「・・・・」シンジは割り振られた部屋で、狙撃銃を、ケースに詰めていた。

ガシャーー

シンジの部屋の扉が開かれた。

「碇さん・・」

「?」

シンジはケースのふたを閉めて、振り向いた。


「碇さんが、明日単独で、冬月部長を狙撃するって・・本当ですか?」

「見ての通りだよ・・」シンジは銃をしまったケースに目線をやった。

「何故・・そんな危険な事を・・」

「・・・・」


「碇司令も、なぜ碇さんに命令をしたんです? 私言って来ます!」

振り向こうとした綾波通信士の腕をシンジは掴んだ。


「これは命令だ・・命令でなくても・・目の前にアスカの仇がいて・・

他人に任せるなんて出来る訳無いだろ・・君なら分かってくれると思ったんだが・・」


「どうして、そんなに復讐にこだわるんですか」

・・・・

綾波通信士は部屋を出ていった。


「それが、今の僕の唯一の存在意義なんだ・・アスカの仇をとるのは・・」
シンジは右手を握り締めた。


雪山に消ゆる面影を求めて

第3話【白髪の復讐鬼】Dパート


シンジは何気なく、拳銃を分解して、組み立てていた。

拳銃は組みあがった。


カシッ マガジンを装着させて、シンジは拳銃を見つめた。


コンコン

誰かがドアを叩いていた。

「食事ですよ・・碇さん」扉は開かず、綾波通信士の声が聞こえた。


「・・・・」

シンジは銃を置き、立ち上がり、ドアの開閉ボタンを押した。

ガシャン

「・・・・」


ドアの脇に、綾波通信士がひざをかかえて座り込んでいた。

「食事なんだろ・・行こう」シンジは少し、笑みを浮かべて声をかけた。

「ハイ」

シンジとレイは食堂に向かって歩いていった。

「碇さん・・」

「?」

「さっきはごめんなさい」

「・・・・」シンジは何と答えていいかわからなかった。


シンジは食事を終え、途中で綾波通信士と別れて、自室に向かった。


「・・・・」シンジは備え付けの鏡の中の自分の顔を見つめた。

「・・」

シンジは洗面室を使って、頭を洗っていた。

シンジは頭をタオルで拭きながら、ベッドの方に歩いて行った。

「?」
ベッドに、綾波通信士が腰掛けて、野ウサギのアスカを抱いていた。

「あ、ノックしたんですけど」

アスカが、シンジを見付けて、シンジの足元に走って来た。

シンジはアスカの頭を撫でていたが、片手で、頭にかけていたタオルを籠の中に入れた。

すると、ウサギのクレイン(アスカ)がびくっとした。

「どうかしたかな・・」シンジは野ウサギの頭を撫で続けた。

「碇さん・・」

「?」

シンジは備え付けの鏡を覗き込んだ。

「・・・・染料は上に置いたままだったな・・」シンジは呟いた。

「そ、そんなにまで・・」綾波はシンジの白髪を見て驚いていた。

「理由も無く、白髪の復讐鬼だなんて呼ばれないさ・・」シンジは自嘲した。

「ど、どうして・・」

「アスカが目の前で死に・・一週間壊れたモノレールの中で、揺られ続けたんだ・・
眠れば、死ぬあの状況だったからな・・・」

「・・・そうだったんですか・・」

「すまない・・明日の早朝決行なんだ・・今日はクレインを預かってくれないか・・」

「わかりました」綾波通信士は、野ウサギのアスカを抱いて立ち上がった。

ガー

扉が開いた。

シンジは目で綾波とクレインを追っていた。

「碇さん・・」

「ん?」

「生きて還って下さいね・・」

「・・約束するよ」

ガシャン

扉が閉まり、シンジだけが残された。


シンジは支給されている、服に着替え、ベッドの中に入った。

「アスカ・・」シンジは脳裏に、アスカの顔を思い浮かべた。

「明日・・明日になれば・・すべて終わるんだ・・・」


シンジは眠りについた。


そして翌朝 5時00分


シンジは支給された、特殊な耐寒、耐水、耐衝撃、耐刃スーツを着た。

その白いスーツを着て、上に厚手の上着を着て、足には拳銃を装備し、

胸にはデリンジャーを入れ、背中に狙撃銃を背負い、腰のベルトには

二種類の弾丸の入ったマガジンを装備していた。

そして、ザイルを左肩から回してかけて、ストッパーをつけていた。

腕には、耐寒使用の腕時計をはめていた。


シンジは、装備を整えて、ミーティングルームに歩いて行った。

ミーティングルームにて、最後の打ち合わせが行われた。


ミーティングが終わり、シンジはゲンドウの後を歩いて行った。


そして、階段を降り、ゲンドウがカードを通して、現れた通路を歩いていた。


「ここだ・・ここから出れば、おまえなら20分で頂上につくだろう・・

冬月がヘリを降りたら、狙撃し、ヘリを一機奪え!残りのヘリは破壊しろ」


シンジはザイルと登山用具を手に持った。


「開けてくれ・・父さん

ピッ

ゲンドウがカードを通すとシャッターが左右に開いて行った。


凍てついた空気の中、シンジは山を登っていた。

約15分後・・

シンジは見張りに見つからず、なんとか山頂まで登り詰めた。
全員下にいるからと、外の警備に力を入れて無かったせいもあるだろう・・

シンジは時計を見た。

05:50分か・・」

シンジは物陰に隠れて、ヘリが降りるであろう場所を狙撃出来る場所を探していた。

「ここだな・・」シンジは見張りの兵士の目を盗み、研究所の屋根によじのぼり、給水タンクの足場の中に
身を潜めた。

「あと5分か・・」


パラパラパラパラ

遠くでヘリの音が聞こえ始めた。

シンジはケースから狙撃銃を出し、スコープをマウントにセットした。

そして、通常高速弾の入ったマガジンを装着して、ヘリが、降りるのを待った。


パラパラパラパラ

待つこと3分 二つのローターを持つ巨大なヘリコプターが雲を突き抜けて上がって来た。

そして、二機のヘリコプターと同じように、研究所の平屋の部分の屋根に、着陸しようとしていた。

ガチャリ・・シンジはストッパーを外した。

屋根の上には、二人の兵士と、一人の指揮官らしき男が立って、冬月の到着を待っていた。


パラパラパラパラ


ヘリの足が屋根に付き、ローターの回転速度が落ちていった。


シンジは銃を構え、ヘリの降り口に照準を合わせた。


扉が開かれ、中から、冬月部長がヘリから降り立った。


スコープの十字線には、冬月部長の頭がぴたりと、当てられていた。

アスカっ!」シンジは心の中で叫んで、引き金を絞った。

バーン


雪山に消ゆる面影を求めて

第3話【白髪の復讐鬼】 終




次回予告!

シンジは、アスカの仇を取る事が出来た。
だが、皮肉にも、その事実が、シンジの生きる気力を奪ってしまったのだ。
シンジは、最後の闘いに、死に場所を求める。
その、死闘の果てに、シンジが見た物は・・

希望か・・未来か・・それとも絶望か・・

今、シンジの最後の闘いが始まる!

次回、最終話 【死闘の果てにみゆるもの】


シンジが無くしたしまった未来・・シンジは、それを取り戻す事が出来るのか!?


第3話Dパート 終わり

最終話Aパート に続く!


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