シンジはデリンジャーを取り出し、弾を確認した。

「アスカ・・ようやく死に場所を見つけたような気がするよ・・」シンジはデリンジャーを構えて呟いた。


雪山に消ゆる面影を求めて

第3話【白髪の復讐鬼】Aパート


「奴等・・何者だ・・」シンジは研究所の入り口に立っている兵士を物陰から見ていた。

「日本人じゃ無い・・戦自では無いか・・」

「正面からは無謀か・・・」シンジはそろそろと研究所の入り口から離れた。

シンジは裏手に回った。

「待ち伏せか・・念がいってるな・・」シンジは裏の出入り口を物陰から見ていた。

シンジは上を仰ぎ見た。

「あそこまで行ければ・・」シンジはバッグからフック付きロープを取り出した。

シンジはフック付きロープを回転させ、一気に屋上の手すり目掛けて投げつけた。


ひゅーーーん カラッカラッ ガキッ



手すりにがっちりとフックが挟まっていた。

シンジは見張りが来ないのを確認して、登りはじめた。


数分後

シンジはパラボラアンテナのある、屋上に到着していた。

どうやら、見張りはいないようだ。

シンジは屋内へ入る扉に耳をつけた。
扉に鍵はかかっているようだった。

カツカツカツカツ

どこか遠くで軍靴の音が聞こえた。

その音は段々近づいて来た。


ガチャ

兵士が一人扉を開けて屋上に出た。
「物音がしたんだが・・気のせいか・・」兵士は何かしゃべっていた。

次の瞬間!

