ってよし!」私はシンイチ君の背中をポンと押して身体を離した。
「頑張って勉強してね」私は部屋を出て行くシンイチ君にそっと囁いた。
「ずるいわね……アネキは」扉の陰に隠れていたのか、ミライが中に入って来た。
「聞いてたの?ミライ」
「ちょっと前から……」
「けどずるくないでしょ? あくまでも選ぶのはシンイチ君なんだから」
「そんな風にアネキに理解あるように優しく言われて、なびかない男なんかいないわよ……」
「そんなつもりで言った訳じゃないの……あのままじゃシンイチ君がどこかに行ってしまいそうだったから」
「私は駄目ね……シンイチが私のものにならないのなら……きっと耐えられないわ」
ミライはドアを締めて部屋を出ていった。
「……私だって……シンイチ君と一緒にいられないのなら……この世界が無くなってもいい……」
……心の闇に潜む思いを止められる者は……いない。
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よくやったな・・シンジ
問題無い・・・
おまえには失望した
アヤさん萌えぇぇぇ
アヤさん親衛隊に入るっす
いつまで続くんじゃぁ!
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どうもありがとうございました!
第10.5話Gパート 終わり
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に続く!
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