シンジは扉の上の屋根から兵士に向かってダイブした。

「うわぁっ」

ごんっ

兵士は頭をコンクリにぶつけて昏倒した。

「悪く思うなよ・・」シンジは気を失った兵士から銃を奪った。

シンジはその銃を横たわっている兵士に向けて引き金に指を当てた。

「・・・」

シンジはトリガーを引かず、兵士の口に猿轡を付け、ザイルでぐるぐる巻きにして
人気の無い方向に手すりにザイルを結んで、ぶら下げておいた。

シンジは兵士から奪った 自動小銃と手溜弾2個・そして拳銃一丁を身につけた。

シンジは扉を開けて中に入り、鍵を閉めた。

「ちと寒いかもしれないが・・死ぬよりはましだろ・・後で口を割らせるか・・」


シンジは慎重に廊下を歩いて行った。

「3Fか・・エレベーターは危険だな・・」


シンジはホストマシンを置いてあるマシンルームに向かった。

マシンルームには人がいなかった。

「素人じゃあるまいし・・何故ここを押さえない?
不意を付いて全員を監禁したようだが、それで全員だと信じているのか・・」

シンジは不審に思いながらも、マシンルームに入り、
ホストコンピュータの前の端末に取り付いた。

「アンテナは破壊されて無かったから・・衛星通信は生きてるな・・
どこに連絡するか・・・そうだ」

シンジは地上にある本社に通信回線を開いた。

「冬月だが・・」

「碇です!緊急事態が発生しました!」

「何事かね・・」

「ヘリコプターに乗って、現れた、武装した兵に占拠されました」

「それで・・」

「それでって!冬月部長!何を言ってるんです!」

「誤算だったな・・一番の危険人物の君を押さえられなかったのか・・」

「ま、まさか・・冬月部長・・あなたが・・」

「君も命が惜しかったら投降するんだな・・彼等は並みの傭兵では無い」

「何が目的だ!」

「碇の暴走を止める為だよ・・」

「父さんが何をしたって言うんだ。」

「君も知ってのように、人類保管機構は、これから氷河期を迎える地球で

生き残る唯一の方法だ・・だが、滅びをまのがれる事の出来るのは、

100人に満たないのだよ・・設備が無いのだ・・

だが、碇は別の方法を考えていたようなのだ・・それでは我々の計画が狂うのだよ・・」

「計画?」

「私の父がドイツ人だって事は知っているな・・」

「ええ・・」

「滅びをまのがれるのは、全ての人類で無く、我々アーリアの血を引く者で無いといけないのだ」



「雑多な人種はこの際消えてもらいたいのだよ・・そして氷河期が終わりについた時に、
地球を支配するのは我々ネオナチスがふさわしい!」

「あ、あなたはネオナチに魂を売ったんですか?
私を優しく見守ってくれていた 冬月部長はどこに行ったんですか?」


「私はそんな人間では無いよ・・現にアスカ君を殺したのは私だからな・・」

「何? どういう事です」

「碇は奴にモノレールの巻き上げ用のケーブルのみ切るように命令したのだ・・足止めの為にな
だが、奴は私の子飼いの部下で、碇の元に潜入させていたのだよ・・

そして切ってはいけないメインケーブルを切断させたのだよ・・
あのような生きたサンプルが二度と世に現れないようにね・・・・」


「生きたサンプル?どういう事です?」

「おやおや・・知っているとばかり思っていたよ・・」

「今は亡き惣流博士の研究の集大成・・惣流アスカだよ・・」

「失われたと思っていたサンプル・・それはずっと僕の側にいたのか・・」
 もしかして、アスカの父さんを殺したのも・・・」

「鋭いね・・その通りだ・・惣流博士はドイツとのハーフでありながら、
我々の計画に賛同しなかったのだ・・碇は知らないだろうがね・・」


「冬月さん・・あんたって人は・・」
「残念ながらもう時間だ・・」
「時間?」

次の瞬間端末に高圧電流が流れた。

「ぐあっ」



シンジは意識を失い昏倒した。

「他愛も無い・・もういいぞ」画面に写った冬月は無線機を手に取った。

ザッザッザッ

3人の兵士が銃を倒れているシンジに向けた。
「射殺命令は出ていない・・ほうり込んでおくか・・」
「ああ」
「おい・・おまえは足を持て」

シンジは床に叩き付けられた衝撃で意識を回復した。

がしゃーん  扉の閉まる音がした・・

「くそっ・・」シンジは己の信じていた相手に、
二重に裏切られていた事に気づかなかった自分を責めていた。

その時

何かに頬を舐められて目を開けた。

横たわっているシンジの頬を野ウサギのクレインが舐めていたのだった。

「クレイン・・どうしてここに・・」

だが野ウサギはそっぽを向いていた

「そうか・・アスカだったな・・」
シンジがそう言うと野ウサギはシンジの首筋にじゃれついた。

「こら・・くすぐったいだろ・・アスカ・・・」
シンジは野ウサギを手に抱いて、目を閉じた。

「アスカ・・仇をとる事が出来なくて・・」
シンジは堪えようとしたが、涙はあふれて流れていった。

「・・・・・」シンジは野ウサギを部屋の隅においやった。

「これは気づかなかったか・・」シンジは上着に仕込んであったデリンジャーを引き抜いた。

「アスカ・・・もう寂しく無いからね・・今そっちに行くよ・・」

シンジはデリンジャーを口に咥えて目を閉じた。


そして引き金に指を当てた。






バーン


乾いた銃声が室内に響いた。








アスカ・・」シンジの腕に野ウサギのアスカががっぷりと噛み付いて離さなかった。
その痛みで銃口は口から外れ、弾丸は天井に食い込んでいた。


「僕に・・生きろって言うのか・・・アスカ・・」

ようやく噛むのを止めたアスカをシンジは抱きしめていた。


ザッザッザッ


「おい銃声が聞こえたぞ」
「あっちだ!」

シンジは野ウサギのアスカを懐に入れ、扉の死角に隠れた。

バババババ


小銃の音が断続的に聞こえ、
扉の向こうから扉を突き破って数十発の弾丸が室内に飛び込んで来た。

「いない・・」
「逃げられたか」
二人の兵士は崩れかけた扉を蹴破って中に入って来た。

バーン バーン

シンジは二人の兵士の後ろから、頭部に向かって、無慈悲な一撃を与えた。

そして二人の兵士から手早く、鍵束と小銃二挺・手溜弾3ケを奪った。

「アスカ・・もう僕は二度と逃げたりはしない・・
君の元に行くのはもう少し先になるかも知れないけど・・
寂しくなんか無いよね・・待っててくれるよね・・」



シンジは小銃を両手に持って、未来へと駆け出して行った。



第3話Aパート 終わり

Bパート に続く!


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